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 印刷屋からfuente 92号が納品された。fuenteの山を目の前にして毎回思うことがある。それは、ああ、今回も約束を果たせたなということ。
 fuenteを発行するという約束。
 しかし、そのような約束を私は誰ともしたことはない。なのに何故、約束を果たしたと思ってしまうのか。

 萬年筆くらぶには入会費も会費もない。それぞれの会員が、金額をそれぞれに決めて、でべそに送るというシステムをとっている。
 会費制にしていたら、fuenteを発行することが義務となってしまう。fuenteを作ることが私の仕事となってしまい、遊びではなくなる。私はそれを恐れた。会員の皆さんが、思い付いたときに、思い付いた金額を送ってくださることで発行を続けられているfuente。
 とても緩やかなルールだ。
 そのルールの下で、でべそはfuenteを作り、完成したfuenteは会員に届けられる。空気の存在のように普段は意識しないが、年に3回、忘れた頃にfuenteが届くと、ああ、fuenteが存在していると会員は改めて認識する。
 この、当たり前のようにfuenteが届くという信頼感。
 でべそはfuenteを完成させて、必ず私の所に届けてくれるという安心感。
 この信頼感と安心感に対して、約束を果たしたと私は感じているのかもしれない。
 しかし、負荷はない。続けてゆくことが困難になった場合は白旗を振っている。すると誰かが助けてくれる。困ったときには誰かが助けてくれる。そんな安心感を私はもっている。

 相互の安心感に支えられて完成したfuenteが、数日後には全国の会員の下に届けられてゆく。

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