#078 MDノート コットン A5スクエア
MDノートに使われている紙は「MDペーパー」と呼ばれている優れた紙だ。万年筆からボールペン、鉛筆まで、何で書いても受け止めてくれる安定感がある。
また、MDノートの周年記念として使われた紙に「MD用紙コットン」というものがある。この「MD用紙コットン」が実に素晴らしい。メーカーのキャッチコピーには、「空気を含んだ柔らかな紙」とある。「『コットンパルプ』を20%配合した、滑らかで優しい肌合いと、上品な書き心地を愉しめる特別な紙」とある。「空気を含んだコットンパルプが筆跡に奥行きを持たせて、書きたい文字やイメージを思い通りに表現することができる」とある。「ふんわりとやさしくペン先を包み込むような柔らかな風合いの紙」ともある。
A6サイズと新書サイズのノートが、このMD用紙コットンを使って周年記念として作られた。私はA6サイズのものを使っており、上記のキャッチコピーが正確で上手い表現だと実感している。「ペン先を包み込むような柔らかな風合い」。そうだね。確かにそうだよ。万年筆に触れている指が、筆記のときに喜んでいるのを感じる。いつまでも書いていたい、そんな気持ちになる。MDペーパーの場合はそのような感動まではない。
いま、インクが乗って、ペン先の滑りが良いということで、プラスチックを薄くしたような紙のノートが評判のようだが、私は少々苦手だ。紙としての感覚が湧かない。ページを捲る時、その感触に違和感をもつ。紙というものは本来、か弱いものなのだ。だから丁寧に扱う。紙やノートに対する愛情のようなものが芽生える。プラスチックを薄くしたような紙のノートは、確かに丈夫だ。インクの乗りもいい。しかし、インクは紙の表面でためらいながら蒸発するのを待ち、紙の中に染み込まない気がする。だから、紙に書いているという実感が湧かない。
だがしかし、これは人それぞれの好みの問題である。私は苦手だなというだけのこと。
さて、このMD用紙コットンを使ったA6サイズのノートを愛用していて思うことは、是非ともMD用紙コットンを使ったA5サイズのノートを使ってみたいということだった。もし、そのようなノートがあれば、私は一日中、そのノートに何かを書き続けるだろうと思っている。
話は変わるが、MIDORIから「A5スクエア」というノート(紙はMDペーパー)が出ていた。A5サイズの短辺の長さが146ミリだが、この146ミリを一辺とする正方形で作ったノートが「A5スクエア」だ。フェルマー出版社の『鞄談義』シリーズと『万年筆談義』も一辺146ミリのスクエアだ。
この「A5スクエア」、限定品だったらしく、気が付いたら売り切れになってしまった。スクエアタイプのノートに目がない私は何冊かの買い置きがあるが、これを使い切ったらどうしよう、と淋しい思いをもっていた。
さて、世の中、何が起こるか分からない。
ある日、MIDORIのオンラインショップを見ていて、目が釘付けになった。そこに販売されていたのが、「MDノート コットン A5スクエア」。なんと、サイズがA5スクエアで、使用している紙がMDペーパーではなくてMD用紙コットンだという。私が熱望していた2つの要素を同時に実現してくれている。
なんて有り難いことか。信じられない思いで目を動かすと、再び目が釘付けになった。MD用紙コットンを使ったA5サイズのノートも販売されているのだ。
長年夢に描いていたノートが現実のものとなって私の前に現れた。しかも、2種類も。しかし、私はこのことに関して何も努力はしていない。棚からボタ餅とも言えるような思いに浸った。
世の中、何が起こるか分からないものだ。
暗い話が多い昨今、たまにはラッキーなことも起こるものだと嬉々としてMDノート コットンA5とMDノート コットンA5スクエアの2種類を購入した。
※写真は上がA5スクエアで下がコットンA5スクエア。A5スクエアの表紙の色はMDペーパー同様少し黄色掛かっているのに対して、コットンA5スクエアの表紙はMD用紙コットン同様白色。統一感が気持ちいい。