2017年 【開成中】国語記述問題 採点基準例
※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。
【全ての問題で共通のルール】
●文末ミスは1点減点。
●誤字脱字はその都度1点減点。
※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。
●句点なしは1点減点。
一 問一 10点満点 文末は「こと」
【解答例】昔は子ども同士の遊びだったものに、習い事として対価を支払わなければいけなくなったということ。
【採点基準】
1(「缶蹴り」という比喩の解釈)
昔は子ども同士の遊びだったもの/昔ながらの子どもの遊び/子どもであれば誰もが経験したふつうのこと …④点
2(現代における1についての説明)
習い事として対価を支払わなければいけない/習い事に置きかわり、金を払わなければいけない …⑥点
※「習い事として/習い事に置きかわり」という内容がないと3点減点。
一 問二 10点満点
【解答例】墓が流されたのは自分のせいかもしれないと思うと罪悪感を抱かされるが、流産による心の傷を埋めてくれた味噌漉しを大切にしたいという思い。
【採点基準】
1(澄子の思い1)
罪悪感/後ろめたい …①点
※「罪滅ぼしをしたい」という内容も可。
2(1のきっかけ)
墓が流されたのは自分のせいかもしれない …②点
※「墓が流された」ことに言及せず、「木を折った」自分の行動の説明のみの場合には1点のみ与える。
3(澄子の思い2)
味噌漉しを大切にしたい …③点
4(3の理由として、「味噌漉し」についての説明)
流産による心の傷を埋めてくれた …④点
一 問三 10点満点 文末は「から」
【解答例】家を建てる機は熟しているのに、いまだに公団住宅で暮らさざるを得ず、祖母の思いに応えられていないことを思わされ、情けなかったから。
【採点基準】
1(気持ち)
情けない/恥じている …②点
2(1のきっかけ)
いまだに公団住宅で暮らさざるを得ないことを思わされた/お金と余裕がない現状を意識させられた/家なんてとても建てることができない現実を思わされた …④点
3(2について)祖母の思いに応えられていない/祖母の思いとは裏腹だ …②点
4(背景)
家を建てる機は熟している/家を立てても良いはずだ …②点
※「子供がいる」ことに言及してもOK。
一 問四 10点満点
【解答例】自分の年齢と同じ七歳で死んだと知り、その唐松を自らに重ね、切なく思うとともに大切に弔っている。
【採点基準】
1(心情1)
切ない/あわれむ/かわいそう …②点
2(心情2)
大切にする/真剣 …②点
※「弔う/供養する」という内容に言及していても可。
3(きっかけ)
A 唐松が自分の年齢と同じ七歳で死んだと知る …③点
※「自分の年齢と同じ」という内容がない場合、3Aは無得点。
B 唐松を自分に重ねる …③点
一 問五 12点満点
【解答例】兄真一は、大人びている一方で融通がきかないところがある少年として描かれており、弟健二は、子供っぽくて感受性豊かなやさしい少年として描かれている。
【採点基準】
1(兄真一について)
A 大人びている …③点
B 融通がきかない/生真面目 …③点
2(弟健二について)
A 子どもっぽい、幼い、やんちゃ、無邪気 …③点
B 感受性豊か/繊細 …③点
二 問一 6点満点 文末は「点」
【解答例】相手の行動に用いるべき尊敬語を自分の行動に用いている点。
【採点基準】
1 尊敬語を自分の行動に用いている …④点
2(尊敬語の本来の使い方の説明)
相手の行動に用いる/自分の行動には用いない …②点
二 問二 12点満点 文末は「から」
【解答例】昔は特別な位にある人でも食べることができなかったアイスクリームをいま自分が食べていることは、すごいことなのだという思いに浸りたいから。
【採点基準】
1 アイスクリームを食べていることはすごいことなのだという思いに浸りたい/アイスクリームを食べていることの特別感を表現したい/アイスクリームを食べられる得意な気持ちを表したい …⑦点
※「アイスクリームを食べている」という事実説明のみの場合には、2点のみ与える。
2(アイスクリームについての説明)
昔は特別な位にある人でも食べることができなかった/昔は王子様でも食べられなかった/昔は高級品だった …⑤点
★採点方法の詳細★
すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。
【全ての問題で共通のルール】
●文末ミスは1点減点。
●誤字脱字はその都度1点減点。
※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。
●句点なしは1点減点。
1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。
2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。
3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。
次に、例を挙げながら説明していきます。
【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)
ここでは、解答例を次のようにします。
【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。
採点基準は、以下の通りとします。
【採点基準】
1(きっかけ)
A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点
B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点
2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点
3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点
※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。
大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。
では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!
【答案例1】
しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。
【答案例2】
大好きなチョコを食べられて最高だったこと。
【答案例3】
好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。
順番に見ていきましょう。
【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。
【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。
【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。
以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。