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2015年 【武蔵中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

問一(3) 12点満点 文末は「から」

【解答例】「倭」は中国によって当てられた侮蔑的な意味の漢字だが、「和」は敵対するもの同士に和議を結ばせるという日本文化の素晴らしい特徴をたった一字で言い表した漢字だから。

【採点基準】
1(「倭」について)
侮蔑的な意味/蔑称である/日本を蔑んでいる …④点

2(「和」について)
A 日本文化の素晴らしい特徴をたった一字で言い表している/日本の文化の良い部分をたった一字で暗示している …⑤点
※「素晴らしい/良い」にあたる表現がないと、1点減点。
※「たった一字で」にあたる表現がないと、2点減点。
B 敵対するもの同士に和議を結ばせる/対立するものを和解させる/相容れないものを調和させる …③点
※「敵対するもの同士に/対立するものを/相容れないものを」にあたる内容がないと、1点減点。

問二 16点満点

【解答例】西洋化が進むにつれて、江戸時代以前の日本文化とその産物を指して日本人みずからが呼ぶようになった、遅れた日本という卑下の意味を含んだもの。

【採点基準】
1 卑下の意味/遅れた日本という意味 …⑥点

2 江戸時代以前の日本文化とその産物を指す …⑥点

3(背景)西洋化 …④点

問三 16点満点 文末は「こと」

【解答例】同じ種類でも同じものなどひとつもなく、同じ花でも見る時によって違う姿を見せるような花のその時だけにしか見せない姿を生かすために、どう切り、どう生けるかを約束事に縛られずに考えること。

【採点基準】
1(花の「偶然の要素」の説明)
A 同じ種類でも同じものなどひとつもない/一枝ごとに枝ぶりや花や葉のつき方、色合いがみな違っている/個体ごとにみな異なる …④点
B 同じ花でも見る時によって違う姿を見せる/リハーサルと本番では本当に同じ枝かと思うほどまったく違うものに見えることもある/刻々と変幻する …④点

2(「かけがえのないものとして生かす」の説明)
その時だけにしか見せない姿を生かす/二度と同じ姿を見せることがないその瞬間を最大限に生かす …④点

3(2の方法)
花をどう切り、どう生けるかを約束事に縛られずに考える/型にはめずに生ける/臨機応変に鋏を入れ、生けてゆく …④点
※「約束事に縛られずに/型にはめずに/臨機応変に」という内容がないと、2点減点。

問四 16点満点

【解答例】西洋はさまざまな音によって間を埋め尽くすので、聞いていると息苦しいときもあるが、日本の音楽は絶え間がいたるところにあって、聞いていて長閑さを感じる。

【採点基準】
1(西洋の音楽の説明)
A 間を埋め尽くす/音のない時間がない …⑤点
B 息苦しいときもある/息を継ぐ暇もない …③点

2(日本の音楽の説明)
A 絶え間がいたるところにある/いくつもの絶え間に断ち切られている …⑤点
B 長閑さを感じる …③点

問五 16点満点 文末は「こと」

【解答例】異質なもの同士が調和し、共存するためには、十分な空間的な間をとることはもちろんのこと、時間的な間、心理的な間をきちんととっていることが重要であるということ。

【採点基準】
1(「和が誕生するために」の説明)
異質なもの同士が調和し、共存するため/異質なもの同士の対立を和らげるため …⑦点

2(「なくてはならない土台が間なのである」の説明)
A 空間的な間 …③点
B 時間的な間 …③点
C 心理的な間 …③点
をとる
※単に「間をとる」のみの答案は、2全体で3点のみ与える。

※「空間的、時間的、心理的な間がないと、異質なもの同士が調和し、共存することがで
きない」という説明の仕方もOK。

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

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