2016年 【開成中】国語記述問題 採点基準例
※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。
【全ての問題で共通のルール】
●文末ミスは1点減点。
●誤字脱字はその都度1点減点。
※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。
●句点なしは1点減点。
一 問一 9点満点 文末は「こと」
【解答例】真冬のアラスカ山脈に一人ではいり、一か月間滞在して、オーロラを撮影すること。
【採点基準】
1
A 真冬の …②点
アラスカ山脈に
B 一人で …②点
C 一か月間 …②点
滞在して
2 オーロラを撮影する …③点
一 問二 10点満点 文末は「から」
【解答例】「ぼく」の計画が危険すぎると思い、やめたほうが良いと伝えたかったが、思わず絶句してしまったから。
【採点基準】
1(きっかけ)「ぼく」の計画が危険すぎると思った/「ぼく」の無謀とも思える計画を知った …④点
2
A やめたほうが良いと伝えたかったが/危険性を伝えたかったが …③点
B 絶句した/返答に窮した/言葉につまった …③点
※2Bにふれていないと、Bの要素は無得点。
一 問三 12点満点
【解答例】理想は人間が介入せずに自然をありのままの姿にしておくのが良いと考えている。また、自然と接する際にはどんな危険が見込まれても自分で経験して学びとらなければならないと考えている。
【採点基準】
1 理想は人間が介入せずに自然をありのままの姿にしておくのが良い/自然を人間の都合で扱うべきではない/動物の数が減っているのならば狩猟する人間のことも管理すべきだ …⑥点
2
A どんな危険が見込まれても/自然の危険性について知った上で …②点
※「自然は危険な面も持っている」という前提について説明できていればOK。
B 自分で経験して学びとらなければならない …④点
二 問一 10点満点 文末は「こと」
【解答例】Kさんにとって嫌な思い出の残る中学時代のことを話題にしてしまったことに加えて、さらに余計な質問をしてしまい、余計に状況を悪くしたということ。
【採点基準】
1(「ますます」が意味することの前提)Kさんにとって嫌な思い出の残る中学時代のことを話題にしてしまったことに加えて/いじめを思い出させることをKさんに聞いてしまったうえに …④点
2(「墓穴を掘った」の説明)
A さらに余計な質問をしてしまい/中学の時の友達に関する質問までしてしまい …③点
※1か2Aで「Kさんにとって嫌な思い出の残る/いじめられていた」にあたる内容がない場合、2点減点。
B 余計に状況を悪くした/かえってKさんを傷つけた/さらに気まずい空気になった …③点
二 問二 10点満点 文末は「こと」
【解答例】「つまんない」という言葉を聞いたことはあったが、自分のことをKさんに言われた気がしたのを通じて、言葉の意味を深く実感したということ。
【採点基準】
1(前提)
(「つまんない」という言葉を)聞いたことはあった/音として認識したことはあった …③点
2(「この時」の言いかえ)
(「つまんない」と)自分のことをKさんに言われた気がしたのを通じて/Kさんが言うのを聞いて …②点
3(「『つまんない』という生の東京弁に僕は接した」の言いかえ)
(「つまんない」という)言葉の意味を深く実感した/言葉の意味が心に響いた/言葉の意味を実感を持って理解した …⑤点
二 問三 10点満点 文末は「こと」
【解答例】東京に対する気おくれからKさんをいじめた同級生たちと、田舎者扱いされた気がしたいらだちからKさんを不快にさせた自分は同罪だということ。
【採点基準】
1 同級生たちと自分は同罪だ/自分も同級生たちと同じだ …②点
2(同級生たちについて)
Kさんをいじめた …②点
3(2の理由)
東京に対する気おくれ/東京の雰囲気に対する劣等感 …②点
4(自分について)
Kさんを不快にさせた/Kさんを傷つけた …②点
5(4の理由)
田舎者扱いされた気がしたいらだち/自分の故郷をバカにされた気がした腹いせ …②点
二 問四 12点満点
【解答例】アは普段大きな港が大きな船の停泊によって小さく見えるという風景のことを言っているのに対して、イは田舎者扱いされた気がしたいらだちからKさんを傷つけた小さい人間である自分を風景に重ねているという違い。
【採点基準】
1(アの説明)
A 目に映る光景について言っている/風景のことを言っている …②点
B(Aの「目に映る光景/風景」の説明)
大きな船の停泊によって港が小さく見える …④点
※船が「大きい」ことにふれていない場合、1点減点。
2(イの説明)
A 自分を風景に重ねている …②点
B(Aの「自分」の説明)
故郷をバカにされた気がした腹いせからKさんに不快な思いをさせた器の小さな自分/田舎者扱いされた気がしたいらだちからKさんを傷つけたちっぽけな人間である …④点
※「器の小さな/ちっぽけな」にあたる内容がない場合、1点減点。
★採点方法の詳細★
すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。
【全ての問題で共通のルール】
●文末ミスは1点減点。
●誤字脱字はその都度1点減点。
※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。
●句点なしは1点減点。
1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。
2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。
3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。
次に、例を挙げながら説明していきます。
【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)
ここでは、解答例を次のようにします。
【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。
採点基準は、以下の通りとします。
【採点基準】
1(きっかけ)
A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点
B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点
2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点
3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点
※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。
大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。
では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!
【答案例1】
しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。
【答案例2】
大好きなチョコを食べられて最高だったこと。
【答案例3】
好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。
順番に見ていきましょう。
【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。
【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。
【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。
以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。
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