見出し画像

2018年 【武蔵中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

問一(1) 10点満点 文末は「ところ」

【解答例】人間の能力、ひとがやってきた仕事を機械に置き換えるところ。

【採点基準】
人間の能力、ひとがやってきた仕事を置き換えるところ/人間の手でやるにはめんどうくさいこと、時間がかかること、努力しなければいけないことを代わりに機械にやらせているところ …⑩点

問一(2) 10点満点

【解答例】「それらの技術」は形状が人間とは異なるので、「人間を助けるもの」であって「人間の役割を置き換えてしまうもの」には見えにくいが、「アンドロイド」は人間と姿かたちが近く、人間にしか不可能であると思われていた知的活動ができるので、人間からなにかが奪われるような感覚を覚えさせるところ。

【採点基準】
1(「それらの技術」についての説明)
A(形状について)
人間とは異なる …③点
B(1Aの結果)
「人間を助けるもの」に思える/「人間の役割を置き換えてしまうもの」には見えにくい …②点

2(「アンドロイド」についての説明)
A(形状について)
人間と姿かたちが近い/人間の姿かたちをしている …②点
B 知的活動ができる …①点
C(2ABの結果)
人間からなにかが奪われるような感覚を覚えさせる/「ロボットが人間に置き換わる」ことを連想させる/人間が負けるなどと抵抗を感じさせる …②点

問三 14点満点 文末は「こと」

【解答例】人間の命と他の動物の命を区別して、人間の命の方が尊いとして命に優劣をつけること。

【採点基準】
1 人間の命と他の動物の命を区別する/人間とそれ以外の動物の命を分けて考える …④点
2 人間の命の方が他の動物の命より尊いとする …⑩点

※全体を通して、「命」という言葉がなかったり、「他の動物」を「犬やネコ」に限定したりしている場合には、5点減点。
→例)人間と他の動物を区別すること。→0点

問四 14点満点

【解答例】大きな脳がさまざまなことの客観視を可能にし、それによって技術を作り、機械や道具を用いることで生物としての肉体の限界を取りはらって進化してきたというもの。

【採点基準】
1(特徴)
技術を作る/技術を使う/機械や道具を用いる …⑥点

2(1の結果)
生物としての肉体の限界を取りはらってきた …②点

3(1の前提)
さまざまなことの客観視が可能/ものごとを客観的に観察できる …③点

4(3の理由)
大きな脳 …③点
※「大きな」がないと、1点減点。

問六(2) 10点満点 文末は「から」

【解答例】本来、人間は、自らがつくってきたロボットも含めて人間であり、ロボットの進化は人間の進化でもあるという考え方に立つべきだ。そこで、「人間こそが最高の存在である」という考えを捨てると、人間以上の能力を持つロボットを開発することへの抵抗をなくせるので、ロボットを進化させることができ、それが同時に人間の進化も意味するからである。

【採点基準】
1(前提となるべき考え方)
人間は、自らがつくってきたロボットも含めて人間である/人間が開発したロボットの進化は人間の進化でもある …③点
※「自らがつくってきた/人間が開発した」にあたる内容がない場合、1点減点。

2((1)の答えのような態度をとることの利点)
人間以上の能力を持つロボットを開発することへの抵抗をなくせる/ロボットのほうが人間より優れているということへの拒絶反応を取り払える …③点

3(2の結果)
ロボットを進化させることができる/人間より優れたロボットの開発も進むだろう …②点

4(3が意味すること)
人間の進化 …②点
※実入試においては(1)の解答欄の不備のため、(2)も受験生全員が満点となった。

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。



いいなと思ったら応援しよう!