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2014年 【桜蔭中】国語記述問題 採点基準例

※採点の方法の詳細については、★採点方法の詳細★以降をご覧ください。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

一 問三 10点満点

【解答例】「守ること」は相手を受け入れないことでもあり、それはやがて埋めがたい溝となってしまうが、「あきらめること」「捨てること」により互いの壁を乗り越えることができる。また、自分にはない相手の良いところを取り入れる余裕が生まれることによって、自分の持っているものと相手のもののどちらも選べるようになることこそが本当の自由だと考えているから。

【採点基準】
1(肯定的な意味合い)
A互いの壁を乗り越えることができる/他者とわかり合うことができる …②点

B相手の良いところを取り入れる余裕が生まれる/相手のよいところを受け入れられる …②点

2(1の結果)
自分の持っているものと相手のもののどちらも選べるようになる/選択肢が増えることで人生の幅が広がる …③点

3(2の意義)
本当の自由だ/自由な生き方だ …③点

一 問四 8点満点 文末は「から」

【解答例】表面的には自分との違いを認めて相手に配慮しているように感じるが、実のところは自分と相手を切り離してあらかじめ距離をとり、結果として埋めがたい溝をつくるような姿勢に違和感を覚えているから。

【採点基準】
1(「わたし的には」の表面的な意味合い)
自分との違いを認めて相手に配慮している …③点
※「自分との違いを認めて」にあたる、相手に対するどのような配慮なのかについての説明がないと、1点減点。

2(「わたし的には」に対する筆者の見解)
自分と相手を切り離してあらかじめ距離をとっている/相手との間にあらかじめ一線を引いて受け入れないようにしている …④点

3(「気になる」のニュアンス)
違和感/批判的な思い …①点
※良く思っていないことが分かればOK。

※全体を通して、1の要素しか書けていない場合、問四は無得点。

一 問五 10点満点 文末は「から」

【解答例】弱い者たちを直接苦しめているわけではなくても、世界全体の強い者に有利なシステムの中で恩恵を受けて生きている以上、何の力もない赤ちゃんでさえ、知らないところで弱い者たちを苦しめていると言えるから。

【採点基準】
1(責任があるといえる理由)
A強い者に有利なシステムの中で恩恵を受けて生きている …③点
※「恩恵を受けて生きている」にあたる内容がないと、1点減点。

B知らないところで弱い者たちを苦しめていると言える/強い者と一緒に弱い者たちを苦しめているのと同じ …③点

2(「生まれたばかりの赤ちゃん」を例にあげている理由)
何の力もない存在でさえ/たとえ自身では何一つできないとしても …④点

二 問四 8点満点

【解答例】自分が新しい大きな発見をしたようで高揚感を抱いている。なぜなら、ピッチングの調子がいい時は自分とマウンドがつながっているという感覚を認識できたことで、いままでとらえることができなかった感覚に出会えた気がしたからである。

【採点基準】
1(気持ち)
高揚感/喜び …③点

2(理由)
ピッチングの調子がいい時は自分とマウンドがつながっているという感覚を認識できた/調子のいい時は自分の足でマウンドを感じられることを発見した …③点
※「調子がいい時は」にあたる内容がないと、1点減点。

3(2について)
いままでとらえることができなかった感覚/自分が意識したことがなかったこと …②点

二 問五 14点満点 文末は「から」

【解答例】詩人の大切な資質は、感性の有無と自分が感じたことを的確な言葉で表現する力にあると監督は考えている。この前の試合でなぜ打たれたのかをレポートにするよう恭介に命じたところ、調子のいい時に感じられるマウンドとのつながりが感じられなかったからだとまとめてきた。監督が恭介を詩人だと言ったのは、マウンドについて捉える見事な感性と、自分が捉えたものを的確な言葉で表現できる恭介を高く評価したからである。

【採点基準】
1(監督が考える詩人に必要な資質)
A 感性の有無/感性の鋭さ …②点

B 感じたことを的確な言葉で表現する力/捉えたことを言い表す表現力 …②点

2(恭介についての説明)
打たれた理由について、マウンドとのつながりが感じられなかったからだとまとめた/マウンドとのつながりについて捉えた …④点

3(監督が恭介について評価したこと)
A マウンドについて捉える感性/誰しもが感じられるわけではないことを知覚できる鋭い感性 …③点

B 自分が捉えたものを的確な言葉で表現できること/絶妙な言い回しができる表現力 …③点

★採点方法の詳細★

すべての採点基準の記事の先頭に次の【全ての問題で共通のルール】を載せています。

【全ての問題で共通のルール】

●文末ミスは1点減点。

●誤字脱字はその都度1点減点。

※ただし、同問題内で同じ漢字や送り仮名等のミスは1点のみ減点する。

●句点なしは1点減点。

1つ目の●は、文末ミスについてです。例えば、「気持ちを答えなさい。」と問われているのに記述の最終部分を「から。」や「こと。」にしてしまっている場合には、1点減点してください。

2つ目の●は、誤字脱字についてです。漢字の誤り、送りがなの誤り、かなづかいの誤りのほか、単純に一文字抜けてしまっている等のミスについて、その都度1点減点してください。ただし、※にあるように同じ漢字や送り仮名等のミスは1回のみの減点で構いません。

3つ目の●は、句点の不備についてです。記述の最終部分に句点がない場合には、1点減点してください。

次に、例を挙げながら説明していきます。

【問題例】「のび太くんが目に涙を浮かべてバンザイをしている」とありますが、なぜですか。説明しなさい。(10点満点)



ここでは、解答例を次のようにします。

【解答例】好意を寄せるしずかちゃんに、バレンタインのチョコをもらえたうえに、自分の優しさを認めてもらえてうれしかったから。

採点基準は、以下の通りとします。

【採点基準】

1(きっかけ)

A しずかちゃんにバレンタインのチョコをもらえた/しずかちゃんが自分を気に入ってくれていることが分かった …②点

B しずかちゃんに自分の優しさを認めてもらえた/自分の優しいところが好きだとしずかちゃんに言ってもらえた …②点

2(しずかちゃんについての説明) 好意を寄せている/好き …③点

3(気持ち) うれしい/喜ぶ/幸せ …③点

※全体を通して「しずかちゃん」がないと、1点減点。


大きな解答要素は1・2・3の3つで、そのうち1はA・Bから成るので、実際には1A・1B・2・3の4つを解答要素として採点していくこととします。
すべての要素に / で区切った複数の文言を載せていますが、言い回しが異なるだけで内容は同じであることを示しています。採点する際には他の言い回しでもOKなのだということの参考にしてください。

では、子どもの答案を想定して、採点の練習をしてみましょう!

【答案例1】

しずかちゃんからの好意が伝わってきてうれしかったから。

【答案例2】

大好きなチョコを食べられて最高だったこと。

【答案例3】

好きな人からバレンタインのチョコをもらえるなんて夢のようだったから。

順番に見ていきましょう。

【答案例1】は、「しずかちゃんからの好意が伝わってきた」の1A②点+「うれしかった」の3③点=5点です。

【答案例2】は、「チョコを食べられる」ことと「チョコをもらえた」ことは意味が違うので1A無得点+「最高だった」は気持ちではないので3も無得点=0点です。最後が「こと」になっていて文末ミスもありますが、0点から減点することはできないので0点のままです。

【答案例3】は、「好きな人からバレンタインのチョコをもらえる」の1A②点+2③点-「しずかちゃん」がないことによる1点減点=4点です。「夢のようだった」は気持ちとしてカウントできないので、3の得点は与えられません。

以上のような感じで採点してみてください!
子どもたちも一生懸命書いています。目くじらを立てる必要はありませんから、おおよその方向性が合っていれば加点してあげてくださいね。

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