芸人の性加害スキャンダルに思うこと
こんにちは。
フェリタス社会保険労務士法人の石川です。
ダウンタウンの松本さんの性加害疑惑についての報道が過熱しています。
個人的には、特別ファンというわけではないのですが、職業柄色々と思うことがあります。
まず、大前提として「(今の段階で)事実は分からない」し、仮に裁判になって様々な証言や証拠があっても「事実は分からない」のだと思います。
松本さん擁護派からは、以下のような意見があるようです。
・8年も前のことを何故今更言うのか?
・最初から週刊誌などに言わず、警察に行けばいい
・最初からそのつもりで参加していたんでしょ
・嫌なら行かなきゃよかったのに
これらの意見は、セクハラ問題と一緒で、二次被害を生むことがあります。
セクハラ相談を受けているなかで、何年も前のことを言ってくる人というのはいます。
「何で今頃?」と思われるかもしれないですが、被害を受けた側は、最初は何が起こったのか分からず、また、その事実を受け入れるのにもかなりの時間がかかることがあります。
(自分にスキがあったからいけないんだ)
(このくらいは受け入れるべきなんだ)
(相手も冗談のつもりだったんだ)
など、自分の身に起こった事実を認められず、何とか自分を納得させようと葛藤します。
ですが、ずっと自分の心の奥深いところで傷ついたり、悔しかったり、怒りが、段々と沸き起こってくることはあります。
本人も勇気を出して言ったのに、「なんで今頃?」と言われるのは、とても辛いことでしょう。
また、「最初から警察や弁護士のところに行けばいい」というのも、被害を受けた人には辛い言葉かもしれません。
簡単に「警察に行けば」と言いますが、被害に遭った本人がそんなに冷静にすぐに対応できるかは疑問です。
自分に起こったことを受け止めるまでに相当の時間がかかることもあり、すぐに警察に、とはいかないと思います。
一方で、松本さんに批判的な意見として、
・妻子もいるのに不倫はけしからん!
・女性にわずか数千円のタクシー代だけ払っておしまいというのは失礼
・売れっ子芸人の傲慢だ
などが言われているようです。
今回のスキャンダルで、仮に性的な関係があったとした場合、犯罪になるかどうかは「同意があったのか?」という点が論点になると思います。
この「同意があったかどうか?」は、セクハラでも立証が非常に難しい部分です。
本人は、嫌でもはっきりと「嫌だ」と言えないケースも多いです。
セクハラ裁判などで、客観的にも同意があったと思われる状況でも、
「相手の立場が上だと、嫌でも断ることが難しかっただろう」
ということで、有罪になることもあります。
事実はどうか分からないですし、誰も被害者の本当の気持ちはわかりません。
ですが、もしかしたら被害者に対して敬意を払っていない対応があったのでは?と思いました。
自分より立場が下の人に対し、立場や権力を利用して、相手の尊厳を傷つけるような言動があれば、当然トラブルにはなります。
人は誰だって自分の尊厳を傷つけられるのは辛いことです。
どんなに社会的に立場が上の人でも、相手の尊厳を踏みにじる言動は人としてどうかと思います。
もしかしたら、被害者の話は事実無根の嘘かもしれないし、同意もあったのかもしれない・・。
けれど、
「嫌って言わなかったんだから、同意があったんでしょ」
という考えがもしあったのだとしたら、今の時代では通用しないのはセクハラ裁判を見ていると明らかです。
#Me Too運動 など、世の中のセクハラや性暴力に対する動きは大きく変わってきていると思います。
今回の事件がどうかは分かりませんが、女性も男性も、ハラスメント等で尊厳を傷つけられることが無い世の中になるといいなと思います。