5つのポジションの定義
スコアリングや経営戦略を立てるうえで、
5つのポジションの定義が理解できるとたのしい。
ポジション説明はどうしても文字数がおおくなり、読むのが面倒になるが、自社やブランドに置き換えながら、読みすすめてほしい。
ポジション①:価格で市場を支配する
価格で5点を獲得することは、
コストをとことん抑えることとは限らない。
顧客に対して、公正で適正な価格を一貫して提示すること。
上の図は、消費者と企業の関係を表している。
3点は、公正で適正な価格設定を提供すること。
このレベルに到着すれば、消費者は企業を「受け入れる」。
4点は、正直でほかより安い価格というだけでなく、一貫性のある価格を提示しなくてはならない。
一貫して、魅力的な価格を提示していると、と見なせば、消費者はその企業を「好む」ようになる。
一貫性のある価格とは、値下げをしても翌週には元の価格に戻っている(ハイロー戦略)、といった価格設定よりも評価が高い。
5点は、消費者は買い物に関する全責任をその企業に委ねようとする。
5点の企業は、価格設定の権威でもあり、その業界や分野の標準価格を、実質的に設定している企業である。
ポジション②:サービスで市場を支配する
サービスは、一貫して提供していくのが最も難しい要素である。
なぜなら、サービスは人間に頼らなざるを得ないから。
商品や価格とちがって、人間をコントロールすることはできない。
しかし、サービスで市場を支配している企業があるのも事実。
サービスという要素で市場を支配したいなら、
社員そして採用、雇用、報酬、評価、訓練といった社員に関わる要素への投資が欠かせない。
サービスについて、ひとつはっきりしていることがある。
それは、”主観的であること”
優れたサービスとは、”顧客が求めるものを与えること”
つまり、消費者が求めていないサービスは、サービスではないということだ。
そして、
顧客とのやり取りにおいて提供される基本的なサービスが不十分なら、
どんなに付加価値の高いサービスを用意したところで、顧客の心を掴むことはできない。
同じ消費者、同じスタッフ、同じ商品、同じ価格、同じサービスなのに、
消費者側がまるで違った受け止め方をすることがある。
サービスで戦いたい場合は、消費者の声にしっかり耳を傾けなくてはならない。
3点は、”便宜”。消費者の基本的な期待に応えること。
たとえば、顧客は、質問するために列に並ばされる、電話で待たされる、といった対応を期待していない。また、納得いかない商品は、どんな理由であれ、無条件に、迅速に、スムーズに返品できると期待している。
便宜を図ってもらえた、と消費者が感じるのは、敬意をもって公正に扱ってくれたと感じるとき。そして商品に対する不快感や不満をパートナーが真摯に受け止めてくれた、と感じるとき。
顧客との関係を保証するのは、”礼儀正しさ”なのだ。
常連様とのコミュニケーションも常に見られている、と思いながら”プロ意識”でサービスを提供しなければならない。
4点は、”教えてほしい”という顧客のニーズに応えること。
知識を見せびらかすのではなく、必要な情報を”教える”ということは、まずはお客様のニーズを”ヒアリング”することが重要になる。お客様の声に傾聴し、知りたがっている”本質”を捉え、情報を提供することがポイントになる。
5点は、”顧客1人ひとりに合わせて商品やサービスを”カスタマイズ”すること。
具体的に言うと、セット商品をばらで売る、特別注文に応える、顧客のニーズに合わせて商品をカットする、調整する、つくりかえる、などである。
企業がサービスという要素で、3点を目指すならテクノロジーを利用して問題を解決する姿勢は間違っていない。ただし、4点・5点を目指すなら、今後も人材が鍵になることに変わりはないだろう。
ポジション③:アクセスで市場を支配する
アクセスは立地がすべて、ではなく
2つの要素から総合的にアクセスをポジショニングしていく。
物理的アクセス・・・駅近く、路面店等の立地を指す。
心理的アクセス・・・入りやすさ、メニューや価格の見やすさ、購入のしやすさなど、コミュニティなどを指す。
今日、アクセスとは立地というより、消費者が望むときに、望む場所で、なるべく邪魔が入らず面倒もなく、企業とやり取りできるようになることを指している。
3点は、欲しいものを”簡単”に見つけられる。
店にさっと入れて、さっと出られるようにしてほしい。
4点は、顧客は企業に’便利”な経験をさせてほしいと求める。
5点は、ライフスタイルにまつわる問題に”解決策”をくれるかどうか。心理的な絆やコミュニティ感覚を提供してくれるかどうか。
消費者にとってアクセスで最も重要な要素は、簡単に目的地に着けることより、建物の壁の中、もしくはパソコンの画面の中にある。実店舗で営業する企業が、アクセスで戦いたいなら、4つの重要な分野(店の清潔さ、価格の見やすさ、便利な営業時間、店の構成とレイアウト)に力を入れるべきだ。
ポジション④:商品で市場を支配する
商品も多面的な要素だ。
中でもとくに重要なのは、品質、品ぞろえの深さ、品ぞろえの幅広さである。
商品で戦いたいなら、この3要素の最も適切な組み合わせを決めなくてはならない。
企業の商品が”信用できる”ことが前提で、
3点は、最低基準の機能を果たす商品である。
ハイボールであっても、炭酸の抜けたハイボールは2点以下。
4点は、”頼りになる”こと。
つまり、一貫してよい商品を提供し、なるべく品切れを起こさないようにしなくてはならない。頼りになる商品と認識されることは、ブランド構築に成功し、このブランドなら一貫して役目を果たしてくれる、と期待されている証である。
5点は、”インスピレーション”を与える。
こうした企業が扱う商品は、ワンランク上のライフスタイルへの憧れを抱かせるアイテムである。
このレベルに当てはまる企業に、ティファニー、ロレックス、フェラガモなどが挙げられる。
だが、最高級の商品を扱う企業に限らない。自社の商品が主役を務めるようなライフスタイルを、顧客に思い描いてもらえるかどうかである。
ポジション⑤:経験価値で市場を支配する
経験価値 ≠ 楽しませること
経験価値にも2つの要素がある。
外的経験価値・・・店でピアノが聴ける、シェフが目の前で料理してくれる、つまりエンターテイメントだ。
内的経験価値・・・消費者が抱く感情と結びついた、はるかに個人的な経験だ。自分だけの経験、親密さ、特別感、どのように感じるかではなく、どのような気分でいるか、が大きなポイントとなる。
3点は、人として”敬意”を払ってほしい。
基本的なことだが、ほとんどの企業が見落としている。
4点は、”気遣い”が示されるようになる。
消費者は、「私と私のニーズを心から気遣っている、と示してほしい」
従業員の態度だけでなく、店内の表示やBGM、従業員の服装といった環境要素も含まれる。
5点は、顧客を肯定する”親密さ”。
5点を体現するなら、礼儀正しいスタッフがあなたを名前で呼び、あなたが満足しているかどうか気遣い、親密さを感じる対応をする。
顧客の期待というのは、常に変わっていく。
だから、どんなときも一貫して、信頼に足るたしかな経験価値を提供できるよう、やるべきことをやらないといけない。
企業が経験価値で市場を支配したいなら、
”顧客と従業員のやり取り”
・従業員が、礼儀正しく敬意を払ってくれる
・消費者が、大切なお客様として扱われる
・従業員が、消費者の要件に積極的に対応してくれる
・従業員が、自社の商品やサービスのイメージを高めている
・従業員の服装が、企業の雰囲気を反映・補完している
・店内の装飾、表示、レイアウトなどが見ていてたのしい
・消費者の経験価値を高めるような、BGMやビデオが店内で流れている
実例:ファイブポジショニングの実例
では、成功企業は5つの要素の点数配分をどのように組み合わせ、他社とは違うやり方で戦っているのだろうか。
ここが理解できると、CMで流れてくる企業の戦略と戦術が面白いように理解できる。
あまり見る機会は少ないかもしれないが、
企業の理念や価値(バリュー)、使命感(ビジョン)をみても、なるほどなぁと思う。
市場支配したい要素と、差別化を図りたい要素が”言葉”として上手に分かりやすく表現されている。
5点の要素を横軸に、4点の要素を縦軸に並べて、市場の勢力図をまとめてみた。
【IKEA理念】
「優れたデザインと機能性を兼ね備えたホームファニッシング製品を幅広く取りそろえ、より多くの方々にご購入いただけるよう、できる限り手ごろな価格でご提供すること」
【IKEAビジョン】
「より快適な毎日を、より多くの方々に」
自社はどのポジションを目指しているのか。
いま力を入れて活動している販促はどのポジションの点数を高めるために活動しているのか。
そもそも企業の経営方針を社内のパートナーは理解しているのか。
テーブルを囲んでもらい、白紙のこの表に、自社と競合他社の名前を入れてもらうと、とてもタメになる議論が起こる。
最後に:選択と集中
お客様を相手に商売する以上、
お客様に喜んでもらえる価格にしたいし、
お客様に喜んでもらえる商品を提供したい、
お客様に喜んでもらえるサービスも提供したければ、
お客様に喜んでもらえる空間づくりにも力をいれたい、
お客様に喜んでもらって利益を大きくしていきたい。
何も間違ったことは言っていないが、すべてで最高を求めると、
スタッフも会社も疲弊して、長続きしない未来が待っている。
しかし、ファイブウェイポジショニングという戦略にしたがって、経営戦略をたてることができれば、
もてる資源を投資するべき選択と、集中して5点の要素と4点の要素をつくりあげ、同時にその他の3つの要素のレベルを一定に保つ、
という”選択と集中”の方向性が見えてくるはずである。
一生懸命だと知恵が出る、
中途半端だと愚痴が出る、
いい加減だと言い訳が出る
さぁ、みんなで知恵を出し合って、
関わる全ての人を、より豊かにする飲食の場を提供していきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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◆Lad's dining 新宿店
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