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海外・国内におけるフェムテック最新動向

12月10日(火)に開催された「持続可能なフェムテック 顧客課題を考える」のイベントに、理事・木村が登壇しました。その内容の一部をお伝えします。

登壇では、フェムテックの海外・国内における最新動向を、具体的な企業事例などを交えながら詳しく解説するとともに、今後の展望についても考察しています。

1. 海外におけるフェムテックの最新動向

海外では、フェムテックは既に大きな市場を形成し、多くの企業が革新的な製品やサービスを開発・提供しています。特に注目すべきは、オンライン診療や妊活支援などのサービスを展開し、幅広い年齢層の女性に対応している企業です。これらの企業は、アクセスの容易さと専門家との連携を強みとして、急速に成長しています。

①領域拡大を進める海外企業

具体的な事例として、Carrot FertilityProgynyMaven Clinicといった米国企業が挙げられます。

・Carrot Fertility
ローカリゼーションした不妊治療サービスメニューを提供。加入企業の従業員は福利厚生として、世界の提携先のクリニックで不妊治療を受けられる。 2023年から、更年期症状管理のホルモン補充療法(HRT)のサポートや、更年期ケアを専門とする医師とのオンライン・対面診療を提供。更年期による生産性低下や早期退職のリスクに対応し、従業員の長期的な定着率向上を目指すことで、医療面はもちろん、職場での支援や教育も含めた総合的なケアを実施

・Progyny

全米600の不妊治療専門クリニックと連携し、約800名の医療専門家による包括的な妊活サービスパッケージを提供。2023年には、更年期治療を専門とするGennevおよびMidi Healthと提携し、更年期サポートも提供開始しました。

Maven Clinic
女性従業員とその家族のための世界最大のグローバル福利厚生プラットフォームを運営。ユーザーは、オンラインアプリを通して、医療処置や栄養や育児のための長期的なケアプランについて24時間、いつでも相談できます。更年期プログラムは前年比300%成長しており、今後も更年期領域に力を入れていく方針です。

これらの企業は、それぞれ不妊治療や更年期といった特定の領域からスタートし、その後、女性のライフステージ全体をサポートするサービスへと水平統合を進めています。

②月経管理アプリFlo Health

月経周期を記録するアプリを展開しており、2024年7月に評価額が10億ドルを超え、ヨーロッパのフェムテック企業として初のユニコーンとなりました。

記録された情報をパートナーとシェアすることも可能で、医療専門家と連携したり、正しい知識を取得できる記事も掲載しています。年齢を重ねて、ライフステージが変わっても、1つのアプリを使い続けられる点が、ユーザーに指示されています。

2. 国内におけるフェムテックの最新動向

日本では、政府が女性活躍推進や少子化対策などの社会的課題への政策の一環として、女性の健康課題解決およびフェムテック推進に力を入れています。

①政府の取り組み

・女性版骨太の方針2024
 フェムテックの推進と更なる利活用を掲げている。

フェムテック振興議員連盟
 フェムテックの普及促進を目的とした議員連盟。

フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金(経済産業省)
 フェムテック関連サービスの開発・普及を支援する補助金制度。

女性の健康総合センター(厚生労働省)
 女性の健康に関する情報提供や相談を行う機関です。

なでしこ銘柄
 女性活躍推進に優れた企業を評価する制度で、評価項目に「女性特有の健康課題に対する支援の取り組み」が追加されました。

②東京都の取り組み

東京都は、事業者・企業・個人に対し、フェムテックに関する様々な施策を実施しています。

・事業者向け
 ・女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業
 ・働く女性のウェルネス向上事業

・導入企業向け
 ・フェムテックを導入して職場環境の整備等に取り組む企業向けの奨励金制度

・個人向け
 ・卵子凍結に係る費用助成
 ・TOKYOプレコンゼミ(プレコンセプションケア)

地方の取り組みにつきましては、こちらを参照ください。

③国内フェムテックプレイヤーマップ

2023年は55社だった国内のフェムテックプレイヤーは、2024年には65社に増加しました。更年期や婦人科系疾患のプレイヤーが増加傾向にあります。

④国内における資金調達

国内でもフェムテック事業に投資するファンドやCVCが増加しています。
住友生命やあすか製薬など、大企業からの出資や、ARCH、menopeerといったスタートアップ企業による資金調達も活発化しています。

資金調達やVC・CVCにつきましては、こちらを参照ください。

⑤大企業の参入

保険、食品、ヘルスケア、アパレル、化粧品・美容、ITプラットフォームなど、様々な業界の大企業がフェムテック・フェムケア事業に参入しています。

・TOPPANエッジ
最新IOT技術を活用したウェアラブルデバイスで、女性の温度リズムを可視化することでパフォーマンスを向上させるIoTデバイスを開発しました。

ソニーグループ
熱設計やセンシング技術を活用し、個人に適した温度調整ウェアラブルデバイスを開発しました。

3. まとめ

海外では、オンライン診療や妊活・更年期支援など、幅広い年齢層に対応したサービスを提供する企業が成長を続けています。

国内では、政府や自治体がフェムテック推進に力を入れており、企業の参入も加速しており、福利厚生としてのフェムテックサービス導入も進んでいます。

フェムテックは、女性の健康課題の解決に貢献するだけでなく、企業の生産性向上や社会全体の活性化にもつながる可能性を秘めています。今後は、生産性向上や活性化をより数値化できると、フェムテック導入が進み、市場はますます拡大していくと予想されます。

6.Femtech Community Japan法人会員募集中

Femtech Coomunity Japanでは、スタートアップ・大手企業、VC・投資家、⼤学・研究機関、医療・ヘルスケア関係者メディアパートナーなどが集まり、フェムテック関連の取り組み・情報共有や現状の課題と今後に向けた議論・WG活動などを行っています。

ご関心のある方は是非、Webサイト、X、facebookグループフォローください。
有料法人会員・スタートアップ会員も募集しております。ご関心の方は下記お申込みフォーム、もしくはFCJ問い合わせアドレスまでご連絡ください。

email: hello@femtechjapan.org

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■HP
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