【海外動向】Femtech最新ウェアラブルデバイス&リング
スマートフォンなどモバイル端末の普及や、ウェアラブル端末の小型化・センシング機能の進化により、スマホアプリを利用したバイタルデータの蓄積や、日常のアクティビティログの取得が可能です。
さらに、腕時計型や指輪型など、ウェアラブル技術の進化により、精度の高いデータを、常時計測することができるようになりました。
取得したデータについても、機械学習やディープラーニングの進化により、さまざまなデータを統合して解析することで、予測や分類が可能になっています。
今回は、海外のウェアラブルデバイスやウェアラブルリングを紹介し、Femtechデバイスに求められていることを考察してみます。
1.ウェアラブルデバイス
①Tempdrop🇮🇱
腕の温度から、基礎体温が感知可能なウェアラブルデバイスです。
しずく型のウェアラブルセンサーは、パーソナライズされたユーザー固有の体温計です。ユーザー女性の分単位の毎日の体温変動が、排卵周期を通して特定のホルモンの変動と、どのように相関しているかを学習しています。
排卵の5日前まで、繰り返し起こる体温パターンを特定することが可能であり、排卵期のホルモン変化を観察してくれることで、妊活の兆候や症状を記録してくれます。
袖のある洋服を着用すれば、ウェアラブルデバイスが見えないのも、ポイントが高いです。
②Embr Labs🇺🇸
更年期女性向けのホットフラッシュ軽減デバイスです。手首の内側の皮膚に、冷却または温める感覚を与えて、自律神経系にアクセスします。
血流の多い手首に装着し、内側の皮膚を毎秒0.4℃の速度で、冷却または温めることで、ホットフラッシュの緩和・ストレス管理・睡眠の改善を促進します。
筆者が実際にしてみた感想は「ゴツい」です。パソコンでキーボード操作をしていると、手首の内側に装着するので違和感があります。もう少し小さいデバイスになると、使い勝手がよいと感じます。
③GRACE🇬🇧
更年期女性向けのホットフラッシュ軽減デバイスです。ユーザーの体温を常時モニタリングし、ほてりやのぼせ・発汗を検知したら、自動的にデバイスが冷たくなり、体の熱を冷ます仕組みです。
体表近くの脈拍の触れやすい太い血管を冷やすことで、全身をいち早く冷やすことが可能であり、即効性があります。
更年期女性向けのホットフラッシュ軽減デバイスは、海外ではいくつか出てきていますが、どのように差別化していくのか注目すべきポイントです。
④Elocare🇸🇬
更年期のホットフラッシュ、心拍数増加、発汗等の症状を記録できるウェアラブルデバイスです。アプリと連動し、症状を検出・追跡します。さらに、個人にあわせた治療プランの提案や、医療へのアクセスも提供可能です。
シンガポールは日本と同様、急速に高齢者社会が進展しており、高齢女性特有の健康課題に対するユーザーの関心も高まりつつあるとのことです。
実際に触ってみましたが、比較的小さめの可愛らしいデバイスであり、欧米と比較すると華奢なアジアの女性には、受けがよいと感じています。
2.ウェアラブルリング
①Evie Ring🇺🇸
米Movano社のウェアラブルリングです。
心拍数、皮膚温度変動の測定するだけではなく、月経・排卵トラッキングなど、女性の健康に注目を置いています。さらに、リングの間に隙間があり、むくみにも対応した装着性の工夫がされています。
②Femometer🇺🇸
妊活や睡眠トラッキングのために作られた、女性向けのスマートリングです。生理周期やホルモン変動の追跡をはじめ、睡眠の変化をトラッキングし、妊よう性との相関分析する機能も兼ね備えています。
妊娠を望んでいたり、不規則な生理周期、睡眠障害に悩まされている女性が、自分の生理周期やホルモンの変動、睡眠の変化をトラッキングできます。
基礎体温を継続的にモニタリングし、妊娠しやすい期間を予測したり、月経周期と妊よう性の相関を分析してくれるため、特に不妊治療中の女性には便利なアイテムです。
基礎体温は、朝起きた時に口腔内で測るものが一般的ですが、忙しい朝は起床時に測定するのを忘れ、動き回ってしまい、測定を忘れがちになります。その点を踏まえると、リングで基礎体温をモニタリングしてくれるのは便利なアイテムです。
③Amazfit Helio Ring🇺🇸
米Zepp Health社が発表したアスリート向けのスマートリングであり、最大100メートルの水圧にも耐えられます。心拍数や睡眠の質、身体活動などのデータから、休息すべきか運動すべきかを教えるような表示機能もついています。
心拍数や睡眠の質、身体活動などのデータから、休息すべきか運動すべきかを教えてくれるレディネススコア(メンタルやフィジカルの数値化)の表示機能も備えています。
日本語オンラインでも購入可能で、2025年12月の価格は49,900円となっています。
④Oura Ring🇫🇮
日本語版のアプリもあるフィンランドのウェアラブルリングで、睡眠や心拍、体表温も計測可能です。筆者も実際に購入し使用してみましたが、個人的に優れていると感じたのは、睡眠トラッキングと生理開始日の予測です。
睡眠は、FitbitやApple Watchなどのウェアラブルウオッチと比較し、自分の感覚と非常に近かったです。また、睡眠中に腕時計をしながら眠るのは、若干抵抗があるため、リング型だと気にならない点も素晴らしいです。
生理周期も2ヶ月ほど使用を続けると、生理周期に伴う体表温変化のパターンをトラッキングすることで、生理開始日を予測してくれます。筆者の場合、生理日予測の精度が高く、PMSなどを事前に把握できてよかったです。
しかし、最大の難点は「ゴツい」ことです。ビジネスの場でつけていた際に、「ゴツい指輪しているね」と指摘を受けたこともあり、装着するのをやめてしまったことがありました。
トラッキング機能は素晴らしいので、今後は華奢なデザインに期待したいところです。
3.まとめ:Femtechデバイスに求められること
腕時計型や指輪型のウェアラブルデバイスに求められるのは、何をトラッキングするかはもちろんですが、重要な観点としてデザインというのがあります。
筆者も、いくつかのウェアラブルデバイスを愛用してきましたが、「自分の服装に馴染むか」「デザインが邪魔にならないか」がポイントであり、自分の服装などに馴染まないものは機能が優れていても、お蔵入りとなってしまいました。
多くの女性が、機能面だけでなく、デバイスの見た目や使いやすさに高い関心を寄せています。きちんと装着することで常時データが計測できるため、そのためのデザインも女性向け商品にとっては、重要な要素です。
さらに、バイタルデータを把握し、その理由をユーザー自身が認識できることがポイントとなります。出てきた結果に納得できることが、ユーザーにとって大きな価値があると考えています。
例えば睡眠をトラッキングした場合、睡眠の質が悪かったとします。理由を考えてみたときに「前日に飲みすぎた」「寝る前に食事をした」など、自分なりに理由を認識し、納得して対策を考えることがユーザーにとっては重要であり、アドバイスやレコメンドは手段のひとつだと感じています。
4.Femtech Community Japan法人会員募集中
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