シュウカツ

ここ1、2年のうちに少しずつ起きている変化。
母がいろいろなものを送ってくれるようになったこと。

うすうす気づいてきているけれど、そろそろ終わりのことを考えて母なりに行動に移しているのだと思う。
面と向かってそういう話はしないし、なんなら実際に顔を合わせてゆっくり会話することがないから深い話はしていないのだけれど、想像するだけでわたしは、まだその時の準備ができていないのだなぁと思う。

数年前、それこそまだ結婚するまえは年に2回、盆正月は両親の家へ顔を出していたころ
「この家はモノが多すぎる」
と感じていたし、たぶんいまでもものは多いのだろうなとは思う。
両親がいなくなったら、この家は誰が片付けるんだろう、などとぼんやりと思いながら、でもここは両親の家、ものを増やそうがなにしようがわたしが口出しすることではないし、と思ってきた。

また、その頃は
「こんなものが出てきたの」
と嬉しそうに、わたしたち兄弟がまだ子どもだったころのものを見せてくれたりして、それはそれで楽しい時間だった。

わたしが子どもの頃に過ごした家は、今は下の弟が住んでいて
両親は自分たちが引退(仕事を辞める)タイミングの少し前に、田舎に家(ログハウス)を建てて週末はそこで過ごし、完全に仕事を辞めてからはそちらに移住をした。そして数年前に、弟が住むその家にあったモノをいま両親が住んでいる家にごっそりと移動したようだった。
そこは、昔住んでいた家よりも広いし、年を重ねるごとに増築したりなんかしていたからスペースは十分あったみたいで。
「ともちゃんのものもあるから、いつか取りにきてね」
と言われていたような…


はいはい
うん、またそのうちね

なんて言ってるうちに結婚したら、そうそう両親の家に行けるタイミングがなくなってしまった。

***

昨日のこと。
突然母からメッセージが届いて、わたしが実家にいたころ作ったテディベアのぬいぐるみ(わりと大きめ)、ずっと置いてあったけど、送ってもいい? と。

ん?
もう置く場所がない?
片付けたい?
さすがにもうモノが多すぎて…とか、もしかしてシュウカツ?
うーん、送られてもなぁ…うちも狭いし捨ててもらってもいいんだけど…
わたしのモノだから勝手に処分しちゃいけないと思ったのかな。
捨ててもいいよ、って送ろうかな

と、一瞬おもった。
けど。

ちょっと違う気がしてひと晩おいてから
いままで保管しておいてくれたことに感謝して
「よかったら送ってください」
と返事をしたら、思いもよらない返事がきた。


ありがとう、と。
いままでおばあちゃん(母の母)の作品と一緒に住んでいたけど、この子はともちゃんのところに行きたいだろうと思って、と。

それからしばらくして、このテディベアをバスタオルで包んで箱にいれたら涙が…って。
2021年に亡くなった愛犬を見送ったときのような気持ちになったのだと。


これを読んでわたしまで、涙が…。
まさか、そんな気持ちでいてくれたとは。

『もう要らないから、送るくらいなら捨てといて』
なんて言わなくて良かった、と思った。

10代の頃に姉と一緒にテディベアづくりにはまって、わざわざ取り寄せたキットで作ったテディベア、確かにあの頃は嬉しくて大事にしていたけれど、ここ数年間は母の家で預かってもらっていて、その存在すら思い出すこともなくなっていた。本音をいえば今はもうなくても良いかな、とすら思っていたけど、母にとってのそれは違ったんだろうなぁ。

とりあえず、母の気持ちを傷つけることはなくて良かった。


少しずつ、変化がおきている。
今のわたしは日々のあれやこれやで精一杯だけれど、両親との残された時間を大切にしたいなぁと思った。

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