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変な人〜part.3〜
夫のお父さん、つまり私にとっての舅は、現在認知症で施設に入居しているが、この義父さん、お元気な時からとても変っていた。息子である夫や娘が断言するのだから大袈裟ではない。考え方が独特なのだ。
例えば、義父さん自身から聞いた話だが、まだ働いていた頃、お正月、職場の同僚に新年を祝うお膳に招かれたらしいのだが、その時にお雑煮が出て「こんなまずいものを出す奴とは付き合わん!」と怒ったらしい。義父さんの田舎ではお雑煮なるものは一度も出たことがなかったようで、私の夫も義妹もお雑煮を食べたことがない。お餅はあんこで食べるものと決まっていたと言う。お雑煮と言えば、地方やその家々で違いがあり、その人の出身がわかるひとつの伝統的な食べ物だと思うが、私は知らない人がいることの方に驚いた。
東日本大震災の時、一緒にテレビを見ていたのだが、惨状を報道する番組ばかりにお義父さんは「こんなことばかり報道して、面白い番組がひとつもあらへん。」と言い放った時には、一瞬、殴ってやろうかと鬼嫁に化した。
その頃は同居していて、4歳のヤンチャ盛りの息子が、トイレで手を洗った後にお水をポタポタ床に落としていると、叱ったり、おもちゃの車で遊んでいたら、床に傷が付くと頭を叩いたり…。
元ヤンの私はキレた。もう我慢できない!毎回毎回、言い返すようになった。最悪のシナリオだ。
ある時は義父さんが暴言を吐く→私が言い返す→義父さんがお皿を投げようとする→私がガンを飛ばし止める……という修羅の家のような様相になった。
とうとう義父さんの「出て行け!!」コールが頻繁になり、息子である夫と義父さんが取っ組み合いの喧嘩となった。あ〜ぁ……。
という訳でたった一年未満で、同居はジ、エンド。
その後は、選手交代で、義父さんと娘である義妹との取っ組み合いだの、義妹が義父さんに水をぶっかけて警察騒ぎ…だの、本当にすごい状況が続いた。
あれから10年が経ち、今、義父さんは過去の事も、さっきご飯を食べた事もころっと忘れて、穏やかな人になった。
「何が何だかさっぱりわからん。」を連発する、とっても可愛いお爺ちゃんになった。
色々壮絶なことがあったけど、思い出せば、昔から
可愛いところのある人だった。そんなことを言う嫁はなんとも失礼極まりないが、義父さんの洗濯物は私が担当している。今はまだ、コロナで面会は夫しか行けないが、元気そうな様子を聞いて安心している。
変っているけど可愛い人…そんな人かな?(笑)