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籠が好き

 わが家には一体、幾つの籠があるだろう。数えてはいないが、もうかれこれ25年は集めている。
 もちろん処分した物もあるが、ずっと変わらず使い続けている貴重な物もある。
 自称ジプシーの私でも、変わらず大切に使い続けてきたのは、籠以外の物に目移りしなかったからだ。
 雅姫さんの本を何冊も持っていて、彼女のナチュラルなセンスが好きで、お手本にしてきた。
 自然に触れていれば、人は穏やかでいられるような気がする。

 山が見え、田んぼがあって、鳥たちのさえずりが聞こえる生活に癒されている。
 冬の寒い日には、山の頂上には霧がかかり、春になれば田んぼは蓮華畠になる。今の季節の水田は、夜の月が水面に移り、幻想的で感動する。
 
 そして、どこに住もうと誰にでも訪れる夜には、日々、形を変える月が見える。私はその月を眺めながらワインを飲む。ドビュッシーの月の光を聴きながら。これが私へのご褒美…スペシャルなひと時だ。


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