見出し画像

車を手放す【高齢な親の話】

片道6時間、新幹線の距離に住む母を遠距離介護しています。

前から母の所有する車を「どうにかせねば」とは思っていました。

母は閉じこもり生活となる前はアクティブな生活を送っていて、車も便利に使用していました。

ですが、閉じこもり生活となってから1年10か月。車を運転することはありませんでした。

母はうつ病からの閉じこもり生活で
「もう頭がおかしい」「なにがなんだかわからへん」
を繰り返しています。時々ハイになって、出かけたりもするのですが、それ以外はずっと閉じこもっています。

母はハイな日は話が通じるのですが、不調な時はすべてを「やっぱりいいです」と断ります。

車を売ろうにも、母がサインしてくれるかどうか分からないのです。いつハイになるかもわからない。今まで銀行や役所、通院などハイな母に「行きたい」呼び出されて、急いで帰省したけれど、帰省した時にはローになった母に「その話はやめてちょうだい」とキャンセルされて空振りになったことが何度もありました。

「どうやって車売ればいいねん」

車って、維持費がかかります。任意保険、税金、車検。
それに乗ってないと車自体も悪くなってしまう。

ただ、実家は車がある方が断然便利な地域です。先日タクシーを頼もうとしたら5社連続で「その地域は車がないんですわ」と断られたことを思えば、車があった方が私にとっては何かと便利でした。

そう思って、売ろうとは思うけど、でも、でも、とずっと保留にしていたのですが、ついに車を手放しました。

先日、帰省した時に母を通院に連れて行こうと車に乗ったところ、エンジンがかかりませんでした。すごく寒い日だったので、気温のせいもあったかもしれませんが、バッテリーがあがってました。(通院にはタクシーで行きました)

「ああ、もう維持できないやん」

ついに車を売る決心をして、母に尋ねました。

「車、エンジンがかからんわ。私が帰省して乗ってるけど、これ以上頻繁には乗れないし、もう無理やと思う」

母は、その日調子が良かったようで、すんなりと手放そう、と話がまとまりました。

聞けば、車はいつも決まった自動車屋さんから買っていたそうです。個人でやってるお店です。車検もそこでしてもらっていたようです。母がそこに電話すると、そこの方がすぐに来てくれました。

お店の人「実は、お母さんから前に売りたいってお話がありまして。で、取りに来たら、「そんなこと言ったかな。娘がまだ乗るって言ってたわ。」と言われたんで、帰ったんです。娘さんも一緒に話をせなあかんと、思うとったんですわ。」

なんですと、そんなことがあったんですね。それは申し訳ありませんでした。ところで、母のサインとか必要ですよね?

母は「私は出ないからね。あんたが対応してや。」と玄関に出てもきませんでした。(こんな感じだから、サインをしてもらうのが、すごく大変です)

お店の人「いえ、こっちで全部やっておきます。大丈夫です」

そして、値段交渉をして、お金を置いて、あっさりと車を持って行かれました。

あっさりと売れました。

ええ、拍子抜けするほど簡単に。

ん?名義変更とかってそんなに簡単なん??
そうなん??

・・・・だったら!

母にどうやってサインさせようか、そればっかり考えてたので、値段交渉とかあまり考えてませんでした。もっと値段交渉すればよかったかしら?(かなり安かったと思う)

いや、私が車に乗って帰って、名義変更してうちで乗ればよかったか?(かなり遠いけど)

簡単に売りすぎた???

あの車、まだまだ乗れたよね?もったいなかったか??

などと雑念がわーーーーっと出てきたのですが、後から思い直しました。
それはそれで大変だっただろうし、一つ完了できたと思うことにしよう、と。

私はいつだって介護帰省できるわけじゃない。
母の心の調子がこれからどうなるか分からない。

できる時にできることを。

そう思うことにしました。


お読みいただきありがとうございます。
今日も皆様がステキな一日を過ごせますように。



いいなと思ったら応援しよう!