理想の社会人になるためのマニュアル⑱
「認知的不協和」
認知的不協和とは「自分が心理的に矛盾していることに直面した場合、その矛盾から来る不安感や不快感から抜け出すために、強く動機づけられた行動をとってしまう」といったもので、先ほどお話しした「返報性の原理」と一緒に紹介されることの多いものです。
この事を使った代表的なテクニックとして「フット・イン・ザ・ドア」といったものがあります。
フット・イン・ザ・ドアとは、「小さなお願いを叶えてあげているうちに次第に話が大きなものへと変わりその大きなお願いに関しても叶えなくてはと思ってしまう」といった心理です。
もしあなたの家に突然セールスマンの人が現れたとします。
一瞬何事かと思うかもしれませんが、にこやかで人の良さそうな雰囲気であれば「話を聞くぐらいなら」と玄関にその人を入れてしまうでしょう。この時実は「相手の話を聞いてあげた親切な自分」という認識が生まれているのです。
ここでさらに商品を紹介されて、買わないかとお願いされるでしょう。
その時、ここで断ってしまうと「相手のお願いを断る不誠実な自分」という先ほどの認識と矛盾してしまう認識が生まれてしまう事となります。
この矛盾を解消するには相手のお願い、つまり商品を買ってあげるしか無いと考えてしまいます。
それでも高価なものだと悩んでしまうでしょうが、この時に先ほど紹介した「ドア・イン・ザ・フェイス」を使われてしまうともう買うしかないでしょうね。
このように、セールスにおいて認知的不協和というのは、人間の行動に大きく影響を与えるものです。
しかし、それでも万能なのもではなく、最初から無理難題をお願いしてしまうと聞き入れてもらえるはずもなく、逆に「この人の言う事には無理があるから」という認識をされ、話すらまともに聞いてもらえなくなることになりますので、最初にどういったお願いをするかが重要となるでしょう。