今日の演奏会で感じたこと
アッパークラスであるということ
予定通り、長年お世話になっている方の高校生の息子さんが代表をつとめる学内の音楽祭の演奏会にお声がけいただき、出かけてきた。
彼が小学生の頃から知り合いであり、成長の様子を見守ってきたが、今では国内でも屈指の進学校に通い、学業成績も優秀で、さらにはピアノ演奏でも、国内外のコンクールで入賞するなど、輝かしい成果を上げている。2月には所属先の学校の音楽ホールで、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番をオーケストラと共に披露し、その華麗な演奏に感銘を受けたことは記憶に新しい。その後もピアノにのめり込み、ドイツで世界的なピアニストの指導を受け、ますます腕を磨いている、と楽しみであった。
本日の演奏会は、彼一人の演奏にとどまらず、同じ学校に通う中高生による音楽会であった。イベントは三部構成で、ピアノソロ、弦楽四重奏、チェロとピアノのソナタなど、主にヨーロッパの有名な作曲家による楽曲が多く披露された。中学生、高校生が舞台に立ち、経験豊富な先輩が後輩をサポートする姿も印象的であった。ご父兄たちが胸を熱くして見守る中、熱演ぞろいであった。ホールにはスタインウェイのピアノが備えられ、音響設備も立派で、演奏者の音楽表現を存分に引き立てる素晴らしい環境であった。
音楽教育と格差社会
演奏会を聴きながら、先日「ビバ!マエストロ」というドキュメンタリー映画でより詳しく知った、ベネズエラの音楽教育プロジェクト「エル・システマ」を思い出した。「エル・システマ」は、音楽教育を通じて貧困層の子供たちに希望を与える取り組みであり、大変な成果をあげている。本日の演奏者たちは裕福な家庭の子息であり、教育投資の大切さを深く理解する親に支えられている。同じような才能があっても機会に恵まれずにいる子が大勢いるのかもしれないし、音楽によって豊かな気持ちになる経験も知らない人も多いのかも知れない。
今後も知人の息子さんの活躍を応援していきたいが、同時に「エル・システマ」のように、音楽教育など、人間の善い部分を感じられるような仕組みが経済格差に左右されず、多くの子供たちに届くとよいのに、とも思わされた。