若冲めぐり@京都
伊藤若冲との「再会」: 嵐山の若冲展と錦市場の若冲ストリート
伊藤若冲を初めて知ったのは、2016年に上野で開催された大規模な若冲展である。美術鑑賞は元々好きであったが、若冲についての予備知識は全くなく、その展覧会が4〜5時間待ちの行列ができるほどの大人気であるというニュースを見て初めてその名前を認識したという程度であった。
会場で観た若冲の作品群は衝撃的であった。鮮やかな色彩、確かな画力、大胆な構図。これまで知っていた日本画の枠組みを超え、天真爛漫さとユーモア、そして無邪気な好奇心が爆発するようなエネルギーが満ち溢れていた。
その後、若冲について深く調べることもなく時が過ぎたが、昨年の夏、思いがけず「再会」を果たした。京都旅行中、宿泊先のロビーで偶然見かけた「相国寺承天閣美術館」での「若冲と応挙」展のチラシがそれである。早速スケジュールに入れて出かけてみた。
この展覧会で、相国寺が若冲の墓所であること、鹿苑寺(金閣寺)の障壁画が若冲の手によるものであることを知り、若冲への理解が一層深まった。
錦市場と若冲の関わり
京都での「再会」をきっかけに、錦市場を訪れる機会を得た。錦市場は、若冲の生家である青果店があった場所として知られ、アーケード内には若冲作品をモチーフとした垂れ幕が掲げられ、各店舗のシャッターにも彼の絵が描かれている。市場の存続に大きく貢献した若冲は、この地で今なお愛され続ける存在であり、その影響力の大きさを実感することができた。
嵐山での若冲展:世界初公開の「果そ図巻」
今回の旅では、嵐山の福田美術館で開催された若冲展を訪れてみた。
https://fukuda-art-museum.jp/exhibition/202407053434
このイベントの目玉は、世界初公開となる「果そ図巻」。この作品は、若冲特有の緻密で繊細な表現と鮮やかな色彩、そして愛嬌のある動植物の描写が際立つ内容であり、観る者を楽しませる仕掛けに満ちていた。また、詩人と共に川下りをしながら描いた大作の絵巻も展示されており、絵画と漢詩のコラボレーションという稀有な作品に目を奪われた。
今回の旅でも堪能できたが、NHKで中村七之助が若冲役のドラマも放映されたようだし、さらに詳しく知る機会もあろうかと思う。今後もまたどんな驚きや楽しさを感じることができるのか次の出会いに期待している。