英一蝶展@サントリー美術館
流刑の試練により技を磨いた人
英一蝶(はなぶさ・いっちょう)を知ったのはつい先日出かけた出光美術館の「物・ものを呼ぶ」展で展示されていた「四季日待図巻」という絵だった(重要文化財とのこと)。
江戸時代の風俗画、ということで、ざっと見て素通りしそうになったのだが、同行した夫が、絵の脇に表示されている解説をよく読んで、「この絵師、流罪中にこの絵を描いたんだって」と教えてくれて、がぜん興味をひかれた。
緻密で軽妙なこの作品、とても流刑地での作とは信じられない。
(↓10/15付の自分の投稿)。
(ちょっと脱線:自分の中では「流刑地」といえば、映画「パピヨン」の「悪魔島」である。周囲は断崖絶壁、自由を厳しく制限され、反抗的な態度を示そうものなら狭く光も入らない仕置き部屋に閉じ込められ、脱獄を試みれば厳罰に処せられ、行状によっては容赦なく処刑される、という悲惨なものだった。)
江戸時代の日本にあっては、少なくともこの絵師の場合は、罪の程度のせいもあるかも知れないが虐待のような待遇ではなかったようである。と言っても、基本、流刑は終身が普通だったらしく、将軍代替りの大赦があって江戸に戻れたのは奇跡的との事。
Perplexityで調べてみたのだが、絵の師匠は狩野安信、俳諧の師匠は松尾芭蕉とのこと、マルチな才能があって、配流先にあっても絵が売れて、商いも営み、「家持ち流人」で暮らし向きも良かった様子。
江戸へ戻ってからは、狩野派の絵師としての画業に専念したかったようだが、風俗画の要望が多かったとのこと、そういえば格調高くもあり、親しみやすくおかしみもある漫画のようなテイストもあって、独特。
作風も面白いけれど、何よりこの人の起伏にとんだ人生、映画やドラマになったらぜひ見てみたい。
今回の展覧会は過去一番の規模とかで、NYのメトロポリタン美術館からの里帰り作品、板橋区、豊橋市、その他個人蔵の作品も集めたとかで素人の自分にも気合が入っていることがよくわかった。
2024/11/10までサントリー美術館
https://youtu.be/_Bas-6rdyAg?si=so-R9rocSVK7yXCf
課題図書の抜き書き
重要な事実とは、目標を達成するために有効な事実のことである。そのほかの事実は、すべて取るに足らない事実であるから価値がない。
私たちはできていないが、成功者はやっている52のこと
ナポレオン・ヒル