モネ展@国立西洋美術館 上野
昨日、上野の国立西洋美術館で開催中のクロード・モネ展を鑑賞してきた。「モネ=睡蓮の画家」という程度の予備知識のみで足を運んだが、実際に作品を鑑賞し、彼の人生や作品の奥深さに触れる中で、いくつか気づきがあった。ここに自分なりに心に残った点をまとめてみた。
1. 睡蓮を描き始めた年齢と晩年の制作意欲
モネが「睡蓮」の連作を描き始めたのは57歳からであると知り、驚いた。そして、白内障により視力が低下した70代においても創作意欲が衰えることなく、代表作を次々に生み出していた点に感銘を受けた。どのような状況においても描き続けるという彼の姿勢には、人生の深みが感じられる。
2. 日本文化の影響と庭園へのこだわり
モネは親日派であり、浮世絵にも影響を受けていたという。自宅の庭には日本風の橋を設け、それを描いた作品も多く残している。日本文化からインスピレーションを受け、フランスの地に理想の庭園風景を作り上げた独創性にときめいた。
3. 家族の喪失と創作活動
モネは39歳で最初の妻を、71歳で二番目の妻を亡くし、さらには長男にも先立たれている。家族の喪失という辛い経験を乗り越え、創作に没頭し続けた強さに心を打たれた。
4. 繰り返し描かれる自然と色彩の変化
モネは同じ素材を何度も描き、そのたびに異なる光や色彩を表現している。「自然の美しさは一度見たからわかったというものではない」ということを作品を通して再認識させられる。季節や天候によって異なる光の変化が同じ風景に新たな表情を与えることに気づき、見るたびに新しい発見があるのだ。
5. モネが愛した薄紫の花々
モネは、睡蓮だけでなくアイリスや藤、アガパンサスといった青紫~薄紫の花々も好んで描いている。これらの柔らかな色調が鑑賞者をその世界へ引き込み、心を落ち着かせるような癒しを感じさせる。特に藤の花については、輪郭を白や黄色で描き、その周囲に藤色を加えることで存在感を生み出している技法がとても印象的であった。
今回モネの作品を鑑賞し、彼の光や色彩に対する独自のアプローチを知ることができたことは収穫であった。また、写真撮影が許可されている展示室もあり、いくつかを記録として残すことができたので、改めて振り返りたいと思う。正直、最初は特別な期待を抱いていたわけではなかったが、実際に足を運んでみると、多くの発見と学びがあった。次の機会にはさらに掘り下げて、モネの世界に触れてみたいと思う。