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1.はじめに

※注意※ Attention!
こちらの記事は、決して「おひとりさま」での移植をおすすめるものではありません。家族の手助けがあるのなら、それに越したことはありません。
 しかし、現実の世の中は少子高齢化が進み、未婚率は上昇し、地方では老々介護が増加している(←子供との別居が進んでいる)ように、実際に一人で暮らしている人は増える傾向にあります。あるいは、同居していても親も病気、ということもあり得ます。一人暮らしだからと言って病気は避けて行ってはくれませんので、今後は世の中の傾向と同様に、おひとりさまの方が造血幹細胞移植を治療の選択肢に入れないといけなくなることも増えると考えられます。そのような方に参考にしていただきたいと思い、自分の経験を書くことにいたしました。
もちろん、一人での造血幹細胞移植は大変です。冒頭で述べたように、家族が居て、助けてもらえるのならばぜひ助けてもらってください。でも逆に、おひとりさまだからと言って、移植を諦めることはない。それが私の考えです。その時に、何をすればいいか、どう考え、どう立ち向かえばいいか、私のたった一人分の経験ではありますが、それをまとめました。

おひとりさまの方はもちろんですが、ご家族のいらっしゃる方にも、留守中の話、自宅療養の話など参考にしていただければ幸いです。また、ご家族が移植で入院することになった方にもぜひお読みいただき、闘病する方の支えになっていただければと思います。

1. はじめに

はじめまして、如月ローズと申します。私は骨髄線維症という病気で、2019年12月に造血幹細胞移植を受け、現在は退院し、自宅療養中です。慢性的な疾患ですので、ある程度しっかり準備をすることが出来たこと、また経過が順調で、比較的早く退院することが出来たこと、がんではないため、抗がん剤治療が移植のための一度で済んだことなど、ラッキーなことが重なりました。その為、入院中も趣味でもある「書き記すこと」はずっと続けていられました。
退院した今、何か同じように移植を受ける方に伝えられることはないかと考え、入院中の記録をまとめ、こちらの文章を書くことにしました。

移植については、すでに多くの方がネットに色々な情報を挙げて下さっていますし、医療機関の文章も多く上がっていますが、その中で、家族の支援をあまり受けられない方に参考になる情報が少ない気がしましたので、そういう方に向けて主に書いて行こうと思います。
ただ、おひとりさまと一口に言っても、比較的近くで、家族の支援をある程度受けられる方から、天涯孤独な方まで、あるいは家族はいないけれど職場や友人の援助を受けることが出来る方…… いろいろあると思います。
それぞれのケースに合わせて、「この項目はあの人に頼もう」とか、「誰それには、これをお願いできないだろうか」と言った支援のお願いの判断にもお使いいただけるのではないでしょうか。

私の場合、家族は、年老いた母親が実家に(免許返納済み)。弟が二人いますが、どちらも実家を出て、それぞれ一人暮らしを広島でしています(私が現在住んでおり、移植を受けたのは岡山です)
その為、病院でのケアなどを頼むのがむつかしく、また、弟は仕事もありますので、何かを頼んだりできる状況ではありませんでした(その他の親戚もみな、広島在住です)

入院すると、一番大変になるのが、洗濯などの身の回りのことだと思っていたのですが(最初に病気が分かって、色々調べた時、それが一番引っかかっていました)主治医に「基本的には自分でやってもらうし、体調的に動けないとか、クリーンルームから出られない時は看護助手がいるから大丈夫です」と聞き、同時に「過去にもそういう人いたし、なんとかなると思うけど」と言われたため、最終的にはやってみる決断が出来ました。

自宅療養についても「家族の支援を……」みたいなことを大変よく見たのですが、実際の移植をされた方のブログなどを読んでいると、男性は「家族が支えてくれて」みたいな文言を見かけたのですが、女性の場合は「家族が助けてくれて」みたいな感じになっており、いろいろなものを見るほどに「ある程度自力で生活できるようにしてもらって退院出来たら、今でも家事は自分でやってるんだし、なんとかなるんじゃないかな?」と思うようになっていました。
具体的に、入院前にどんな準備をしたのか、あるいは退院してからどんな生活を想定していたのか、そして実際はどうだったのか、そういうことも順次ご紹介したいと思います。

また、先に書いたように、私はとてもいい経過をたどっています。主治医からもその旨言われておりますので、その私を基準にあれこれ書くことにはためらいもありましたが、患者の立場から言うと「自分をどれだけ『ラッキーな』側に寄せられるか」というのが、闘病の大きな柱だと思いますので、自分なりに「できることは全部やった」内容も詳しくお伝えしたいと思います。

なお、この文章の前半は造血幹細胞移植の患者としてのテクニカル(?)な面を中心に書いています。後半には、実際の自分の記録を元に、こんな感じで過ごした、こんな症状があった、ということを書いています(平たく言えば日記みたいなものです)
後半の部分は、私の感想とか、感じたこと、考えたことなどが結構入っていますので、ご了承の上、参考にしていただければと思います。

それから、移植及び入院中、先生方を始めとして、多くの医療関係者の方に大変おせわになりました。輸血も、何度となく行いました。それらに携わっていただいた医療従事者の方々、および献血にご協力いただいた方々、本当にどうもありがとうございました。

内容としては、以下のようなものになります。全部で11万文字を超えました。適度に読み飛ばしていただきながら、お役に立てれば幸いです。

Ⅰ部
1.はじめに
2.造血幹細胞移植の流れ
① 入院について
② 検査について
③ カテーテル挿入
④ 前処置について
⑤ 移植について
⑥ 生着について
⑦ GVHDの話
⑦’免疫抑制剤のこと
⑦’’感染症のこと
⑧ 退院の目安(?)
*1 オリエンテーション入院について
3.準備について
① 【考え方】
② 【具体的にやったこと】
4.入院生活の話
① 入院~退院について
② クリーンルーム病棟のこと
③ 一日の生活 タイムテーブルなど
④ 1週間の生活
⑤ 検査について
⑥ リハビリテーション(以下リハビリ)のこと
⑦ 歯科のこと
5.入院時の持ち物の話
① 考え方
② 必要なもの、消耗品
③ 私の持ち物リスト
④ 事前に確認できるなら
6.退院後(自宅療養)の生活について
① 事前準備の程度次第
② 日常の掃除、除菌についてなど
③ 食事について
④ 各種ケアについて
⑤ 通院と薬について
⑥ 自分でやってはいけないこと
⑦ お金の話
⑧ リハビリの話
7.おわりに

Ⅱ部 【私個人の】入院生活と闘病の話
◎【11月】
1.最終出勤後、入院前(11/16~11/17)
2.いざ入院、そして検査(11/18~11/23)
3.前処置とその準備(11/24~12/1)
◎【12月】
4.いよいよ移植。そして免疫抑制剤のこと(12/2~12/9)
5.狭心症と脱毛(12/10~12/13)
6.生着へ向かう(12/14~12/19)
7.暖冬の闘病生活(12/20~12/23)
8.クリスマス(12/24~12/26)
9.年末へ(12/27~31)
10.新年(1/1~1/7)
11.少しの不調あれこれ(1/8~1/19)
12.退院に向けて(1/20~1/31)

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おひとりさまが増えている現在ですが、病気をして、闘病、ということになるとまだまだ社会は対応できていないことが多いと思います。 血液疾患で造血幹細胞移植を行った私が体験したことを、そんな方の参考になれば、という思いで、まとめることに致しました。

※こちらの記事は、決して「おひとりさま」での移植をおすすめるものではありません。家族の手助けがあるのなら、それに越したことはありません。 …

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。お役に立ちましたら幸いです。 *家飲みを、もっと美味しく簡単に*