酒井順子(1966.9.15- )「松本清張の女たち 第五回 転落するお嬢さん達」『小説新潮』2022年12月号
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第五回 転落するお嬢さん達」
鈴木美千代・画
p.374-380
『小説新潮』2022年12月号
新潮社 2022年11月22日発売
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BJJ98PJS
https://www.shinchosha.co.jp/shoushin/backnumber/20221122/
「お嬢さん探偵ものは、1950年代末頃から、
60年代初頭にかけて集中して書かれたが、
お嬢さん転落ものが目立つようになったのは
60年代初頭。
『人間水域』『マイホーム』1961~
『果実のない森』『婦人画報』1962~
『翳った旋舞』『女性セブン』創刊号 1963~
が、極私的 "お嬢さん転落小説" である。」
p.374
https://www.amazon.co.jp/dp/4396345968
「清張は、まだ女性誌での小説連載をしたことがなかった
昭和三十二年(1957)『新女苑』に短編
「遠くからの声」を書いているが、
この作品は清張の転落ものの種子のような存在だ。
実業之日本社から出ていた『新女苑』は、
昭和初期の人気少女雑誌『少女の友』のお姉さん的な雑誌。
清張がこの雑誌に書いたのは一度のみ。
…
三大転落ストーリーへとつながるもう一つの小説が、
『霧の旗』である。
『波の塔』と同じ昭和三十四年(1959)に、
『婦人公論』で連載が始まった。
『波の塔』は、"清張初の恋愛小説" という鳴り物入りで、
フレッシュなメディアである女性週刊誌
[『女性自身』]にてスタートを切ったが、
『霧の旗』もまた別の意味で、
それまでの女性誌小説とは異なる作品だった。
若い女性による、暗いトーンの復讐譚なのである。」
p.375
「時は高度経済成長期。… 清張の転落ものの特徴は、
男性に転落させられるのではなく、
自分の意志で女性が落ちていくところにある。
女の人生は男次第と言われる時代、清張が描いたのは、
良くも悪くも強い意志を持った女性達だった。
その姿は女性誌の読者達に、
もしかしたら自分にももたらされたかもしれない、
「男次第ではない人生」の可能性と夢とを示したことだろう。」
p.380
松本清張の作品一覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/松本清張の作品一覧
酒井順子の掲載雑誌記事
http://www.hatirobei.com/ブックガイド/作家から/酒井順子/雑誌掲載記事
読書メーター
酒井順子の本棚(登録冊数34冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11092015
小説新潮の本棚(登録冊数56冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11408157
https://note.com/fe1955/n/n1474f3c18934
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第一回 初めての女性誌連載」
『小説新潮』2022年8月号
https://note.com/fe1955/n/n5789709a4899
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第二回 『ゼロの焦点』の表と裏」
『小説新潮』2022年9月号
https://note.com/fe1955/n/n3f15b2dc39d9
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第三回 お嬢さん探偵の限界」
『小説新潮』2022年10月号
https://note.com/fe1955/n/nd73f79dc9dd9
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第四回 初めての恋愛小説」
『小説新潮』2022年11月号
https://note.com/fe1955/n/n644b2c0ce468
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第六回 『婦人公論』における松本清張 1」
『小説新潮』2023年1月号
酒井順子
『日本エッセイ小史 人はなぜエッセイを書くのか』
講談社 2023年4月26日発売 224ページ 1760円
https://www.amazon.co.jp/dp/4065310067
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000374525