酒井順子(1966.9.15- )「人はなぜエッセイを書くのか 日本エッセイ小史 第一回 エッセイという謎」『小説現代』2020年9月号
『小説現代』2020年9月号
講談社 2020年8月21日発売
https://www.amazon.co.jp/dp/B08F6X4Q9N
酒井順子(1966.9.15- )
「人はなぜエッセイを書くのか
日本エッセイ小史
第一回 エッセイという謎」
p.212-217
2022年10月14日読了
池澤夏樹編
『日本文学全集 7 枕草子/方丈記/徒然草』
河出書房新社 2016.11
https://www.amazon.co.jp/dp/4309728774
で枕草子の新訳を発表し、その月報で
上野千鶴子さんに橋本治訳などと比較して褒められていた、
1966年9月15日東京都生まれな多作なエッセイスト、
酒井順子さんの連載第一回(2022年3月号最終回)。
酒井順子
『日本エッセイ小史 人はなぜエッセイを書くのか』
講談社 20023年4月刊
224ページ 1760円
https://www.amazon.co.jp/dp/4065310067
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000374525
https://viewer-trial.bookwalker.jp/03/15/viewer.html?cid=22dd2568-92a3-41ac-9d50-fdee2c4c48dd
↑ 13ページまで「試し読み」できます。
「少し自分の話をさせていただくと、エッセイで口に糊している私は、誰に許可されたわけでもなく「エッセイスト」を自称しています。
エッセイの語源が「試みる」だとは全く知らない頃、何となく書いたものがエッセイ的だったので、何となくエッセイストを名乗ったのであり、
「随筆家」を名乗ろうという頭はハナからなかった。
それは、昭和[1926-1987]も末のこと。
その頃には既にエッセイという言葉は、
随筆を圧倒していたことになりましょう。
以来三十余年、私はエッセイを書いているのですが、
書けば書くほど感じられるのは、
エッセイというジャンルの不思議さです。」
p.213
「1980年頃は、エッセイの世界において
様々な動きがあった時代でした。
1979年に刊行された
椎名誠[1944.6.14- ]の作家デビュー作
『さらば国分寺書店のオババ』は、
「昭和軽薄体」といわれる口語体に近い文体を使用した
「スーパーエッセイ」として人気となりました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4101448175
https://ja.wikipedia.org/wiki/さらば国分寺書店のオババ
1982年には、女性の本音、本性を隠すところなく綴った
林真理子[1954.4.1- ]のデビュー作
『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーに、
エッセイの世界では若者達が新しい波を起こしていたのです。」
p.215
https://www.amazon.co.jp/dp/404157904X
「講談社エッセイ賞[1985年創設、2018年終了]は、
そのような時代であったからこそ発足したのではないかと、
私は見ています。
…
本稿で私は同賞のあり方を入り口として
エッセイとは何か、
そして日本のエッセイの来し方行く末を
考えてみたいと思っているのです。」
p.216
講談社エッセイ賞選考委員
1985年
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
山口瞳(1926.1.19-1995.8.30)
大岡信(1931.2.16-2017.4.5)
井上ひさし(1934.11.16-2010.4.9)
「選考委員の顔ぶれからも、
エッセイ賞の独自性が感じられます。
いずれもエッセイの名手ではありますが、
エッセイが本職ではありません。
小説を対象とした文学賞で、
小説を本業としない選考委員が全てを占める
ということは考えづらいものですが、
エッセイ賞だからこそ、
このような現象となったのです。」
p.217
講談社エッセイ賞選考委員
2018年
東海林さだお(1937.1.30- )
林真理子(1954.4.1- )
坪内祐三(1958.5.8-2020.1.13)2005年~
岸本佐知子(1960.2.25- )
酒井順子(1966.9.15- )2011年~
第20回 (2004年)
受賞作 酒井順子『負け犬の遠吠え』
https://ja.wikipedia.org/wiki/講談社エッセイ賞
「選考委員となって驚いたのは、
選考会において毎年のように、
「この作品は、果たしてエッセイなのか」
という議論が交わされたことでした。
漫画家と小説家と評論家と翻訳家とエッセイストが
「エッセイとは何か」について語り合う時間は
実に刺戟的であったのですが、その答えが出ないままに
講談社エッセイ賞は役目を終えたのです。
しかし「エッセイとは何か」とは、
大きく言うならばこの千年間、
答えが見つかっていない問題なのでした。
この問いの扱われ方については次回も引き続き、
考えていきたいと思います。」
p.217
http://www.hatirobei.com/ブックガイド/作家から/酒井順子
読書メーター
酒井順子の本棚(登録冊数34冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11092015
小説現代の本棚(登録冊数39冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11791810
https://note.com/fe1955/n/n2a3ce8bcd110
酒井順子(1966.9.15- )
「人はなぜエッセイを書くのか
日本エッセイ小史
第二回 「随筆」と「エッセイ」の違い」
『小説現代』2020年10月号
https://note.com/fe1955/n/neaf2f72c9ac5
酒井順子(1966.9.15- )
「人はなぜエッセイを書くのか
日本エッセイ小史
第三回 変わりゆく「コラム」」
『小説現代』2020年11月号
https://note.com/fe1955/n/ndcd7ce009b50
酒井順子(1966.9.15- )
「人はなぜエッセイを書くのか
日本エッセイ小史
第四回 「昭和軽薄体」の時代」
『小説現代』2020年12月号
https://note.com/fe1955/n/n1474f3c18934
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第一回 初めての女性誌連載」
『小説新潮』2022年8月号
https://note.com/fe1955/n/n5789709a4899
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第二回 『ゼロの焦点』の表と裏」
『小説新潮』2022年9月号
https://note.com/fe1955/n/n3f15b2dc39d9
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第三回 お嬢さん探偵の限界」
『小説新潮』2022年10月号
https://note.com/fe1955/n/nd73f79dc9dd9
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第四回 初めての恋愛小説」
『小説新潮』2022年11月号
https://note.com/fe1955/n/ncc1a2176c33c
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第五回 転落するお嬢さん達」
『小説新潮』2022年12月号
https://note.com/fe1955/n/n644b2c0ce468
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第六回 『婦人公論』における松本清張 1」
『小説新潮』2023年1月号