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かささぎのわたせる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける  吉海直人(1953- )『百人一首を読み直す 2 言語遊戯に注目して』新典社 2020年9月刊 「第五章 大伴家持「かささぎの」歌(六番)を待恋として読む」

吉海直人(1953- )
『百人一首を読み直す
 2 言語遊戯に注目して
 新典社選書 97』
新典社 2020年9月刊
312ページ
2020年11月19日読了
福岡市総合図書館蔵書
https://www.amazon.co.jp/dp/4787968475

「第五章
 大伴家持「かささぎの」歌(六番)を待恋として読む」p.57-69

かささぎのわたせる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける
 新古今和歌集 巻第六 冬歌 620 家持集・冬歌

大伴家持 (おおとものやかもち 718?-785) 
奈良時代の貴族・歌人。
拾遺集初出。勅撰入集六十三首。

「万葉集の歌人でその編纂に関わったと考えられている。
家集『家持集』の内実は万葉集抄であり、
新古今入集歌も多くは家持の真作ではない。」
『新日本古典文学大系 11 新古今和歌集』
岩波書店 1992.1
https://www.amazon.co.jp/dp/4002400115

「百人一首に、
『万葉集』の大歌人である
大伴家持の歌として、撰入されている。

家持は『万葉集』の撰者と考えられている重要人物、
長歌・短歌など合わせて480首撰入(歌数第一位)。

平安朝以降の勅撰集では62首(人丸は248首)、
平安時代に読人しらずの伝承歌を集めて編纂された
『家持集』出典の歌が多い。
そういった非家持歌の一首がこの
「かささぎの」歌である。」p.59

「『万葉集』に用例のない「かささぎ」が詠まれている歌を、
家持の実作(代表歌)としていいのか。
仮にこれが家持の実作だとすれば、
日本(特に都)には棲息してはいなかった
「かささぎ」を詠んだ最初の歌ということになる。」p.60

「旧暦の七夕は秋の季語。
霜の降る冬の歌に鵲の橋が詠まれているのは明らかに季節はずれ。
「かささぎの橋は七夕の夜に架かるはずなのに、
なぜ冬の夜に詠んでいるのか」」。p.62

「天の川と鵲の結び付きは中国の七夕伝説に由来する。
七夕の夜が鵲の活躍する日であるから秋を代表する季語。
家持歌は冬の天の川を詠じている。」p.64

「七夕詠であれば牽牛と織女が年一度その日だけ遇えるので、
逢恋や後朝のイメージで詠まれる。
冬の天の川となると、既に二人が別れて久しいし、
翌年の七夕まで逢えないのだから、
不逢恋・待恋(閨怨)に変容する。」p.65

「平安朝の歌人達は、
鵲の白い羽を霜に見立てることを思いつき、
季節を秋から冬にずらすことによって、
七夕本来の逢恋を不逢恋に変容させ、
叙景歌を悲恋歌へと再解釈させた。」p.67

目次
はじめに
第一章
 天智天皇「秋の田の」歌(一番)を読み解く
第二章
 「白妙の」は枕詞か 持統天皇歌(二番)と山辺赤人歌(四番)の違い
第三章
 柿本人丸歌(三番)の「ひとりかも寝ん」の解釈
第四章
 柿本人丸歌(三番)の「長々し」の特殊性
第五章
 大伴家持「かささぎの」歌(六番)を待恋として読む
第六章
 阿倍仲麻呂「天の原」歌(七番)の再検討 上野論を起点として 
第七章
 在原行平「立ち別れ」歌(一六番)の新鮮さ
第八章
 在原業平歌(一七番)の「ちはやぶる」幻想 清濁をめぐって 
第九章
 在原業平歌(一七番)の「水くぐる」再考 森田論を受けて 
第十章
 素性法師歌(二一番)の「長月の有明の月」再考
第十一章
 『百人一首』の「暁」考 壬生忠岑歌(三〇番)を起点にして 
第十二章
 紀友則歌(三三番)の「久方の」は「光」にかかる枕詞か?
第十三章
 清原元輔歌(四二番)の「末の松山」再検討 東北の大津波を契機として 
第十四章
 藤原公任「滝の音は」歌(五五番)をめぐって 西行歌からの再検討 
第十五章
 小式部内侍「大江山」歌(六〇番)の掛詞再考 浅見論を契機として 
第十六章
 清少納言歌(六二番)の「夜をこめて」再考 小林論の検証 
第十七章
 俊恵法師歌(八五番)の「閨のひま」再考
第十八章
 参議雅経歌(九四番)の「さ夜更けて」の掛詞的用法
第十九章
 従二位家隆歌(九八番)の「夏のしるし」に注目して
初出一覧
後書き


吉海直人(1953- )
『百人一首を読み直す』
新典社 2011年5月刊
262ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/4787967916
https://www.facebook.com/tetsujiro.yamamoto/posts/796282843779690

四年前に読んだ本。吉海直人 『百人一首を読み直す 非伝統的表現に注目して (新典社選書)』 http://goo.gl/y65g16 #bookmeter 新典社...

Posted by 山本 鉄二郎 on Thursday, March 19, 2015

吉海 直人(よしかい なおと)
1953年長崎県生まれ
同志社女子大学表象文化学部日本語日本文学科特別任用教授
https://www.dwc.doshisha.ac.jp/talk/japanese/detail01/
吉海直人さんの本を読むのは7冊目です。

読書メーター
吉海直人の本棚(登録冊数7冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091377

百人一首の本棚(登録冊数13冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091294
その半分7冊は吉海直人さんです。

https://note.com/fe1955/n/n586a12682eab
秋の田のかりほの庵(いほ)の苫をあらみ我が衣手は露にぬれつつ
吉海直人(1953- )
『百人一首を読み直す
 2 言語遊戯に注目して』
新典社 2020年9月刊
「第一章 天智天皇
「秋の田の」歌(一番)を読み解く」p.15-24
『日本語学』2017年6月号(第36巻6号)

https://note.com/fe1955/n/n62266db52edf
春すぎて夏来にけらししろたへの衣ほすてふ天の香具山
田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪はふりつつ
吉海直人(1953- )
『百人一首を読み直す
 2 言語遊戯に注目して』
新典社 2020年9月刊
「第二章 「白妙の」は枕詞か
 持統天皇歌(二番)と山辺赤人歌(四番)の違い」

https://note.com/fe1955/n/n0ba90ea3e6c6
あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝ん
吉海直人(1953- )
『百人一首を読み直す
 2 言語遊戯に注目して』
新典社 2020年9月刊
「第三章 柿本人丸歌(三番)の
「ひとりかも寝ん」の解釈」

https://note.com/fe1955/n/n8a17ee829b0e
あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝ん
吉海直人(1953- )
『百人一首を読み直す
 2 言語遊戯に注目して』
新典社 2020年9月刊
「第四章 柿本人丸歌(三番)の
「長々し」の特殊性」


https://note.com/fe1955/n/nce8e9a0c3675
後鳥羽院(1180.8.6-1239.3.28)
『新日本古典文学大系 11
 新古今和歌集』
田中裕・赤瀬信吾校注
岩波書店 1992.1
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
『後鳥羽院 第二版』
筑摩書房 2004.9
『後鳥羽院 第二版』
ちくま学芸文庫 2013.3

https://note.com/fe1955/n/n8dfcbf3d6859
式子内親王(1149-1201)
 田渕句美子(1957- )
『新古今集 後鳥羽院と定家の時代(角川選書)』
角川学芸出版 2010.12
『異端の皇女と女房歌人 式子内親王たちの新古今集』
KADOKAWA(角川学芸出版) 2014.2
平井啓子(1947- )
『式子内親王(コレクション日本歌人選 010)』
笠間書院 2011.4
馬場あき子(1928.1.28- )
『式子内親王(ちくま学芸文庫)』
筑摩書房 1992.8
 

https://note.com/fe1955/n/n47955a3b0698
後鳥羽院宮内卿
(ごとばのいんくないきょう、生没年不詳)
『新日本古典文学大系 11
 新古今和歌集』
田中裕・赤瀬信吾校注
岩波書店 1992.1

https://note.com/fe1955/n/n34d98221cddf
たとへば君 ガサッと落葉すくふやうにわたしを攫つて行つては呉れぬか
永田和宏(1947.5.12- )
『あの胸が岬のように遠かった
 河野裕子との青春』
新潮社 2022年3月刊
318ページ

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