酒井順子(1966.9.15- )「松本清張の女たち 第一回 初めての女性誌連載」『小説新潮』2022年8月号
『小説新潮』2022年8月号
新潮社 2022年7月22日発売
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B5MV6MDS
https://www.shinchosha.co.jp/shoushin/backnumber/20220722/
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第一回 初めての女性誌連載」
p.36-42
鈴木美千代・画
2023年4月29日読了
「なぜ清張作品は愛され、読まれ続けているのか。
没後三十年、その秘密を解き明かす鍵とは――」目次
「明治四十二年(1909)に生まれている
松本清張[1909.12.21-1992.8.4]は、
太宰治[1909.6.19-1948.6.13]
と同い年である。
没後三十年が経ってなお、
生々しい現役感のようなものを放ち続ける松本清張と、
歴史上の偉い作家という印象の、太宰治。
両者の印象は同い年とは思えないほどに異なるが、
その原因はそれぞれが活動していた時期の違いによるところもあろう。」
p.36
「[二人の]作家としての活動時期は重なっていない。
清張は中年になってから作家としてデビュー、
その後の約四十年間、猛然と小説を書き続けた。
高度経済成長期。経済的発展を続ける日本が抱える成長痛や、
人間が内に秘める暗部を捉えた清張の小説は大人気となり、
1960-70年代は、いわゆる長者番付の作家部門で、
トップの常連となっている。
平成四年(1992)、八十二歳で他界。
戦後から続いた右肩上がりの時代が、
バブル崩壊と同時に終わるのに合わせて
世を去ったかのようでもあった。」
「清張の女性の見方を探ることによって、
右肩上がりの時代に日本女性達が
どのように生き、そしてどのように社会から
見られていたかを、考えていきたい。」
p.37
「[松本清張 1909.12.21-1992.8.4]
昭和二十八年(1953)
『或る「小倉日記」伝』芥川賞受賞」
p.42
https://www.amazon.co.jp/dp/4062647664
「昭和三十年(1955)
『大奥婦女記』(連載時「大奥女太平記」)
初めて女性誌で連載
『新婦人』[華道家元池坊PR誌]」
「表紙は洒落たイラストで、恋愛やファッションの特集などもある上に、
ページのデザインも斬新。若い女性向けのイケてる雑誌という印象である。」
https://www.hirunotsuki.jp/product/shinfujin616
「他の婦人雑誌をチェックして歴史小説が無いことを確認し、
あえて、おしゃれな女性誌で歴史小説を書くという賭けに出た。
女性に不人気な歴史小説で女性を振り向かせようとすることは、
マンネリ化した現代小説の世界への挑戦でもあった。」
「以降、女性誌に歴史小説を書くことはなかったが、
この先の清張は、推理小説における女性読者を掘り起こし、
女性誌で推理小説の連載をするという
イノベーションを起こしていく」
p.42
「約四十年の作家人生の中で、清張が女性誌に小説を書いたのは、
昭和三十年(1955)から、昭和四十一年(1966)までの十年間。
四十代の後半から五十代の後半にかけてという年代。
女性向け雑誌という、自身にとってはアウェイの地での挑戦
とも言える作品を手掛けた」
p.41
「清張の女性ものの主戦場は、
『女性自身』と
『婦人公論』の二誌
長編、短編ともに両誌には何作も書いており、
清張にとって両誌は、
アウェイの中のホーム的な存在だったのではないか。」
p.41
松本清張の作品一覧
https://ja.wikipedia.org/wiki/松本清張の作品一覧
http://www.hatirobei.com/ブックガイド/作家から/酒井順子/雑誌掲載記事
読書メーター
酒井順子の本棚(登録冊数34冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11092015
https://note.com/fe1955/n/n5789709a4899
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第二回 『ゼロの焦点』の表と裏」
『小説新潮』2022年9月号
https://note.com/fe1955/n/n3f15b2dc39d9
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第三回 お嬢さん探偵の限界」
『小説新潮』2022年10月号
https://note.com/fe1955/n/nd73f79dc9dd9
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第四回 初めての恋愛小説」
『小説新潮』2022年11月号
https://note.com/fe1955/n/ncc1a2176c33c
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第五回 転落するお嬢さん達」
『小説新潮』2022年12月号
https://note.com/fe1955/n/n644b2c0ce468
酒井順子(1966.9.15- )
「松本清張の女たち
第六回 『婦人公論』における松本清張 1」
『小説新潮』2023年1月号
酒井順子
『日本エッセイ小史 人はなぜエッセイを書くのか』
講談社 2023年4月26日発売予定 224ページ 1760円
https://www.amazon.co.jp/dp/4065310067
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000374525