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溶接はデザインすることができるのか。鉄の端部の設計と鋭い意匠の納め方について
金属は溶接すればくっつくのですが、それって手段であってデザインの領域で扱うものではないですよね。
小さな作品を作るときは、小さいが故に如何にして作品性を担保するかが重要で、全体のフォルムや部材の一つ一つの形状や素材同士の繋ぎ方、最終的な仕上げのあれこれ等、設計できる部分が少ない分考えられる範囲ではどこまでもデザイン的な思想を巡らせたいところです。
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この度は棚板を増設するための棚受けブラケットを設計することがあり、その際考案した溶接部分が少し珍しい納まりなので記事にしたいと思います。
ブラケットの基本的な構成はL字のメインフレームに斜材のブレースを繋いだものです。
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サイズが小さく強度に問題がなければブレースがない時もありますが、一般的なブラケットにはブレースがあることに加え、ブレースがブラケットのパーツのでは花形であると思うのでブレースのデザイン性の高いものを作ろうと思いました。
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一方でブレースは、なんとなく細いことがかっこいい要素の一つという見方もあるのでブレース自体のサイズを大きくしてそれをデザインすることは、少しやり過ぎな気もします。
そこでブレースの端部であり、メインフレームと溶接する接合部で何かデザインができないか考えました。
ブレースである丸棒の端部に溝を切り、メインフレームのLアングルを挟み込んだ状態で溶接をしています。
細くシャープな丸棒の端部は棚と並行になるように鋭利に削り、さらにシャープな印象になります。
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丸棒の先端を削りで二股にすることでどちらから見てもブレースの先が見えるようになっています。
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またブレースの末端はメインフレームの内側のため鋭く尖ったブレースの端部も危険の及ばないところに位置しています。
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プロポーションはよく見る形ですが、端部の少ない操作とデザインされた接合部が全体の印象を魅力的にしています。
ブラケット自体はあまり目立たなくてよいサポートパーツとして認識されていますが、かっこいい分には構わないだろうということでこの作品ができました。
ややチャレンジングな納まりの提案でしたがちゃんといたものができて職人さんに感謝しないといけませんね。
思ったものを形にするという勉強も我々経験の浅い設計者には必要です。
おわり
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