コンクリートの色について
淡路島にある本福寺という建築に訪れた際、美しい写真が撮れました。
安藤忠雄さんが設計したコンクリート建築の内部には真っ赤な木材の壁が円弧状に聳え立ち、自然光が差し込んだときには赤壁の色が灰色のコンクリートを鮮やかに色づけます。
コンクリート自体の色に特別な着色は無く、また光の当たり具合によってその効果は強くなったり弱くなったりします。
この現象の良きところは、明暗色相彩度の豊かな表情に囲まれた一つの空間が実質的にはたった2つの色で構成されているところだと思います。
また折重なる木板や天井のアーチ加工はその多種多様な色によって強調され、より美しく輝きます。
結果的にこの効果は太陽による力が必要な要素であり、自然との親和性の高い建築空間である見方ができると思います。
最近自分で木材に塗装をすることも多くなってきて、色をきれいに塗ることへの興味が高まってきています。
小さな作品でも自然光が当たった時には、視覚に訴える特別な効果があり、写真を撮るときもできるだけ明るい日に自然光を当てて撮影するようにしています。
今回訪れた本福寺はその光による特別な効果を空間で体感できる機会となり、より色に対する興味関心を刺激することになりました。
コンクリートと木材は単体でもそれなりに美しい素材ではありますが、組み合わせることで別の美しさを醸し出すことができるんですね。
ちなみにコンクリート自体に色を付けることも技術的には可能であり、モルタルや骨材に特別なスペックを用いたものをアーキコンといって普通に建物の設計に使います。
ただ、下の画像のようにモルタルは原色に近い強いを出すことは難しいことと骨材の内側まで色をコントロールすることはできないので、なんとなくグレイアッシュ感のある仕上がりになります。
なので、全体の色は灰色くらいにしておいて骨材ですこし高級感を出すような設計が主になっているような気もします。
本福寺ではアーキコンのような技術をつかっておらず、限りなく在来の構法で造られていることが分かります。
先進的な技術をも凌駕する意匠性の高い空間と、安藤忠雄さんの設計センスがとても表れている荘厳な建築でした。
また何かあったら書きます。
おわり。