森の図書室の話
渋谷駅のマークシティから道玄坂交番の道へ抜け、1~2分坂をのぼると「森の図書室」という看板が目にはいる。タイ料理屋コンロウのすぐ奥のビルで油断すると見逃してしまいそうな白いサイン。2014年にオープンしたこの店は図書室の名前に相応しく、本が無料で読める場所。もちろん席料(500円)や一定のフードドリンクのオーダーは必要だけれど、会員になると席料は免除されるシステム。インターホンを押すとドアの向こうには本棚、それを従業員が隠し扉のようにあけて招き入れてくれるという、本好きにはワクワクしかないつくりになっている。
シャッフルでもらえる「森の感想文」コースター。
使うのがもったいない!何種類かあるらしい
先日訪れたときは夕方から3時間ほど滞在した。ふだんまったく買わないフィクションや児童書、学習文庫などを手に取って読んでいると、蚤の市や宝物探しに近い感覚を思い出してだんだん楽しくなってくる。その日は食文化に関する本をかたっぱしから読んでみた。教養としてのワイン、日本の移民とフード理論、旅と食べ歩き、映画にでてくるカクテル&フードなど。作家やカテゴリに分けて陳列していないので、どんどん目移りするしあれもこれもと抱えてテーブルに持っていきたくなる。本の虫には目の毒だ。図書室に入って左手、カウンターバーのある壁一面には会員たちが寄付した本がずらりと並べられている。表紙をめくるとひと言が添えられていたりするため、誰かの深層意識にふれている感じがしてこそばゆい。
夕方入店だったので1人2品ずつオーダーがマスト。各自で好きなお酒、チーズ盛り合わせとオリーブを頼む。おしゃべり禁止、というわけではないので声のボリュームには気を付けて話せばOK。
■スペシャルメニュー
パパの好きなキッシュ (西の魔女が死んだ/梨木香歩) 600
ミートボール (彼女のこんだて帖/角田光代) 900
オイルサーディン丼 (デザートはあなた/森 瑤子) 1100
薫製ニシンの虚偽 (そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティ) 600
■ドリンク
シシリアンキッス (神様のボート/江國香織) 800
電気ブラン (夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦) (人間失格/太宰治) 700
カティサーク (ねじまき鳥クロニクル/村上春樹) 700
ホットチョコレート (モモ/ミヒャエル・エンデ) 900
本に関連したアイテムが用意してあるのも憎い
ひとりで、ふたりで、デートで、心をやすめにいくのにぴったりな場所。
気になる人はぜひ行ってみてください。
タイトル写真素材
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