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言葉を受け取るのは、我慢ではない

こんにちは、カウンセラーの永畑です。


自己開示シリーズ、「どうやったら伝える、という行為を上手に使って、よりよい関係性を築くか」ということの今日は4番目のお話です。
5つのステップは、

◆伝える前に、「プロローグ」が必要であること
◆伝える前に、「感じる」が必要であること
伝えるときは、「三つのあい」が必要なこと
伝え終わったら「受け取る」が必要なこと
◆伝えた後は、「モノローグ」が必要なこと

となりますが、今日のお話は4番目の「受け取る」、がテーマです。
1番から3番のステップは、過去の投稿をご覧くださいね。


さて、皆さん「受け取る」と言うと、相手が言った言葉を「そのまま」そうだねと、自分の中に入れるという感じがするかもしれません。

この自己開示では、まずは自分が思いを伝えていきます。そして、それに対する「相手の反応」を受け取る「責任」があるということです。

どんな反応であっても、一旦は自分が言葉にした思いの結果として、受け取る。


確かに、相手の言葉をまずは一旦そのまま心の中で受け止めると言う事はとても大事なことです。

でも、何でもかんでも「そうだね」とはいかないのが現実です。


極論ですが、例を挙げてみましょう。


「最近、家計が厳しいのよね。物価高で、この先が不安だわ。
だから、私、パートの日を増やすか、正規雇用に移行しようと思うの。」
と切り出したとします。
(今話題の、収入の壁のことは置いておいて)
それに対して、
「ふーん、僕は、明日仕事を辞めようと思うんだ。今の仕事、辛くて」
と夫が言い出したとしたら
「はい、そうなのね」とそのまま受け取るとはいかないと思います。

「は?」というのが、はじめの反応だと思うからです。
一体、私の話の何を聞いていたの?と。


これは極端な例でしたが、日常の中で、自分の価値観や尺度、常識といったものの範疇を超える言葉が相手からやってきたとき、私たちは「構え」の姿勢をとります。自己防衛反応です。

そして、それがいったいどういったことなのか、ということを、自分が納得のいくように頭の中で整理して、気持ちを落ち着けたいという欲求にかられます。

そんなときに、
「どうして」
「どういうこと」
「説明して」
「意味わからないんだけど」
という思考がでてきます。

その思考と共に「なんとか事態を回避しないといけない」という思いから、正当な理論を展開したり、自分の思いを主張したりします。

だって、そうなったら、どうなるかわからないから。


人間の脳は「変化」を嫌う生き物です。「恒常性」というものが生まれながらに備わっていて、「変化」するということは「危険」である可能性があると判断するからです。

自分の習慣、思考、パターン、日常、価値観、、、、そういったものが「変わる可能性がある」「変えなければいけない可能性がある」という言葉には、私たちは、強く反応してしまうのです。

そして、自己開示に沿って自分の思いを伝えても、相手が自分の思い通りの反応を示すとは限らないのです。


そして次の段階ですが、話をしても通じない場合、相手にイライラしだします。怒りにもにた感情です。

どうしてイラっとするのでしょうか。


それは、「期待」という感情です。


こんなにも大変な私の訴えを聞いてくれるに違いないと、相手に「期待」をしているからです。

相手が思い直すという「期待」
相手が折れてくれるという「期待」
相手が自分の思い通りになってくれるという「期待」

信頼と期待は紙一重な気がしますが、この差は、いずれお話しましょう。

その期待が、わかってくれない寂しさ→怒りと変化してしまうのです。

さていよいよ、相手の言葉を「受け取る」ということが難しく感じてきてしまいました。


普段は、こんなに極端な例の会話はないと思いますので、
「そうなのね」と反応できる範囲のことばかりだと思います。

でも、もし今お話ししたような自分の思いと相反することが起きた場合は、どうしたらいいのでしょうか。

それでもいったん、「受け取ってみる」のです。
我慢ではなく、感情をころすのではなく(むしろ慎重に感じながら)、自分の状態を観察しながら、相手の言葉に耳を傾けてみる。

そしてそのあとに、しっかり「モノローグ」につなげていけばいいのです。

この「受け取る」のワンクッションがないと、実はモノローグにつながりません。

このことは、次のお話で引き続き書いていきますね。
今日はここまで。

また次の投稿でお会いしましょう。


心と体を健やかに整える、ユキラボ 代表 永畑由記



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