妊娠を諦めるという選択
35歳以上で高齢出産だと言われる時代。
卵子の数は生まれたときに決まっていて
年齢とともに卵も老化するわけで
健康体な女性でも
年を重ねるほど、妊娠しにくく流産しやすくなるわけで
もちろん40歳を超えて自然妊娠する方もいらっしゃるものの
不妊治療の保険適用も、現状では
【妻が43歳未満、6回まで】という限度があり
時間のリミットもある以上、目をそらしている場合でもない。
去年の夏、会社を乗り換えるタイミングで消化した有給を使って 長らく遠ざかっていた婦人科に通うようになり、ついでにいろいろ調べてもらって分かった数々の婦人科疾患において
年齢的だけではない妊娠のリスクや可能性の低さを目の当たりにしたんですが
当時相手もいなかったし、近すぎる甥っ子の存在に満足していたし、不思議なぐらい落ち込まずになんなら「最高のタイミングで分かって嬉しいありがとう有給、転職万歳三唱!」とか思いながらピルを服用し始めた。
生理前後の不調や生理自体の重さ、それに加えていつ生理が来るかわからない出血に振り回される人生から解放された私は
「ありがとうピル、ヤーズフレックス万歳三唱!」と思っていたし、今でもピルの服用をやめる選択肢は考えられないぐらい日頃の生活にプラスとなっている。
超奥手な38歳、タミオ君と出逢って
交際を始めて1か月ちょい。
交際を申し込まれた時に、ピルの服用や病気の概要について説明はしていて
「子供ができないかもしれないと聞いても気持ちは変わらない」と言ってもらえたことで先へ進むことができたものの
身体を重ねる機会が増えたり
少しずつ、この先の将来も一緒にいられたらいいなという思いも沸いてきてしまった今
年齢以外の部分で、子供ができない可能性がとても高い要素を持っていることに、とてつもなく悲しい気持ちが芽生えるようにもなってしまった。
あんなに平気だった病気のことも
初めて、自分が健康体だったらよかったのに、って悲しくて悔しくてやりきれない気持ちになった。
そのことをタミオ君に伝えたら
何度も言葉を詰まらす私を
大丈夫大丈夫、と抱きしめて
「子供は欲しいけど、それより御子ちゃんが元気でいられることが一番大事。これからまた相談し合って考えればいいよ。」と言ってくれた。
そうか、私は相談する人が欲しかったんだな。
自分の身体のことだけど
結婚するとなったら
子供が欲しいと思ってしまったら
結婚も妊娠も一人ですることではないから
どうすればいいか
自分だけで決められなかったんだな。
これからは 相談して一緒に考えてくれる人がいるんだ と改めて実感したことで、すごく気持ちが楽になった。
ピルの服用を続けることで
身体に少しでも負担をかけずに過ごせることだったり
人より生理の頻度が低いことで、気兼ねなく二人の繋がりを楽しめることだったりを、素直に喜ぼうと思えました。
まだ一緒に暮らしているわけでも
結婚を現実的に考えているわけでもないのに
子供のことを先に悩むのはおかしな話だけど
リミットがある以上
自分に理由がある以上
ずっとそのことで悩んだり落ち込んだり気負いしながら、本当は過ごしてきたんだな、と思った。
不妊治療を頑張っている人たちもいれば
不妊を懸念して独りで過ごしてる人もいるだろうし
望まない妊娠に悩んでいる人や
自らの手で育てたくても叶わない人だっていて
不公平ではあるけど
世の中にはいろんな選択肢があるから
自分で決められることのありがたさと同じぐらい
相談できる相手がいることのありがたさを実感しながら
ちゃんと考えようと思う。
子供ができなくても、二人で幸せに暮らせるならもうそれでいい気もするけど、その気持ちがお互いにないと成立はしないし
子供ができなくてもいい と考えることと
子供を作らない と決めることは
似ているようで、違う。
私にとっても、タミオ君にとっても
一度きりの人生。
お互いの家族にとっても、同じ。
妊活したいと思う日が来てしまうかもしれないし
妊娠は諦めて、二人だからこそ味わえる人生の楽しみを満喫することを選ぶかもしれない。
ただ、今は素直に今ここにある幸せを噛みしめて、少しだけ気楽に生きてみようと思います。