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これを恋だと言うのなら

仕事が好きな女。のつづき。

不安と恐怖に押し潰されそうな日々は、出張の前からずっと続いていた。

宿が変わろうが、メンバーが変わろうが、虫が怖かろうが、仕事でプレッシャーを抱えようが、そんなのが例え全て無くたって、家族や仲間と離れて一週間も遠い場所に飛ぶ という事実だけで、イイ歳こいてホームシック的な気持ちになったりもするわけで。


会社では自称お局様の立ち位置に上り詰めているし、後任者作成のためには弱音も吐いちゃいられない。

本当は不安、本当は怖い、なんて口に出したらみんながビビってしまう。

「大丈夫大丈夫、どうにかなるよ。」って自分に言い聞かせるように毎日みんなに伝えながら毎回旅立つものの
実際は毎晩悪夢に魘されているし、何度も朝までに目覚めてしまうし、日中空気を飲み込みまくったり食事がのどを通らなかったり、準備に気合いが入らなかったりする。


それをいとも簡単に覆したのが

超奥手な38歳のタミオである。


文字を交わすだけの日々の中
どうしても心身共に力が出なくてまともに返事も返せない気持ちになった夜、正直に出張前の不安と恐怖を打ち明けてみた。

毎回そうなるけど今回は特別その気持ちが強いことも伝えてみた。


私の気持ちが聞けることが嬉しいとし、どんなことでも話してくれたら幸せだと言ってくれたタミオ君は、特にそれ以上その部分には触れずに その後も単純に準備を応援してくれたり、安否確認をしてくれたり、意味もなく「大丈夫!」と連呼してくれた。

まるで私が、置いていく仲間たちにしているみたいに。


「大丈夫!」と言ってもらえることがこんなに安心できるのか、と感じた上で、自分がしてきたことが間違っていなかったことも知れた。


種子島に来てからも、それは変わらなかったし
私もそれに支えられていることや、おかげで頑張れるなんてことも正直に伝えることができたりして。


物理的な距離だったり精神的なストレスだったりが、恋愛においては時に2人の障害になることって多いのかもしれないと思うけど

逆にそれが我々にとっては、絆を深めるために最適な材料となっている。


そもそも、そういう存在がいるという状況で種子島に来るのが記憶にある限り初めてなので、なんだか不思議な気持ちなんだけど
いやそもそも、そういう存在ってどういう存在?って感じなんだけど


タミオ君との繋がりや
タミオ君という生き物の存在が
今の私にはとても支えになっていて

これからもそばにいてもらえたらいいな、と実感してしまった 2021年秋です。



今はまだ遠く離れた島で
それなりに心細く戦っている真っ最中なので

帰ってからも冷静に同じ気持ちでいられたら
ちゃんと伝えようと思います。



私は忘れないよ、事前予告もしないけどね。


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