すぐ寝ちゃうのは遺伝だった恋人と、いつも元気なマダムの話。
ついに
ふたりのおうちに潜入しました。
寝泊まりできるのは(方位学の指示により)2週間先にはなるものの、これからここに暮らすのかァと思うと感慨深い2LDK。
母からの強い要望により塩撒きの儀式を行い(母がついてきて やってあげると言われたが、必ず自分でやると約束し断った)とりあえず掃除した。
どこもかしこもキレイで、クイックルワイパーも全然汚れなかった。
恋人タミオ君は、会社の御厚意で契約日だけではなく翌日までお休みにしてもらえた。ちょうど土曜日だったので、ある程度の荷物を運んだ後にタミオ君の実家にお邪魔して 無事に二人暮らしの開始と相成りますことをご報告した。
我が家のこだわり(方位学)が強かったがために長らくご心配をおかけしましたが、無事にお部屋が契約できましたので、今後ともよろしくお願いします。と述べると、ハッピーオレンジの上着を室内で羽織ったお父様がいつもの優しい笑顔でふむふむ頷いてくれた。
お母様は相変わらず、いつも世話してくれてありがとう と礼を述べてくれる。時折私が作ったお弁当を持っていくことも、私がタミオ君の時間に合わせて早起きしていることも知っていた。
そして、『最初が肝心だから、ちゃんと整理させてどんどん処分するなりビシバシ片付けさせてね、困ったことがあれば何でも言ってね!』と言ってくれた。
実際、多すぎることが問題視され続けていたタミオ君の荷物についてはどこまで引っ越し先のマンションに入るのか、どれだけ入れる気なのか今のところは未知数。
実家の近くに借りている倉庫からも、いくつか箱を持ち出した。とりあえずテーブルや椅子などの日用品はキャンプグッズで凌ごうという話になっていたけれど、どうもそれ以外の荷物も持ち出している様子があったので
『これは今どういう状況?必要なものだけを持ち出しているわけではなくてもしかしてここ(倉庫)からものを失くそうとしてる?』と問うたところ
どうやら最終的に倉庫を解約したいと言う。
いやいや待て、これを全部入れたら部屋が一つ埋まるし、今実家にある荷物はどうするんだ、そもそも必要なものをまずは入れてからじゃないと、どれだけの嵩になるのかもわからんくないか、と一旦止めた。
しかも、今部屋にある 大きなパソコン本体とモニター3台が一つの台に乗っている一式を部屋から持ち出すという話もしているタミオ氏。
ちゃっかりこぼした『パソコンはリビングに置けないかな』という発言は拒否させていただいた。
リビングのレイアウトは御子ちゃんに任せる と言っていたタミオ氏だったが、そうやって進入しだしたらもう終わりだ。リビングだけはどうにか、心休まるエリアにしたい。どうしても必要最低限のもの以外は置かないようにしたい。
頑張って自分の部屋に留めて欲しい と懇願した。
大丈夫だろうか。
私の部屋は寝室兼用なのに、服まで私の部屋に進入しようとしているタミオ氏。ただでさえ少ない私の荷物をあとどれだけ減らせばいいんだ。
進入するのは許しても、それに見合うほどの荷物整理を、タミオ君にもしてもらわないといけない。
大丈夫な気がしない。
ちなみにお母様からのお話で発覚したが
どうもすぐ寝ちゃうのはお父様も同じらしい。
眠くなると機嫌が悪くなるとか、返事をしなくなるとか、そう思うともう気付いたら寝てるとか、私が日々感じているタミオ君の習性は完全に父親譲りのようだった。
お母様は3人の子育てをしながら、そんなお父様をどう世話してきたんだろう。今でもそうみたいだけど。
調子に乗ると失礼に当たる可能性がある話題なので、怯んであんまり突っ込めなかったけど、遺伝なんだと思うとなんだか感慨深いというか、微笑ましい気持ちにもなった。
これから私は我が家でひっくり返っているタミオ君を眺めながら、お父さんの姿と重ねてみたり、お母さんの気持ちになってみたりするんだろうな。
簡単にご挨拶を済ませて
隣のワンちゃんと戯れて
ちょっと早めに帰ってきました。
おうちに帰ってから、その日はどうしても(私が)食べたかった唐揚げを作って、簡単にサラダとインスタントの味噌汁で夜ご飯を食べた。
もう一日食べれるんじゃないかしらと思うぐらい残った。
そんな日もある。すごく美味しかったけど、なぜかあんまり食べてくれない日が、時々ある。
タミオ君はタミオ君で何かいろいろ考えていることがありそうだ。そりゃあるとは思うけど、その割合は不安要素の方がやっぱり大きいのかな。
実家から正式に離れることも、職場から遠ざかることも、タミオ君にとっては負担になると思う。
それを私も最初は申し訳ないなと思っていた部分もあったけれど、冷静に考えれば私も若干職場から遠ざかるので、単純に計算すれば私もタミオ君も通勤時間はほぼ変わらない。
でも今までの生活と差があればあるほど、不安は増すものだからね。
慣れるまでは仕方ないし、実際に始まるまでは妄想ばかりが先行しちゃうから前向きになるのは難しいよね。努力してるけど。
*****
引っ越し祝いに、同僚のマダムが観葉植物を買ってくれた。
マダムの家にもある、人間関係を円滑にする意味のあるらしいオーガスタという観葉植物。昨日、単独でマダムのおうちにもらいに行ってきた。
昼間からベロベロに酔っていたマダムは、【記憶にないけど昨晩負った膝の傷】を庇いながら、赤子のようにオーガスタを抱えて降りてきてくれた。
マダムには、住所と一緒に苗字を変えてしまうかもしれないことや、薬を変えて完全に生理を止めてしまうかもしれない途中段階の話をしていたので
話し合って完全に妊活はやめたこと
入籍は先送りにしたことを報告した。
『籍なんて入ってても入ってなくても同じだから!円満なのが一番!』と言って大笑いしながら
実は私も離婚してる、実は3年前に。言う機会がなかった。
と暴露してくれた。
旦那さんが病気になって一緒に住めなくなったり
それなのにマンションを買って借金苦になったり
そのマンションを買ってくれた人がたまたま同じ会社の人で相手の懐事情が分かっちゃったり
この3年、実はいろいろと大変だったし今も大変だと教えてくれた。でも楽しいこともあるし、楽しくやってるし、いろいろ大丈夫。らしい。
マダムはいつだって元気に笑っている。
結婚しても子供がいなければこうやって自分を大切にして過ごせるんだな、って目標みたいにしてた。
毎週のようにお友達を呼んで手料理を振る舞ったり、アクセサリーを作ったり人に教えたり、いろんなこと勉強したり身体を鍛えたり、飲みに出かけたり、いつも忙しく人生を満喫している。
誰もがマダムを【人生を楽しく謳歌している自由人】だと思っていたし、今もみんな思っていると思う。
『嫌いになって別れたわけじゃないからさ』という旦那様と
一緒に暮らせなくなった時にどんなに悲しかったか、いろいろ考えた結果踏み切った離婚という結末がどんなに辛かったか
大変な素振りは微塵も見せず、いつも楽しく人生を満喫しているマダムのことしか私は知らなかった。
毎日家族よりも長い時間一緒にいるのに。
かつて、子供がいないマダムが
『私は子供好きじゃないから別に要らなかったんだけど、この人の子供が欲しいと思ったことはある』と話してくれたことがあった。
だからこそ、私も年齢的に薬を変えなきゃいけなくて 妊活の要否を急いで決める必要が出てしまったあの日、マダムに相談したんだった。
あまり普段からプライベートを明かさないマダムではあったけど、時々二人で話す些細な機会にこぼす言葉には、旦那様への愛が溢れていた。
きっと、たくさんの葛藤や苦悩があったんだろうな。
この3年を私が勝手に振り返って、これからもマダムについていこう(仕事上は私が「ついてこい」側)と決めた秋の日。
オーガスタは、助手席に乗せてシートベルトを装着して、たまに急ブレーキをかけた時の彼氏みたいに(されたことないけど)片手でそっとその身体を支えながら家に連れて帰りました。
無事に新居に置いて写真を送ったら
タミオ君から『デカッ!』とお返事が来た。
タミオ君の荷物の方がデカイよ。
どんな生活が待っているのか、まだまだ予想がつかない部分もあるけれど、私はやっぱり今でも楽しみの方が大きい。
荷物を運ぶのも、時期や日程を調整するのも、なかなか疲れちゃうし、真っ最中に我々には東京旅行(結婚式)が待っている。
心身ともに健康維持がんばろう。
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