今夜僕は叫んでやる 王様は裸じゃないか/裸の王様
ロックンロール史に燦然と輝くTHE BLUE HEARTSのファーストアルバム『THE BLUE HEARTS』。『未来は僕らの手の中』、『終わらない歌』、『少年の詩』、『リンダリンダ』など、ライブやカラオケでド定番の超名曲と並んで、『裸の王様』という曲がある。
タイトル通りアンデルセン童話の『裸の王様』をモチーフに、初期ブルーハーツらしいど直球な歌詞。ストレートが速くないと変化球は生きない。 ひたすらストレートばかり投げてた時期の曲。
見えなくなるより 笑われていたい言えなくなるより 怒られていたい今夜 僕は叫んでやる王様は裸じゃないか
死ぬカスとTHE BLUE HEARTS
幻冬舎の編集者 箕輪厚介さんの著書『死ぬこと以外かすり傷』。ようやく読むことができたその本にこんな一節があった。
本当のことを正直に言うと「狂っている」「バカだ」と言われるだろう。敵を増やし、誹謗中傷にさらされることになるだろう。しかしそれこそが間違っていないという何よりの証拠だ。「王様は裸じゃないか」と声を上げ続けろ。
忖度大国日本では、モリカケの官公庁が特殊なわけではなく、そこら中が忖度だらけ。僕の周りもそう。
猪瀬直樹さんの『昭和16年夏の敗戦』には、縦割組織により判断が遅れ、誤り、忖度により必敗の日米戦が開戦していく様子が描かれている。
キンコン西野さん風に言うと「忖度は、感情ではなく環境がそうさせる」。これはなかなかにして変え難い。でもだからこそ、空気を読まない人間には価値があるといえる。正確には、空気を読み切った上で、その空気に流されない人間に価値がある。
裸の王様の子どもは、空気を読めない無邪気な存在。子どものままでぶつかっていければいいけれど、大人になるにつれ知らず知らず身につける空気を読むスキル。
ブルーハーツの未発表曲『窓を開けよう』には、
いらないものばかり手に入れてしまった
どこへ捨てようか少し勇気を出そう
とある。ここでいう「いらないもの」とは物理的なものだけでなく、凝り固まった考え方や、身につけてきたスキルなんかのことでもあるように思う。
身につけてきたもので勝負するのではなく、身につけてきたものと勝負する。仲良しこよしじゃ全員負ける。これが超絶スピードでまわる今の世の中をわたっていく必須のスタンスなんだと、30年以上前のTHE BLUE HEARTSと絶賛現在の死ぬカスが言っているような気がする。
ちなみに、箕輪さん本の中で好きな曲としてTHE HIGH-LOWSのモンシロチョウをあげていた。裸の王様のくだりも絶対ブルハーツから来てるに違いない。できる人は、ヒロトとマーシーを聴く。
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次回は細井さんから!乞うご期待
※15:10くらいから
【裸の王様】
個人的には「ドブネズミみたいに美しくなりたい」、「未来は僕らの手の中」というフレーズと同じくらいこの曲の「今夜僕は叫んでやる 王様は裸じゃないか」というフレーズはTHE BLUE HEARTSっぽいと思っている。上であげたYouTubeの日比谷野音の映像でこれでもかというくらいマーシーが楽しそうなのが印象的。