守るということ
友人が家から出ていく。
母が私を、怪物だらけの家に置いて行くシーンがフラッシュバックする。
6歳だ。
冷たい玄関の床にくたっと座り込んでいる。
このシーンは母が行ってしまったあとだ。
「おかあさん、いってらっしゃい」
「おかあさん、おいていかないで」
「おかあさん、怖いよ」
力なく呟く。
涙がぽろぽろ出る。
呼吸が乱れる。
体に力を入れる。
「大丈夫、大丈夫だよ。
おかあさんは行ってしまったけれど、おかあさんが行ってしまった過去は変えられないけれど、これから楽しいことをたくさんしよう。いろんな景色を見て、たくさんの美しいものに触れて、いろんな体験をしよう。」
うん、と言ってくれた気がした。
私は眠りについた。