どんな一日だったとしても、ちゃんと振り返って文字にするのは意外と大変。だからさ、自分のためだけに振り返るっていうならさ、ちょっと口に出してみるだけでも十分じゃない?その方が素直に思いを形にできるかもしれないし、楽なんじゃないかな?でも誰もいないところで喋るのも寂しいから…
少しだけ私の話、聞いてくれます?
3,2,1...all engine running,Lift off!...
大学3年生が終わって、春休みに入った。そして、私が大学生でいられるのはあと1年しかない。これから私はどうなるんだろう。どこへ行くんだろう。
大した夢も持ってないし、本気でやりたいこともない。だけど時間は過ぎて、もう足を踏み出さなきゃいけないすぐそばで来ている。まるで行先も知らされず発射台に載せられたロケットみたい。不安だし、自信もない。
だからこそ、今ぼーっとしてるわけにはいかない。行く宛を知らなくたって、飛び続ければきっとどこかに着く。燃料さえあればいいんだ。私は燃料を積む。今はそれだけでいい。なんのためとかじゃなく、ただ熱中するんだ。
心配はいらないさ。
だって未知の世界に出発するなんて、今に始まったことじゃないだろ?
迷うこと。決断すること。
生きるとはしばしばこの繰り返しである。
そして、生きることについて人が辛く苦しいと思う時、その人は大抵の場合はこの繰り返しの渦中にあるのだ。
「そんな苦役も、ひとたび脱すれば黄金にも代えがたい程の宝となって私の手に残るだろう。」
そのように納得している多くの人がいる。そうやってこの苦役をなんの疑問もなく背負う多くの人がいる。しかし、そんな宝が手に入るのは本当に苦役の後なのか?
私の答えは、否。最も重要なことは今を生きる中で手に入る。当然のことである。
ただ、人間は愚かにも今の重要性をすぐ忘れてしまう。だから私はここに残す。たった今のことは無理でも、今日の、今週の、今月の生活を記録に残そう。いつだって私の目の前にある、黄金にも勝る日々の記録を。
大学3年の夏休み―――。
細かいことはまた後で言います。
夢を見た。そこで私は一人、広々とした草原の真ん中に立っていた。春の陽気に彩られた草花。暖かい日差し。柔らかな風が頬を撫でる。すると目の端にひとひらの花びらのようなものが映った。ひらひらと舞うそれは、よく見れば蝶であった。
私は気づくとそれを追っていた。どうにかそれを手に入れたいと思ってしまったのだ。だが走れど走れど追いつかない。腕を伸ばし掴もうとするのだが、手は、指先は空を切る。そしてついに指先が触れる—―と思った刹那、私は自分の部屋にいることに気づいた。
今学期から私は大学3年生になる。そこではどんな生活が待っているだろうか。わからない。しかし目標がある。それは人生において重要になる何かを掴みたいという目標だ。
私は大学3年生になる。あの夢で追った蝶が、この先にいると信じて—――。