「omo café+C」 with FASTNER.
阪急茨木市駅の近くに、誰もがつどえるあたたかな古民家カフェがある。
古き良き町屋の落ち着く空間で目を奪うのは、たくさんの種類のごはんやスイーツ。
店長の星原さんに話を聞いた。
omo café+Cの作る空間とは
ーomo café+Cという店名に由来はありますか。
はい。もともと京都にo・mo・yaという店舗がありまして、創作フレンチをやっているお店なんです。そこがプロデュースしたカフェのomo caféというものが錦市場にあります。それからどんどんここの町家ができるにあたって、omo caféの分店というような形でカフェをしてみようか、となりました。「+C」はクリエイターのCです。蔵のほうや、入り口のクッキーが置いてあるところ、二階にクリエイターさんが出店するスペースがあるんです。
ーなるほど、クリエイターの+Cということですね。ありがとうございます。
業態としてはケーキ屋さんやパスタ屋さんがあるんですね。
そうですね、なので同志社大学の中にお店もあります。寒梅館の上にあるレストランWILLはうちの会社です。たまに僕もレストランで働いてるんで、良かったら食べに来てください。
ー京都を中心にお店を展開しているとのことですが、どうして茨木市が選ばれたんですか。
選ばれたというよりは、FICベース株式会社(大阪府茨木市のまちづくり会社)という地域活性化をやっている会社からお声がかかりました。元々うちの代表が、町家を改装した飲食店を先駆けでやっていて、その建物が町屋だったので、そこでお店をやらないかと。で、これはたまたまなんですけど、僕が京都から大阪に引っ越すことになって。いろんな嚙み合いで全てガチっといって、このような形でオープンしました。
ー建物が先にあって、そこから町家の関連でこの物件がいいっていう話になったわけなんですね。
元々僕らも大阪のほうで出すとは思ってなくて。基本的に京町家を使うのがいつも会社のベースなので、たまたまそういったお声がけがあって一度見に来たところ、まんまお家でしたね。多分築140年とか、明治時代ぐらいの建物だったかなと。
ーここはカフェ以外に二階と蔵にスペースがありますね。
そうですね。入り口のほうでクリエイターさんが出店しています。アーティストさんが物販したりだとか、ワークショップ、展示とかそういったものをたまにやっていますね。
星原さんの想い
ー続いて星原さん自身についてお聞きします。カフェを開くことは学生時代からの夢だったのですか。
元々今の社長と知り合いというか友達で、大学を卒業してすぐに今の社長から一緒にやらないかという話があって、じゃあ、と。元々カフェがっていうことでもないんですけど、この店を出す時に関しては、こういう業態でこんなカフェがしたいって言いました。
ー大学時代に誘われたということですか。
先輩だったので僕からお話した部分もあります。就活も一応していて、先輩に就活の話をしていた時に「じゃあ一緒にやろう。」「じゃあやります。」と二つ返事で入りました。
ー京都のお店で出しているのは創作フレンチですが、こちらでは和食なのですか。
創作フレンチでそこがプロデュースしているカフェが一応和テイストのものをやってるんです。ただ、今総料理長もomo caféの本店のほうに所属しているので、逆にカフェやから何やってもいいじゃんっていうような考えで、僕らとしては別に和食だろうが洋食だろうが今回のメニューも和食にこだわってるつもりもないし、こだわってるつもりもないというか、何してもいいし。美味しい物出そうっていう。
ー囚われないスタイルなんですね。お料理は星原さんが作って開発されているんですか。
いや、社員がここに3人いて、その3人が基本的に話し合って毎月メニューを決めています。デザートとかに関しては各自がやりたいことを持ち寄って、作ってみてどうかを相談します。一応僕が店長ですけど、メニューに関しては(原価とかの話しさえしてくれたら)別にええよ、と。
ー発想も自由だし、和食に囚われなくてもいいし、美味しいものであればいい、ということなんですね。
星原さんは料理の経験や調理師学校に行って学ばれた経験はあったのですか。
僕は入社してすぐケーキの部門に配属になったんです。で、6か月して本社のほうに勤務することになって、そこから数年後に錦にあるomo caféに2年ほど配属になってそこで料理は教えてもらいました。
ー実践の中で学ばれたんですか?
そうですね。包丁も握ったことないところからポンって放り込まれてめちゃめちゃしんどかったですね。今でもそんなに料理できるわけじゃないですし。ある程度はできますけど、料理人っていうわけではないかなって思ってます。
ー元々は自分が調理担当になると思っていなかったんですね。
全然全然、そんなふうに思ってなかったです。びっくりしました。ケーキは販売だけだったので、いつの間にかこういう話になってますと。
ーお料理以外に器にもこだわっていらっしゃいますね。
器に関してはオーナーか副社長が信楽で買い付けています。そこから僕らの料理や感性に合うものを選んでいます。まだ出してないお皿もありますし、なかなか全部出てくるわけではないですけど、一品料理の時とか季節限定のデザートの時にこのお皿使ってみようかっていうのはあります。
ーお客さんの層はどんな感じですか。
お客さんは主婦の方、ご年配の方が多いです。9割女性ですね。11時オープンで長い方だと19時ごろまでおられる方もいます。もちろんその方はお料理とドリンク、デザートと一連の流れで召し上がります。うちもカフェなんでゆっくりしてもらっていて、居心地が良いに越したことはないのでね。ただ、混み合ってきたときだけ2時間制でお声がけはしています。
ー本当にゆっくりしてもらおうというのがベースにあるということですね、確かに居心地は良いですね。居心地を良くするために、レイアウトなどで気をつけた点はありますか。
基本的に開けてるので席自体は余裕を持ってつくるようにしてますし、キッチンのほうから僕らが全体を把握しやすいようにしています。例えばお客さんの水が無くなったとか、そういうことに細かく気付けるようにしています。
お店の未来、目標
ーこれからこのお店をどのようにしていきたいか、やってみたい事とかありますか。
細かいことで言うと、スイーツのこととか。お店全体で考えると、もともと地域活性化するための会社とタッグを組んで行政とも関わってるのでそのあたりを盛り上げていきたい。この周辺にはラーメン屋さんとか美容室とかお店がたくさんあるんですけど、そのオーナーさんと仲良くすることがあって。皆で今度大きなイベントしてみようかっていうお話もあります。個人個人だと結構仲良くても、全体でまとまっているわけではないので、懇親会をしたりしてメンバーで仲良くしていきたいなと。懇親会も行いました。僕らだけでは事足りないので、皆の力を借りてイベントしてみたいなっていうのはこの先の一番わかりやすい目標かなと思ってます。
ー確かに商店街はにぎやかですもんね。
ただ、ここまで離れてくるとベットタウンということもあって静かになってきちゃうんです。できればこの辺りまでお客さんの足を伸ばしたいので、隣の建物をオーナーが買って改装してまた新しい店舗が2店舗ぐらい入る計画があります。詳しいことはわからないですけど。そことも色々一緒にやっていけたらなと思ってます。
ー食材の仕入れも商店街でされているのですか。
そうですね。ここら辺の地域活性なんで僕らは商店街のモノを使うということを心掛けていると言いたいところですが、一番近いし気軽に買えるものだったりするんでそこのスーパーの人と仲良くなって「今日こんなん入ってるよ」「じゃあそれで」とか。LINEで「こんなんありますか」「これやったらあるよ」「じゃあそれください」みたいな感じです。地産地消がメインです。スーパーだとそこのフードネットマートさんとか角の角庄さんからよく買ってますね。
ランチ中にヘタこいてめちゃくちゃなくなってしまったらパッと買いに行ったら何とかなる。
地域活性っていうのはやっていく流れでそうなりました。たまたま地域活性してる会社と繋がってる方に僕の同級生がいたりして、いろんなご縁でちょうどいい感じに回ってます。今度これしたいんだけどっていうような話はできるかなって思ってます。そんなにかしこまったような関係ではないし、僕らも話しやすいです。
話が戻るんですけど、これからの展望のところでスイーツの話が出てきたと思うんですけど、どういうことやりたいとかってありますか。
後で食べる?さっき出来たやつありますよ。今はバスクチーズケーキ作ってて、アールグレイ入れてんけどあんまりアールグレイの味せんかったから改良はしなあかんねんけど、味は美味しいし。月に1~2種類新しいメニューが出て夏はそれにプラスかき氷がでてくる形になってます。バンバンいろんなもんしないとお客さんは飽きてきはる。フードも極力変えられるところは変えられるようにしてます。プレートは1か月おんなじメニューですけど、自分らがやりたいこと、これやってみようっていうのはすぐやるって形ですね。人気が出れば通常メニューに加えようかなって思うんですけど、期間限定だけで済むやつのほうが多いかな。同じ事をするのが好きじゃなくて。ずっとおんなじルーティーンも面白くないやん。だから彼ら(後輩の社員さん)にも好きな事していいよって言ってます。こっちからもケツ叩くけどね、できたー?とか、どうなった?とか。
ーとなると常連さんも多いですか。
多いです。世間話から始まっていろんなことを話します。隣の家が店だと住んでいる方はあんまり嬉しくないと思うんです。でもありがたいことに今の所一つ隣の家の方は結構よう来てくれはるし仲良くさせていただいてます。そういったことは良かったかなと。
ー新しいメニューがでたらお話ししたりはしますか。
常連さんがお店に来られた時に「今こんなん出してますよ」みたいな会話はします。ある程度苦手なものは把握してるんで「この食材使おうとしてたけどこっちに変えときましょうか?」みたいなそういうのはありますね。
ー会話を通して関係性を築いてらっしゃるのは素敵ですね。
僕も結構人見知りですけど、慣れてしまえば全然気にしないです。本当はこんなインタビューとかも苦手です。喋られへんしなんもないしみたいな。
元々は完全なお家だった古民家が、開放的で温かみのあるカフェへ
食材はおのずと近くの賑やかな商店街で購入。スーパーの人とはLINEで食材のやり取り。お隣さんの苦手な食材は把握して配慮。
当たり前のことだと話す、謙虚な姿勢。
「自分らがやりたいこと、これやってみようっていうのはすぐやる」
「ずっとおんなじルーティーンも面白くない」
「バンバンいろんなもんしないと飽きてきはる」
茨木市発のニューウェーブが巻き起こる、そんな予感がする。
Interviewees/ omo cafe +c @omocafe.ibaraki
Photographer/ Natsuki Sugiyama
Write/ Yuka Umino
Edit/ Wakana Okado