兎る虎

たったひとつの詩を求めて、試作る。

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「 ひかり 」

誰かひとりに 倚りかからぬ夜がほしい 醒めたさめた 朝がくる あの、陽だまりに眩るまでは なければ、を手放して いきたここち

    • 「 がらんどう 」

      僕は音を持たない伽藍堂 あの、木管のような 木の洞のような 空虚さだけで 自己を持たぬ自動書記 詩人の通り過ぎたあとにだけ 音楽に耽る 僕は 詩を書いている ようやっと息を吐くように 言葉でもって 僕を、書いている

      • さっきの言葉から一歩踏み出す。 引っ込まなかったはみ出しの気持ち。 "わけ"から"で"、"だ"から"ね"。 そうやって続いていけばいい、 思いが届くまで。優しい言葉になれるまで。

        • 「 端くれと 」

          意味に味を込めた 欲望には願い込めた 願望になりたかった 神さまにも内緒にした僕の夢 消えてしまったら何処へゆくの? カラスだけは知ってる気がした 死を告げる役人だと信じていたから 僕は灰になる カラスに連れられ 這い回る 世界を かけらになって たんぽぽのように あるいは手紙のように 今日も誰か あなたのもとへ

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        「 ひかり 」

        • 「 がらんどう 」

        • さっきの言葉から一歩踏み出す。 引っ込まなかったはみ出しの気持ち。 "わけ"から"で"、"だ"から"ね"。 そうやって続いていけばいい、 思いが届くまで。優しい言葉になれるまで。

        • 「 端くれと 」

          「 ごろごろ 」

          幾らかの、希望を抱えて 向かえた明日 睡眠学習なんて 嘘っぱちじゃあないか、と 愚痴もこぼれて 落ちて ゆくだけの こんな荒野で 何か、文字に起こさねば 死んでしまいそうな、息づかいが 自室の八割を占めていた 換気に惑う 立ち足を 挫きながら 抱き合いながら 地球離れた六畳ばかりの秘密基地 よちよちと、 手元の昨日をなぞってる

          「 ごろごろ 」

          「 ヒトの塩梅 」

          世界は元来 無味無臭だ 味わいたくば 調理しなければ、と付いて回る 味の素は賛否両論 流行の味つけは 熱だ、コンテンツだ、人間だ 消費に飽食という 絵の具を 手にする前の、 (僕が思うに) 心躍らない世界とは どんなだと思う? どんな色だったと思う? 人の目はね 過去視と呼ばれるほど、 優れてはいなくて 未来を見据えるだけだから 歴史も 味ツケがなくちゃ 語ったりはしないんだ 人間の僕が 絵描きというのなら、 誰かの足あと追うばかりで 色の知らない、無垢な 画布に触れられない

          「 ヒトの塩梅 」

          「 あげる 」

          おっ。おっ。おっ! こいつはぁ、 あいつに似合いそうだ。 こうやって なんの気なしに、 相手を思い出す品を見つけること それがジブンのさいわいです。 何故分かるように頑張らないと ご褒美が貰えないのか、 誕生を祝福するのに 言葉じゃあ足らないのか ジブンにはわからないけれど。 プレゼントを あげたくなる気持ちは分かるんだ。 プレゼントをね、 (あまりに自己満足だから 恥ずかしくって 声を大にしては言えないけれど) 見つけられただけで嬉しくって あとのこと、実は どうだって

          「 あげる 」

          「 口は噤んで、共犯を 」

          鮮烈で、どこか検体的な 混ざりがいのない 赤の筋が 献身的なレンズを覆い尽くした 最適解な、メス捌きを 反芻しながら 今日も、独りで 息をしないブリキの玩具を 遺棄するかのように 雨となって、 洗い流されたモノを 花畑になれ、と埋め尽くした 秒針もいたずら心か 一緒になって、一生を 止めてしまった あの日から、 過去に縋っている 感情を満たした、 あの日から 機械的な優しさと引き換えに 今日も、反芻しながら 生きている 恐れを忘れぬように、と 傷みと祈りとで 重ねて

          「 口は噤んで、共犯を 」

          「 水晶葱 」

          こどもの時分は 何となしに、 タイガーアイが好きだった 石占いでも石すくいでも 三ツ星ベルトに馴染むあいつを まずはじめに目で追った でも、くらしの水晶は らっきょだった 夕飯がカレーライスのときにだけ スーパー、というたから箱 で漁り タッパー、というたから舟 を漕ぎ 海賊を彩ることが許された ヒーローのような、 らっきょだった 家の味、母の手づくり 煮づくるわけもなく にわか仕込みの生かじり たまの日つまみ食うだけの 小腹のピース埋めるだけの 背徳感あふるる実、 らっきょ

          「 水晶葱 」

          「 いいなあって 」

          できたら 主婦の手、と 呼ばれたい できたら 鉱夫の手、と 呼ばれたい 身近な、短い 苦労を重ねたい 仔細に、小く 歴史を刻みたい ボロボロでも 泥臭くても ねむるまえの ドキドキみたく あったかくて じいちゃんの リンスーみたく 優しい、手で ありたい 包んでみたい おにぎりを 地球儀を 自分も、

          「 いいなあって 」

          「 ど<つぼ> 」

          猫が毛玉吐いた 自然と、苦しくて お前も毒吐いた 不自然に、辛くて げぇげえと吐き出した 吐き出して、  スッキリした のに 吐いたモンが 毛玉みたく、 カタチんなったなら 蹴鞠みたく、 遊んだもんだが 目に浮かばないから こころ、に こべりつくんだ 消化器官は まだ、ない 生理現象にも 認め、られない 僕らの、 できそこない

          「 ど<つぼ> 」

          「 散歩 」

          用水路に流れる 水は 水のりみたく、 何層もの膜で ひかりを遮っていて 不純物まんてんだ だのに どこか 何カラットの輝きを 映していた

          「 散歩 」

          「 日常とさけび 」

          今朝も聴こえた お風呂から、洗濯機から 生活にまぎれた 助けて、とふり絞るような 不気味な音 夜が明けると、 昨日の私たちは用済みで 日常のなか 違う何かが 成り変わっているのではないか そんな予感 今日の私が 私らしく寝坊して 私だけはもとのまま、という わけでもないのに 他人がいっそう怖くなる いつか、いつかの好奇心で 手を伸ばしてしまったとしたら 今日の私もいなくなるのだろうか ああ それはとても さびしいような、気がする

          「 日常とさけび 」

          「 静寂 」

          目を、耳を澄ましてみる 色とりどりの小人の演奏会 時計が針を刻むように 気付いて、と 音を立て始めるのがわかった いままで気にも留めなかった 彼らの息づかい それはまるで 彼らには彼らの 定めた、 六十秒があるようにも思えて 時計を失ったら 僕らも その日暮らしのばか騒ぎ、に きっと 夢中で取り掛かれる 仲間はずれなんて、いない 一生を

          「 静寂 」

          「 日々 」

          鏡にうつる お髭ひとつ 生長する命を踏みつぶして 今日も、生活がはじまる 誕生を祝福できないこと、 死は事実になりさがったこと 洗面台に振り返るだけで 当たり前じゃないか、と囁かれる 今日の僕は誰の何を奪ったのか それすら定かではないけれど 人の迷惑、なんて言葉 生きるためには言えなくなった いただきますと、ごちそうさま おはようと、おやすみ なくしてしまった 生活のおと

          「 日々 」

          「 またね 」

          齢二十を超えて 疎遠になって あなたの元気でね、という 言葉選びに さよならの重みを感じた

          「 またね 」