テリファーを見た 行き過ぎたゴア描写がよい

新作『テリファー 聖夜の悪夢』が11月29日に放映開始となる、テリファーシリーズ。前々から気になっていたけれど見たことがなかったので、この機会に第一作『テリファー』を見た。

さるテレビ番組で大量殺人事件の唯一の生き残りとしてインタビューに答える女性ビクトリア。彼女は事件のせいで鼻や左目、そして顔面の皮膚をえぐられ、適当に焼き上げたあと、腐らせてしまったパンみたいな顔になってしまっていた。

インタビュアーが子細に事件についてビクトリアに聞くのだが、何やら様子がおかしい。しまいにはインタビュアーに向かって、声にならない叫びをあげる始末だ。

番組は終わり、スタッフに「あの女ヤバすぎ……」といった風に愚痴るインタビュアーの横に、ビクトリアがひょっこりと顔を出す。ビクトリアは驚くインタビュアーの顔面をわしづかみにし、親指を眼窩にグリグリと押し込んでいって……。

と、冒頭から、吐き気をもよおすような嫌な描写で始まるテリファー。そこから場面は転換し、約2時間にわたって繰り広げられるのが、”あの日”ビクトリアに何が起こったのかである。

ストーリーはあってないようなもので、シリーズおなじみの白い覆面に、目を真っ黒に縁取りし、赤褐色に変色し先端の尖った歯列を持つ、不気味な殺人ピエロ「アート・ザ・クラウン」があの手この手で人をぶっ殺し続けていく。

オチでアート・ザ・クラウンはただのサイコ野郎ではなく、人知を超えた存在であることがわかるのだが、最初からわかるわけではないので、冒頭から始まる殺戮劇は突っ込みどころが満載である。

ときに首をちょん切り、ときに糸鋸を手に、股間から人体を真っ二つにし、手にした思いガスボンベで人間の頭を叩き潰していく。骨も浮き出ようかという細い腕のがりがりのピエロ姿の男がである。ありえない描写の連続で思わず突っ込みを入れてしまう。

だが、臓物どころか、人体が破損される様まで「目に焼き付けろ」と言わんばかりに克明に写す残虐描写がウリの本作。この突っ込みどころのおかげで、「エンタメ」として楽しめるようになっているのではないかとも感じた。

もちろん、ホラーが苦手な人には売り文句である「失神&嘔吐者続出」な作品であることには違いないのだが、結構ホラーを見慣れた人間からすると、ただの悪趣味に終わらず次にどのようにアート・ザ・クラウンが人をぶっ殺していくのかが楽しみになってくるのである。

個人的には、慈愛を見せたホームレス女性をぶちのめし、乳房をはぎ取り装着するシーンが本作の滑稽さ、そしておぞましさの到達点だったように思う。

ゴア表現もテリファーくらいまで突き詰めるとただの悪趣味に終わらないのだと思わせる一作だった。



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