間に合わない
間に合わないことばかりである。基本何かに遅れながら生きているような感覚が強い。
以前noteにも記した気がするが、私が遅いのではなく、時間の進みが速すぎる。私は今これをじっくり考えたかったりもう少しぼんやりしたいのに時間はそれを許してくれない。
あのときこうしておけばよかった、そうすれば間に合ったのかもしれない。
そういうものが積み重なって動けなくなって、私はいつの間にか取り残される。
フィルムカメラで写真を撮ることが好きだ。
目に脳に、美しい光景を忘れないようにするのと同じようにしてフィルムに焼きつける。
フィルムも現像代も高いから大事に撮る。たまに適当にも撮る。
現像を待つ光景たちは、時間の流れから切り離されていく。ずっと現像しないままでいたら、今フィルムに記録されている光景は劣化する。それはそれで記憶みたいでいいなと思う。
フィルムを現像してもらいに写真屋さんへ行く。
止まったまま取り残されていた時間が、鮮明に蘇ったり蘇らなかったりする。
時間の概念とかどうでも良くなる。
取り残されたつもりでいたけれど、取り残されたいとも思っている。ずっとそこにいて、誰かがふと振り返ったときの支えになりたい。大丈夫、いつでもここに帰ってきていい。そのために私には何ができるだろうか。
虎に翼を見ていて、山田よねさんの姿に憧れる。
彼女は彼女のままでいることを選んだし、それでも目指すものも諦めなかった。
自分を曲げてしまった方が簡単だっただろう。でもそれをしなかった。
不器用で頑固で最高に格好いい。
真っ直ぐに伸びていて、下手をしたらポッキリ折れてしまいそうな覚悟が彼女をここまで連れてきたんだと思うと、本当に胸が熱くなる。
語気が強過ぎたりすることはあるけれど、よねさんが持つあたたかさや寄り添う力は周りの人たちにはきちんと伝わっている。少しずつだけど、柔らかい表情をしている姿も見れて涙出る。
灯台のような人だと思った。嵐の中にあっても意思の旗を掲げ続ける人。
彼女の姿に励まされたり、安心したり、強くなれる人がきっとたくさんいるのだと思う。私にはよねさんのような強い意思はないが、私もかくありたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?