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■和菓子の銘と、間違えやすい名前
【名と銘】
和菓子の名前(銘)について考える。
まず「銘(めい)」というと、名前というと意味でも、何か特別な名前だったり、銘柄などは高級そうな雰囲気がある。銘の意味を調べると、
めい【銘】
1 金石・器物などに事物の来歴や人の功績を記したもの。「碑に銘を刻む」
2 特にすぐれた物品につける特定の名。「銘を付ける」
3 製作物に入れる製作者の名。
4 心に刻み込んでいる戒めなどの言葉。「座右の銘」
とある。
つまり、菓子の銘は、お茶席などで用いられる様な上生菓子につけられる事が多いいと思われる。
例えば、上生菓子の銘として、「あけぼの」や「夕映え」の様な景色や情景を表したり「椿」「三日月」など、花鳥風月など四季折々の名前を付けたりする傾向にある。菓子の材料や味とは関係なく、見た目や雰囲気を銘によって表している。銘の言葉の響きも含めて、その菓子の一部のような役割がある。
一方朝生と言われる、大福や団子などは
『塩豆大福』や、『草餅』、『みたらし団子』など、味わいや素材をそのまま名前にする事が多く、素朴な名前の方が気取らずに親しみやすいと思われる。
以上の様に、名前にはその菓子を表す重要なものである事に違いはないと思う。
しかし、菓子、特に和菓子には間違えやすい名前がたびたび見られる。
①【蕨餅(わらびもち)】
純然たるわらび餅は、極希少のわらびの根から採れるでんぷん質を火にかけてα化させる事で黒々とした独特の粘りのある食感が現れる。
しかし一般的に売られてるほとんどのわらび餅は、透明かほとんど白っぽい色をしている。これはタピオカ粉や葛粉など、他の植物のでんぷん質を主原料に使っているためだろう。わらび餅というからには少しは本わらび粉も入っていて欲しいが、全く入っていなくても、わらび餅という食感だけを似せて、『わらび餅』と言っている物もたびたび見かける。
既にわらび餅という名前にはトロッとした食感(本物とは似てないが)のみが定義されているのかもしれない。
②【くず餅】
葛餅といえば、葛粉を使用した透明感のあるツルッとした夏の和菓子を想像するが、
関東では有名なお菓子に同じ読み方で『久寿餅』というのがある、こちらは小麦でん粉を発酵させて作った伝統的な菓子なので、葛とは異なるお菓子である。
③【麩焼き煎餅】
こちらはあまり馴染みがないかもしれないが、京菓子やお茶席などで用いられる事がある、丸く平べったい煎餅の様な菓子で、糖蜜を塗ったり、餡など挟んだりします。しかし、麩焼き煎餅はお麩を焼いたものではなく、最中の種(皮)と同じ原料は米です。食感がお麩の様に軽いことに由来しているらしい