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歴史に学ぶサバイバル術(2):司馬懿仲達ー諸葛亮孔明を撤退させた男の戦略と処世術ーその1
諸葛亮孔明のライバル
三国志のヒーローといえば諸葛亮・孔明だろう。弱小な蜀を一身に背負い、巧みな戦術・外交で魏や語を翻弄する姿は確かにかっこいい。それを物語る有名な言葉が「死せる孔明生ける仲達を走らす」で、「三国志演義」では凡庸な武将として描かれている。しかし、筆者の印象は異なる。彼こそ三国間の激烈な戦乱の最終的な勝利者だと思うからだ。
司馬懿・仲達の低評価
今司馬懿のことについて手軽に知ろうと思えば、井波律子氏の『裏切り者の中国史』を推薦する。わかりやすく明解な論評が読んでいて痛快である。但し、司馬懿の評価については筆者は井波氏と意見を異にする。井波氏は中国の史書の伝統にのっとって彼を裏切り者、王権の簒奪者の始祖と位置づけ、司馬氏による西晋王朝の成立を「救いがたい陰惨なものを含む」「根底的に深く病んでいる」と評する。」しかし彼の経歴を見ると、彼が有能な才人であり、知恵があり遠目の効く人物であることがわかる。儒教的な道徳観から見れば、彼は「汚い人間」かもしれないが、サバイバルという観点から見ると参考になる点が非常に多いように思う。そこで3回にわたって彼の処世術や戦術を紹介していきたい。
仲達の活躍
まず彼は有能で知恵者であるという評判が高かったらしく、それに目を付けた曹操が召し抱えようとすると、病気を理由に断る。曹操政権の﨑湯に対する、彼一流の用心深さが理由のようである。しかし断り切れず、しぶしぶ出仕した後は曹操の息子曹丕に仕えて、絶大な信頼を得た。一方、曹操が軍師として戦場に連れて行くようになると、もう彼を手放せなくなった。曹操没後曹丕が王になると献身的に仕え、その絶大な信頼を背景に、曹操一族の圧迫を巧みにはねのけながら実権を握っていく。彼は急がないし、目立たない。そして裏に回って着々と力を蓄えていくのである。一方軍事でも揺るがぬ名声を得る。その最たるものが孔明の北伐を退けた点にあるだろう。
仲達の戦術とは①
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