FP1級実技面接2024年6月16日PartⅠ
皆さん、こんにちは。
FIREニキと申します。
簡単に自己紹介しますと、数年前まで某プライム上場企業の組織内会計士として働いており、在職中に資産管理法人を設立し購入していた不動産が一定規模に達したためFIREしました。現在は専業投資家で、不動産と株で生計を立てています。FP1級は自身の相続・事業承継対策、ライフプランニングを主な理由として受験しました。
情報が少ない金財のFP1級実技試験を受けるにあたっては、先輩方のnoteには大変助けられましたので、自分も受験記念を兼ねてnoteを書いてみたいと思います。(実は、最初は受け身でnoteを書くつもりは無かったのですが、先輩方のnoteを見ていくうちに書くのが当然、責務であるというマインドへと変わっていきました)
お決まりのルールですが、ここで書いてあることが全て正しいとは限りません。受験当日の面接官とのやり取りや雰囲気などをエンタメ感覚で参考情報としてご覧頂ければ幸いです。
私はPartⅠ(相続・事業承継)からスタートしましたので、まずはPartⅠのやり取りから再現します。問題については、金財のHPに挙がっている6月16日PartⅠをご覧ください。
https://www.kinzai.or.jp/fp/news-fp/44232.html
15分間の設例読みスペースに移動した後、問題に目を通します。
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ふむふむ、Aさん82歳で高齢だな。不動産収入で1,200万円か。資産管理法人は設立していないが、この規模感なら無理に作る必要もないかな。
家族構成は、妻Bさん、長女Cさん、二女Dさんの四人家族。おっと、前妻との間に子Eさん、Fさんもいて35年以上音信が途絶えているので、できる限り今の家族に財産を相続させたいと思っているのね。疎遠は遺留分フラグ。E、Fさんの遺留分割合を念のため計算しておこう。
父親から相続した空き家は10年前なので、相続空き家の控除特例は使えないか、残念。ん、借り手も買い手もつかず、維持管理の手間がかかっていて、国が不動産を引き取ってくれる制度がスタートしたので仕組みを知りたい。相続土地国庫帰属制度やん!一週間前に梶谷先生のビジ教の新テキストで見たやつ。建物立ってたらアカンやつ!確か、1月の学科試験終わってからmuchoさんもツイートしてたから記憶に残っているよ。
配偶者の税額軽減、小規模宅地等の評価減適用前でAさんの相続税額は約4,700万円なので、現在の所有財産の現預金だけでもペイできるね。自宅と例の賃貸アパート2棟の他に駐車場もあるのか。これは、アスファルト舗装等されてたら小規模宅地の特例は使えるが、自宅の土地だけでも600㎡あるから面積調整で他の土地には貸付事業用宅地の特例はできない、と。長女Cさん家族とは二世帯住宅で同居しているので小規模宅地の論点で絡めて聞いてきそうやな。試験前におまめさんがXでポストしてて、絡みに行ったから記憶に残っておりますよっと。
二女Dさんは今秋結婚するので挙式費用を援助してあげたい。結婚・子育て資金の一括贈与が使えそうやね。さらに、新居の建築資金を負担してあげるので住宅取得等資金の非課税贈与や相続時精算課税制度あたりをダブルで適用かな。
他の相続税額の軽減対策としては、孫Gさんの養子縁組と、教育資金の一括贈与もいけそう。お決まりの生命保険にも加入。こんなもんかな。
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15分のアラームが鳴ったので案内係と一緒に面接室へ移動。ノックしていざ入室。
面:面接官の発言
ニ:ニキの発言
():ニキの心の声
【】:ニキの挙動
二:FIREニキと申します。よろしくお願いいたします。【ペコリ】(ゆったりした広い部屋や)
面:FIREニキさんですね?よろしくお願いします。お座りください。
二:失礼いたします。(質問係が真面目そうな女性、採点係が飄々とした男性か。お二人とも仕事ができそうな、ポーカーフェイスな感じ?)
面:設例に目を通したと思いますが、まずは顧客の相談内容と問題点をできる限り多く挙げてください。
二:相談内容としては、前妻、子Eさん、Fさんにできる限り相続させる財産を少なくする方法が知りたいこと、相続した実家の空き家を処分したく相続土地国庫帰属制度の仕組みを知りたいと思っていること、長女Dさんの挙式費用を援助してあげたいと思っていること、二女Dさんの新居の建築資金を負担してあげたいと考えていることです。
問題点としては、相続税が高額になるため相続税の軽減対策が必要なこと、具体的には、小規模宅地の評価減の適用、孫Gさんの養子縁組、一時払い終身保険の加入確認、孫Gさんへの教育資金の一括贈与の適用が挙げられます。(できる限り多く、とご指示があった場合は、時間切れを見越して、相続税の軽減対策を具体例まで列挙するのがニキ流!)
面:それくらいですかね。(追加の指摘は無さげ)
二:はい。(納税資金の準備は手持ちのキャッシュが足りてるので言わない。円満な遺産分割も遺留分対策の論点が控えているのであえて挙げなくてもいいよね)
面:前妻、子Eさん、Fさんにはそもそも相続権があると思いますか?
二:子Eさん、Fについてはあります。
面:法定相続分はいくらですか?
二:8分の1になります。(一応、計算しておいて良かった。自分で最初に言っといて何やけど、養子縁組分はややこしくなるので考慮せずシンプルに。)
面:EさんFさんは、その通りに相続することになりますか?
二:いえ、Eさん、Fさんには遺留分がありますので、遺言書を残したとしても16分の1までは遺産を配分する必要があります。(いい感じ。次行こー)
面:Eさん、Fさんの財産を少なくする方法としては何かありますか?
二:【少し沈黙】(え?遺留分ギリギリまで財産引き下げて次へ進むんじゃないの??わからん。ここは、ヒヨコロさんにアドバイスを受けたアレの出番やな。クリンチ発動!)冒頭で述べました、養子縁組、生命保険、教育資金の一括贈与など生前にできる対策を目いっぱい活用して、全体のパイを少なくすることでEさんFさんへの配分額も少なくなるようにアドバイスします。(クリンチ成功か!?)
面:EさんFさんの財産自体を減らすことはできませんか?
二:(引き剝がされたか~!というか、これは助け舟?遺留分自体を減らす方法なんてある?そんなの疎遠なEさんFさん納得する?そんな事ができたら遺留分制度ができた趣旨に反するくない?う~ん、助け舟に乗りたいのは山々なのですが、遺留分系の論点で他に思い当たるのが遺留分の民法特例くらいなのですよ。でも自社株とか事業承継の論点なのでさすがに関係ないよね?試しに言ってみるか!?いや、減点食らうって。他の論点も控えてるから切り替えて次行こ!次!!)持ち帰り、改めて調べてからお伝えいたします。
面:わかりました。では、父親から相続した実家に関連して、国が不動産を引き取ってくれる制度が始まったとありますが、その仕組みを説明してください。
二:はい、相続土地国庫帰属制度のことを指していると思いますが、この制度は使い道の無くなった土地を国が買い取ってくれる制度です。(梶谷先生、ありがとうございます!)
面:え、国が買い取ってくれるのですか?
二:(はっ!確かテキストに日銀に納付するというくだりがあったな…)失礼いたしました。費用を支払って国が引き取ってくれる制度です。
面:いくら支払ったら引き取ってくれるのですか?
二:(確か、金額もテキストに買いてあったような気がするんやけど、建物が立ってたらダメとか、担保に入れられてたらダメ、という辺りしか思い出せない…)申し訳ございません。具体的な数値については記憶が曖昧なため別途調べてご回答いたします。
面:他に留意点はありますか?
二:上に建物が建っていたり、土地が担保に取られていたら利用できません。(採点係の男性面接官の手が動いているのをニキは見逃しませんよ。加点プリーズ!)
面:次の論点で、二女Dさんの挙式費用の援助の話がありましたが、何か方策はありますか?
二:はい、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税の規定を利用します。(金額とか聞いてもらうためにあえて喋りすぎないことが大事よね。ウキウキ)
面:受贈者側の要件を教えてもらえますか?
二:はい、18歳以上50歳未満です。(ほほう、ちょっと変化球か。金額を聞いてほしいオーラ出しすぎたか)
面:今回のケースで適用できますか?
二:はい、適用できます、、【お持ち帰り2つして集中力が途切れている】(ん、何故改めて聞くの?)
面:二女Dさんの年齢は?
二:はっ、50歳です。。適用できません(以下か、未満かは覚えてたけど、二女Dさんが50歳なのを最初の設例読みの時にさらっと読み過ごしてた。。)
面:他に方法はありますか?
二:相続時精算課税を提案します。暦年課税にも基礎控除の枠はありますが、制度改正で持ち戻しの期間が7年まで引き延ばされたため、Aさんが82歳と高齢なこともあり相続時精算課税の方をアドバイスします。(Aさんの年齢が高齢なのはすごく記憶に残ってたんですよ~ただし、そこから家族の登場人物達の年齢を関連付けて伏線を見抜くことができていなかった、、おおお、これが面接試験本番の恐ろしさか、、、)
面:二女Dさんに対して、建築資金の負担をしてあげる方はどのような方策がありますか?
二:先ほどの相続時精算課税に加えて、住宅取得等資金の贈与の非課税の規定を適用します。(落ち着け~)
面:非課税の金額の上限額を教えてください。
二:省エネ、耐震等の一定基準を満たすもので1,000万円、それ以外のもので500万円になります。(基本に忠実に。結局こういうところでしか差はつきません)
面:あと、住宅取得等資金の贈与の非課税の方ですが、仮にAさんがお金を支払って建物を建築し、その建物をDさんに贈与する場合は適用できますか?
二:その場合は金銭の贈与ではありませんので適用できません。(この論点、2月の実技試験後はちみつクッキーさんとX上でやりとりしたぞ!)
面:今回のケースで小規模宅地の評価減の特例はどの土地に対して適用しますか?
二:今回は効果の最も大きい自宅の土地のみに適用します。自宅の土地だけで枠を使いきってしまうため面積調整を加味しても他の賃貸アパート等とは併用できません。(設例を読んだ時からお待ちしておりました)
面:仮に、面積調整の話が無かったとして、それぞれの土地には面積いくらまで何パーセント適用できますか?
二:自宅の土地は330㎡まで80%、賃貸アパートX、Yはそれぞれ200㎡まで50%、月極駐車場はアスファルトや砂利等で舗装されている場合は200㎡まで50%、適用可能です。(基本論点は確実に拾う。結局こういうところでしか差はつきません。←2回目)
面:自宅の土地について、二女Dさんが相続した場合、小規模宅地の特例は適用できますか?
二:配偶者がいて、同居している長女Cさんもいて、家なき子特例も適用できないためDさんは適用できません。(家なき子特例読みでこなれた感をアピール)
面:仮に、二女Dさんの新居が敷地内にできたとして適用はできますか?
二:同居の要件を満たさないためできません。(二女Dさんややこしキャラ認定な)
面:表現はそれで良かったですか?
二:あ、生計を一にしていないので、ですね(質問係の女性面接官やさしい!ありがとうございます!!)
面:最後に、FPの職業倫理を6つ挙げてください。
二:顧客利益の優先、守秘義務の順守、顧客に対する説明義務、インフォームドコンセント、コンプライアンスの徹底、FP自身の能力の啓発、です。(脊髄反射)
面:どれもFPにとっては重要だと思いますが、今回のケースでは特にどれを重視しますか?
二:インフォームドコンセントを重視します。今回のケースで最も特徴的なのは前妻のお子様達にはできる限り遺産相続をさせたくない、という点です。Aさんの心情としては、35年以上疎遠になっている前妻やお子様達には相続財産をゼロにしたい、という気持ちがあると思いますが、現実的には遺留分の規定などにより遺産分割を行うことになると思います。Aさんとそのご家族も含め、理解状況を確認しながら寄り添った丁寧な説明を行い、必ず同意を得て進めることを重視します。(採点係の面接官と目があったが、遺留分自体を減らす方法をお持ち帰りしたくせにお前そこ言う?的な感じで思われてる?ポーカーフェイスなので心情が読めん…)
面:面接は以上になりました。
二:ありがとうございました。【ペコリ】(終わった~)
面接後の振り返りとして、遺留分の引き下げ方法と、相続土地国庫帰属制度の引き取り費用の確認を行いました。
遺留分の引き下げ方法としては、弁護士等のネット情報で生前贈与を行いできる限り引き下げるなど、ニキが面接本番で挙げた方法が記載されていました(やっぱりこの辺りが対策になるよね。クリンチではなくもしかしてパンチを繰り出せていたのかも、、)。ただし、遺留分の金額自体を引き下げる方法については見つけられず、もしかして、遺留分の放棄の事だったのか!?という現状の結論に達しています。言い訳をさせて頂くと、当日に設例を読んでいた時に遺留分の放棄の事を考えなかったわけではなく、35年以上音信不通だった無責任な父親にいきなり連絡を取ってこられて遺留分放棄を提案されても受け入れる成人の子供は現実的にいないでしょう!?と思っていた事があります。前妻の子供達に罪はないのに、挙句の果てには身勝手にゼロにしようとしている、人としてどうなん!?という。英語でいうと“Not to mention”というやつです。でも、もしかしたら放棄以外に遺留分自体を引き下げる方法があるかもしれませんので、ご存じの方はコメント欄やX等で私が傷つかない表現で優しく教えて頂けますと幸いです(笑)。
相続土地国庫帰属制度の引き取り費用については、テキストにばっちり「一筆20万円が基準」と記載がありました。見た瞬間、あ~、一週間前に見た時は、相続不動産登記の義務化のペナルティー10万円と絡めて倍の20万円で押さえてた所やのに、、と悔しさが沸き立ちました。FP自身の能力の啓発に終わりはありません。
そしてPartⅡへと続きます。