【転職活動】リファレンスチェックは怖くない!意味や回答者の選び方について解説!
「リファレンスチェックをするので、同僚・上司の連絡先を教えてください」
選考の終盤、エージェントや企業から言われて戸惑った経験はありませんか?
ここ数年で急速に広まってきたリファレンスチェック。
この5年以内ぐらいに転職活動をされた方は、どこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
でも入社が決まる前に現職の方と連絡を取られたり、裏で調べられたりするのは気分が良くないですよね。
一体リファレンスチェックとはなんなのか、今回は手法と対応方法について解説します!
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックとは、企業が採用のミスマッチを防止するために行っている手法の1つで、欧米では当たり前に使われています。
2021年のエンワールドの調査によると、日本では、外資系企業の約4割、日系企業の2割が導入しているようです。
リファレンスチェックは、最終面接の前後で行われることが多いです。
全中途採用者に行う企業もあれば、部長以上の重役や一部の部門(経営企画や経理、新規事業開発など)に限って行う企業もあります。
リファレンスチェックでは、応募者が指定した同僚や上司に対し、企業側が、応募者の職場での実績や人となりをヒアリングします。
ヒアリングは電話やアンケート等を通じて行われ、その結果を踏まえて自社に合う人材かどうか、入社後のキャッチアップをどうフォローするか、などを吟味します。
ヒアリングは、応募先企業の上司にあたる方が担当することが多いです。
リファレンスチェックに似たものに、「バックグラウンドチェック」があります。
こちらはいわゆる信用調査で、昔の興信所調査が近いかもしれません。
調査会社が調査を代行し、応募者の職歴や犯罪歴、信用情報やSNSでの炎上の有無などを確認します。
一般的には、バックグラウンドチェックの方が調査範囲が広く、リファレンスチェックはバックグラウンドチェックの一部とされています。
なお、どちらのチェックにおいても、「個人情報保護法」を遵守していれば、違法行為にはなりません。
リファレンスチェックのサービス・内容
リファレンスチェックの際によく使われるサービスを2つご紹介します。
この他に、サービスを使わずに上司になる人が直接回答者に電話をしてヒアリングする場合もあります。
1) back check(株式会社ROXX)
IT企業を中心に幅広い業界で多数導入されているメジャーなサービスです。
年間実施数は1万件を超え、私の担当した企業でも最も使われていました。
個人的に、トップシェアを持っているサービスではないかと思っています。
back checkでは、回答者はWEBの質問項目に答えます。
その際、名刺写真の送付を含む本人確認を行うことで、回答の質(身代わり回答の回避や回答への誠実さ)を担保しています。
2) ASHIATO(エン・ジャパン株式会社)
採用Tech企業のエン・ジャパンは、ASHIATOをリリースし、3年で3500社が導入しています。
ASHIATOも、回答者はWEB上での回答を求められます。
本人確認は、事務局が1件1件、行なっているようです。
同社のリファレンスチェックでは、結果を基に、採用担当者に向けた面接ポイントや入社後のフォローのコツもレポーティングします。
また、オプションでバックグラウンドチェックなども対応しています。
応募者にとってのメリットと、回答者の選び方
採用企業には、ミスマッチの防止や経歴詐称防止などのメリットが多いリファレンスチェック。
でも応募者側から見ると、入社を決める前に現職の人と企業が接触し、どんな話が伝わるかわからないことに不安や抵抗感があると思います。
実際、「リファレンスチェックがあるなら選考を辞退したい」という方もいらっしゃいます。
ただ、応募者のメリットもあるので、前向きに対応するようにしましょう。
回答者は、信頼でき、仕事ぶりをアピールしてくれる人を選ぶ
リファレンスチェックの性質を考えると、「誰に回答を頼むか」は重要です。
私自身の経験では、リファレンスチェックだけで見送りになった方は知りません。
ただ、「面接の時の違和感が、リファレンスチェックの内容で具体的になった」と、ネガティブな評価に繋がったケースはあります。
回答者を選ぶときは、以下の3点を考慮しましょう。
1)客観的に、ポジティブな表現で回答してくれそう
2)関係性が良好で、口がかたい
(転職活動中であることや応募先を漏らさない)
3)同じ部署など、自分のやっている業務内容がわかっている人
1、2は転職活動、という場面を考えれば妥当かと思います。
また、3は意外と忘れがちなので要注意です。
「他部署にいる信頼できる同期」などを選ぶと、回答者は依頼者の仕事内容を詳しく知らない場合があります。
そうすると専門性や業務上の強みが伝えられず、企業からは人選の下手さや、同部署の人を紹介できない理由を勘ぐられるなど、ネガティブな印象を与えてしまうことがあります。
無理に「今一緒に働いている人」を選ばなくて良い場合も。
まだ転職が決まる前に、現職の直属の上司にリファレンスチェックの回答を依頼することは、かなりハードルが高いと思います。
もしかしたら、ネガティブに回答して転職自体を阻止するかもしれません。
企業によりますが、リファレンスチェックの回答者は、今の上司・同僚でなくても良いケースもあります。
例えば2社目から3社目への転職活動時、1社目の上司・同僚に回答を依頼した方もいます。
私自身も、ある企業の退職直後に、最後に同じチームにいた同僚のリファレンスチェックに回答したことがあります。
前職の人や、退職済みの元同僚を含めると、少し選択肢が広がりますよね。
リファレンスチェックを依頼された際は、どこまでを選定範囲に含めて良いか、確認・交渉することをお勧めします。
経歴詐称は意外と多い
ここまで読んで、「そこまで慎重に裏どりする必要ある?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、企業から見た応募者の情報は、全てが「自己申告」です。
経歴詐称も、盛りすぎて実態と乖離した実績を並べることも、できます。
実は、経歴詐称は、一般的なイメージよりもずっと多いです。
エージェントは1人1人の経歴確認をしませんが、それでも1年に数人はクロまたはクロに近いグレーの方がいます。
これは、私がエージェントになって、1番衝撃的な事実でした。
「面接で良いことを言う」のは、応募者も企業も同じです。
企業には口コミサイトがあり、不祥事はニュースになるため、応募者は複数の視点から情報収集ができます。
しかし企業は、応募者に関する多角的な情報収集が難しく、SNSのアカウントやニュースが見つかればラッキー、というぐらいです。
そのため、リファレンスチェックが必要となるのです。
まとめ
今回は日本でも増加中の「リファレンスチェック」について解説しました。
実は個人的には、リファレンスチェックはあまり好きではありません。
退職理由のトップ3に「人間関係の悩み」が入る日本で、職場の人へのヒアリングを行うことが、正確な本人の理解につながるかは疑問です。
しかし、経歴詐称が一定数あり、特に事業運営に関わる重要なポジションにおいては、自己申告だけで採用を決定することは、企業にとってリスクが高すぎるとも感じます。
また、応募者側もネガティブな方向に偏りやすい、企業の口コミサイトを参考にしていることを考えると、お互い様に思えたり思えなかったり・・・。
選考の終盤で使われやすいリファレンスチェック。
企業のメリットも大きいですが、適切な回答者を選べば、客観的な視点で自分の魅力を企業に伝えられるチャンスです。
選考終盤はピリピリすると思いますが、柔軟かつ前向きに対応しましょう!