【コラム】職業倫理を自分に問うこと〜「仕事」を盾に、相手を傷つける質問をしていませんか?〜
最近、思うことが色々重なり、昨日とどめを刺すような悲しい話を聞いたので、気持ちの昇華と自戒をこめて残しておこうと思います。
初の有料記事がこれで良いのか、という気もありますが、センシティブな話題がありますので、ご了承ください。
「人の話を聞く仕事は、相手になんでも聞いて良いわけではない」ということを改めて認識したく、この記事を書きました。
職業倫理を養う
職業倫理とは、プロとして求められる行動規範のことを指します。
どの職業にも潜在的にあるとは思いますが、弁護士、公認会計士などのいわゆる士業や医師、社会福祉士、臨床心理士などの医療従事者、キャリアコンサルタントなどの専門職には、具体的な倫理規定・倫理要綱が存在します。
倫理規定が定められていなくても、企業ごとのコンプライアンスや、プロとして研鑽を積む中で個人のプロ意識として、倫理観は醸成されます。
しかし悲しいことに、プロとして業界に染まるからこそ、何かが麻痺して倫理観が失われていくケースもあります。
いわゆる「自社(業界)の常識は世間の非常識」というやつですね。
とある記者会見であった不躾な質問
昨晩、個人的に信じられないような話をみて、悲しくなりました。
Xで話題になっていたので見た方もいらっしゃるかもしれません。
Xで見た情報から、確実性が高そうな情報(全く別の複数人が同じ書き方をしているなど)を元に、起こったことをまとめてみました。
いかが思われますか?
個人的には、あまりの性格の悪さデリカシーのなさに驚きました。
生死に関わる内容であること、本業には関係がないことから、そもそもが不適切な質問だったと感じます。
さらに、百歩譲って悪気のない質問だったとしても、断られた際に、「(落ち着いたら)聞かせてください」ではなく、「(心の傷を)開かせてください」と笑顔で言ってしまったことは、事実であれば、どう頑張ってもフォローできません。
少し前に、某政治家に対して失礼な質問を投げかけた記者の方が話題になりましたが、わざわざ取材相手を不快にさせたり傷口に塩を塗り込む記者の姿には、不快感を禁じ得ません。
これは対岸の火事なのか?
子供の頃、可愛い可愛い愛犬がいた私にとって、この記者会見の話はとても腹立たしく悲しい話でした。
しかし、これは「非常識な記者がいた」、「マスコミはク○」という話で終えて良いのでしょうか。
記者だけではなく、キャリアコンサルタントをはじめ、相手の情報を得ることを仕事の一部にしている人、全員が注意すべきことではないでしょうか。
例えば個人の懐事情や将来設計を聞く、フィナンシャルプランナーや銀行・保険の営業、不動産営業の方。
個人の年収や経歴を聞く、採用面接官、人材紹介・人材派遣の面談担当者。
個人や家庭の問題に介入する弁護士、心理士、など。
「仕事で必要」ということを盾に、人を傷つける質問をしていませんか?
「仕事だから何を聞いても良い」と勘違いしていませんか?
個人情報や個人の価値観に触れる仕事の人は、誰しも、業務上必要な確認と無闇な深堀りについて、自らの職業倫理観を持って線引きしないといけないと思います。
ちなみにキャリアコンサルタントの倫理綱領では、質問内容の規定はありませんが、下記のような項目で自制を促していると考えられます(先輩キャリコンの皆様、もし違ったらご指摘くださいませ)。
仕事を盾に人を傷つける質問をしてしまう時
人材業界においても、無闇に個人情報に触れて求職者を傷つけることがあります。
私が体験した事例から読者の方にも考えていただきたいと思いますが、センシティブな話になります。
事例は色々ぼかしますが、念の為ここからは有料とさせていただきます。
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