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【お仕事図鑑 vol.6】 実例付き!販促企画職〜消費者が買いたくなる理由を考えるプロ〜

消費者に商品の購入を促す販促企画。
なんだか面白そうだけれど、どんな人たちかはちょっとイメージがつきにくい。

マーケティングやブランディングとの違いは?
今回は、そんな疑問にもお答えしながら、販促企画について解説します。


販促企画はどんな仕事?

一言で言えば「商品を消費者に買ってもらうためにどうしたら良いか」を考える人たちです。
この活動は、販売促進、セールスプロモーションとも呼ばれます。
業務としては、大きく3つに分かれます。

1)販促ツールの作成

販促ツールとは、購買を促すアイテム全般を指します。
例えばスーパーの特売チラシなどはイメージしやすいでしょう。

店舗に行けば、商品をアピールしている棚(什器)があります。
またスーパーやコンビニの商品棚や冷蔵ケースでは、「新商品」、「期間限定!」「今売れてます!」といったステッカーや飾り(POP)を見かけます。
最近のスーパーでは、「今夜は○○(料理名)で決まり!」と、近くの食材を使った簡単なレシピが書いてあるPOPも見かけますね。

飲食店では、メニューや壁のお品書き、お店の内外にある小物も販促ツールになります。
また、デパ地下の惣菜・洋菓子店のような、商業施設に入っているお店の飾りなども販促ツールに含まれます。
(意外と置いてあるので見てみてください)

こうした販促ツールのデザインや店内の飾り付けなどを考えて、導入していくことが、販促業務の1つ目の仕事になります。

2)WEBでの販促

WEB販促は、EC運営やデジタルマーケティングの業務の一部になることも多いです。
例えば、ECサイトでの送料無料キャンペーンや、商品特集記事の企画と掲載商品のピックアップ。
最近では商品・企業のSNS運用や、フォロワーキャンペーンなども行われています。

3)キャンペーン、イベント、展示会の企画

キャンペーンは、お菓子やジュース、今の季節はアイスなどで、よく見ますね。
上述のSNSを活用したキャンペーンの他、アニメや飲食店とのコラボ、割引キャペーン、グッズが当たるものなどがあります。

イベントは、試食・試飲イベントや、新商品に関するトークショーなどがあります。

販促企画の仕事では、こうした個々の施策の計画や、年間スケジュールの作成、予算管理などを行なっていきます。

広報・ブランディング・広告宣伝との違い

販促に似た仕事に、広報、広告、ブランディングなどがあります。
これらはいずれも目的が異なるため、その手法や考え方も違ってきます。
詳しい職種の説明は別の機会にし、簡単に違いをまとめてみます。

広報:企業に関する情報発信。
 業務例)メディア対応、プレスリリースの作成など
広告・宣伝:商品やブランドなどを「知ってもらう」ための活動
 業務例)CM・ポスター制作など
ブランディング:
 
ブランドの価値や信頼を作り、競合との差別化を図る取り組み
 業務例)商品企画、プロモーションに関わるあれこれ

販促企画:消費者の購買を促す施策の企画・立案と実行。

つまり消費者は、広報活動で企業を知り、広告宣伝で商品を知ってブランドイメージを持ち、販促によって商品を購入するのです。

ブランディングと販促の違いがわかる例(キリン 午後の紅茶)

下の写真は、キリン「午後の紅茶」のパッケージリニューアルの案内です。
文章から、ブランドイメージとして、
 ・日常的に手に取りたくなる商品
 ・アンナ・マリア夫人が象徴
 ・「モダンさ」(現代的かつ上質
を重視していることがわかります。


キリンHP(https://www.kirin.co.jp/journal/softdrink/stories/20240616_01/)より

ブランドイメージを広める商品広告では、Snow Manの目黒蓮さんを起用しています。
勝手な推測ですが、今を象徴する人気アイドルであり(=現代的な)、FENDIのジャパンブランドアンバサダーである(=上質を体現)ことから、
目黒さんはブランドイメージに合致しているのでしょう。

さらに広告画像でも、アンナ・マリナ婦人が強調されており、目指すブランドイメージに統一性があります。

午後の紅茶ブランドサイトより(https://www.kirin.co.jp/softdrink/gogo/)

このように競合商品と一線を画すブランド作りの取り組みが、パッケージのリニューアルや、広告に起用するタレントに現れています。

しかしこれだけでは、販促には物足りません。
消費者に対し、買いたくなる理由を伝えなければなりません。
そこで、キャンペーン企画し、画像の通り周知(広告・宣伝)します。

キリンHP キャンペーン一覧より(https://www.kirin.co.jp/campaign/)

この広告では、シンプルにキャンペーン概要だけを伝え、目黒さんも、アンナ・マリア夫人も登場しません。

そして、以下の点で消費者に買うことを促しています。
 ・毎週景品が変わる→何かもらえるチャンスが毎週ある
 ・3000名にプレゼント→自分も当たるかもしれない
 ・応募締め切り→早く買わなきゃ

こうすれば、これまであまり購入しなかった方も、景品(グラスでした)に興味を持ち、意図的に午後の紅茶を買う可能性が高まります。

このように、ブランディングと販促は、全く違う視点からの取り組みになります。

販促企画のやりがいと大変さ

販促企画は、自社商品の売上を左右する重要な役割です。
市場のニーズ把握、質の良い商品、ブランドの信頼。
そうした後押しを受け、販促企画の担当者は、消費者に購入への最後の一押しをします。
自分の仕事がダイレクトに売り上げとして反映されるため、内勤でありながら数字として自分の成果が見えやすい職種です。

<やりがい>
・自分の考えた施策の効果が数字として見える
・顧客の反応がわかりやすく、手触り感がある
・販促ツールの作成では、デザイン力やアイディアが活かせる

<大変さ>
・自分の考えた施策がうまくいかなかった時に落ち込む
・社内外の関係部署が多く、折衝が大変
・店舗販売を行う際は店舗へ応援に行くことがある

販促企画職で必要なスキル・キャリアパス

販促企画で必要とされる(身につけられる)スキル

販促企画では、折衝・調整力が求められます。
例えばPOPやカタログ等の販促ツールを作成する際は、デザイン会社や印刷会社に制作を依頼することが多く、外部業者のディレクションをします。

また、午後の紅茶の例のように、販促施策を考える際もブランドイメージを損なわないよう配慮が必要であり、マーケティングチームとの連携も欠かせません。
実際に販促ツールを導入する際は、営業職や店舗の方に動いてもらう必要があるため、現場への依頼や教育も必要になります。

その他、デザインやデザイン作成ツールの基礎知識、集客・マーケティング知識など、関連業務の知識も必要になっていきます。

販促企画のキャリアパス

販促はマーケティング施策の一環であることから、他のマーケティング職種との行き来があります。

例えば、リアル販促とWEB販促、WEB販促からEC運営、CRM(新規獲得ではなく固定ファンやリピーター作り)、マーケティングの上流への道などです。

また中小企業では、商品企画と販促企画を兼務する場合も多く、「販促企画に軸足を置いて専門性を深めたい」という方にもしばしばお会いします。
業務が似ているので、化粧品や日用品など、ターゲットが似ている消費財・日用品業界の販促経験者も活躍の機会があります。。

まとめ

今回は販促企画について解説しました。
自分自身も購買者になることから、分かれば身近に感じやすい職種かもしれません。

次回は、「ブランドマネージャー」を解説予定です。
更新は7月30日予定です。お楽しみに!

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