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特定社会保険労務士試験第19回・第14回第1問過去問の解説と共通するテーマ「錯誤」の説明

 今回は、第19回第1問で出題された民法の「錯誤」をテーマに解説をしようかと考えました。多くの受験生が既に内容をご存じだと思われる第19回第1問では、「退職願の取消(つまり「錯誤」の論点)」が大テーマで、「部下に対するパワハラを原因とする懲戒解雇(つまり「懲戒」の論点))が中テーマになっています。第14回第1問もまた、大テーマは「退職願の(改正前民法では)無効(つまり「錯誤」の論点)」で、中テーマは「通勤交通費の不正請求を原因とする懲戒解雇(つまり「懲戒」の論点))になっています。昨年の試験直前のブログで、民法の「不法行為」がテーマの第11回と「錯誤」がテーマの第14回を復習しておくようにと注意喚起したのを受けて、復習した受験生は得をしましたね。

 閑話休題。ところで、第19回第1問と第14回第1問には、民法95条(錯誤)の条文が引用されていて、「錯誤」が重要ポイントだなと誰でも考える訳ですが、そもそも「錯誤」って何で、民法の「錯誤」が労働法にどうして関係するのだろう?と疑問に思った方も多いと思います(特に、初めて出題された第14回の受験生は)。

 ということで、まずは、「錯誤」の含まれる「瑕疵ある意思表示」の説明をして、根拠となる民法の総則・第5章(法律行為)・第2節(意思表示)と同第4節(無効及び取消し)を紹介して、なぜ、誤って提出してしまった退職願をなかったことにすることが「錯誤」の問題で、錯誤が成立する要件は何で、錯誤が成立したらどのような効果が発生するのかまでをざっと説明したうえで、第19回第1問と第14回第1問の過去問の解説をします。

 

目 次

1. 瑕疵ある意思表示とは何か。

2. 第19回第1問過去問を解きながら錯誤の説明をします。

3. 第14回第1問過去問の解説をやります。

4. 第19回第1問と第14回過去問の比較をしてみました。

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