【3】落語の寄席に行った話
落語の寄席に行ったことはあるだろうか。昔から興味があった私はこの度、東京旅行のついでに初めての寄席に行った。この寄席があまりにも楽しかったので、拙い文章ながら、その魅力を紹介してみようと思う。
今回、向かったのは浅草演芸ホール。3500円で11時から16時半まで、なんと5時間半も楽しむことができる。館内での飲食は他人に大きな迷惑になるようなものでなければ大丈夫らしい。コンビニで買った水とパンを持って入場した。客層はご想像通りお年寄りが多く、私と同じくらいの年齢の方は2,3人いたかどうかくらいだった。14時ごろには、お客さんが席に座りきれず、立ち見のお客さんもいたくらい盛況で、都会のお年寄りも元気だなと感じた。
寄席は落語がメインではあったが、紙切りや三味線、漫談なんかもあってどれもとても面白かった。中でも、坂本頼光さんという活動写真弁士の芸が面白かった。活動写真弁士とは、昔の無声映画に実況をつける、今でいうナレーターのような人のことを言う。昔の映画特有の、緻密でかつ大胆なストーリー(笑)に対して、的確なツッコミが入るのがおかしくて、腹を抱えて笑った。映画のタイトルは「昆虫カメラマンの復讐」。カナブンの夫婦が、それぞれゲイのトンボとキリギリスに浮気するという映画だ。何を言っているか分からないと思うのでよかったら一度見てみてほしい。調べたらFODで110円払えば見られるらしい。110円の価値があるかと聞かれたら「人による」としか言えないが。
もちろん落語もとても面白かった。桂宮治さん、三遊亭小遊三さん、そして私が一番好きな春風亭昇太さんといった、笑点メンバーの生の落語を聞くことができた。寄席の最後にはなぜかバンド演奏があった。毎年この期間限定で行われるらしい。昇太さんがトロンボーン、小遊三さんがトランペットを弾いており、顔を真っ赤にしながらトランペットを引く小遊三さんはとても面白かった半面、ぶっ倒れないかと少し心配した。年寄りには優しくしてあげないかんよ。
人生初の落語の寄席は大満足に終わった。最初に述べたが、これで3500円である。少し安すぎはしないだろうか。今度行くダウ90000の演劇公演のチケットは8000円。夜公演も合わせてみてもお釣りがくる。蓮見君も出世したなあと思うと同時に、日曜夕方5時にみかけるおじいちゃんたちの、懐の深さが感じられた一日だった。