「共生の理想を実現する夢」 ⁃ 家畜の原点は野生動物であり、その原点は循環(共生)である
「共生の理想を実現する夢」。
私が代表を務める会社、ファームエイジが叶えるべき夢の一つです。
「共生」という熟語を辞書で引くと、単に「共に生きてゆくこと」という意味と、特に生物学的に「異種の生物が相手の足りない点を補い合いながら生活する現象」という意味が出てくることがわかります。
では、ファームエイジが目指す「共生の理想」とは、一体どのようなものなのでしょうか。
”同僚”と働く
酪農畜産に焦点を当てた場合、その一つに「人間も動物も無理をしない」ということがあります。
これまで畜産業界はずっと、どの動物においても「生産性を高める」ことを第一として成長してきました。簡単に言えば、一頭あたりから得られるもの(肉・乳・卵など)の量をいかに増やすか、ということです。
作業の機械化、効率化はあらゆる分野において非常に重要ですから、それがこの業界でも常識となるのは自然なことです。
しかし残念ながら、動物は機械ではありません。
生産量を増やすために飼料を食べさせすぎれば胃を悪くしますし、消費エネルギーを減らすために運動を制限すれば足腰がどんどん弱っていきます。
体に負荷をかけられ続けた動物はいずれ病気になり、本来のパフォーマンスが発揮できないばかりか、最悪死んでしまいます。
これではどう考えても本末転倒です。
また、現状の酪農畜産の多くは基本的に、生産者さんの激務を前提として成り立っています。
動物の口元へ飼料を運び、出た糞を運び、施設を清掃し、草を刈りに行き、作った飼料をまた動物の口元へ運び……と忙しい毎日ですが、得られる収入がその激務に必ずしも見合っているとは限りません。
動物と共に過ごせる仕事は、本来とても幸せで、かつ誇り高きものであるはずなのですが、現場からは疲弊しきった人々の声が多く聞こえてきます。
これもまた、「誰のための生産性なのか?」という点で、本末転倒と言えるのではないでしょうか。
動物には、人間のエゴばかりを押し付けるのではなく、なるべく健やかに育ってもらうこと。また人間は、適切な管理についての知恵と技術を広い視野で身に着けて、日々の暮らしにゆとりを持たせる工夫をすること。
これらが結局、持続可能な酪農畜産への近道になります。
動物たちは言ってみれば協力者、私たちと共に働くパートナーなのです。
弱まる田園、求められる代替策
野生動物に焦点を当てた場合、その一つに「互いの住環境を守り続ける」ということがあります。
人間は、自分都合で山林をどんどん侵食し、野生動物の住処を奪っています。
住処を奪われた動物たちは、当然ながら生きるために人里まで降りてきます。そして畑の作物を荒らしたり、人間に直接危害を与えたりして、最終的に駆除されるに至ります。
この応酬は今も昔もずっと繰り返されており、そのたびに根本的な解決策についての議論がなされてきました。
この議論は、近年さらに活発になっています。
かつての日本では中心に都市部があり、その周りに田園が広がっていて、山の動物たちを適度に牽制することができていました。
しかし最近は、都市部に人口が集中することで田園のはたらきが弱まっており、動物たちが直接都市部へと入り込むことを許してしまっています。
結果として、「住宅街に野生動物が出没」ということになり、事態が大きくなっていくのです。
この問題の解決の一助となるのが、小社が提案している、フェンス・電気柵により人の住環境(農地・林地)を囲うという方法です。
かつての田園のようにどこかで境界をつくり、動物たちを適切に山林へ帰さねばなりません。
この考え方自体が人間のエゴだと批判されることも、もちろんあります。勝手に山を侵し、勝手に自然を区切って何様のつもりだと。
しかし現に、お互いの境界を越えてしまうことによる被害は双方に出ています。私たちは、今できることを早急に行っていくしかありません。
もちろん、フェンスを使うことがこれからもずっと最善の方法であり続けるとは限りません。よりお互いのためになるような、共生の手段の模索を決して止めないこと。それが大前提です。
まとめ
ひとたび農業の課題について考えを巡らせると、「人間vs動物」「人間vs自然」といったような対立の構造ばかりがどうしても目に付いてしまいます。
しかし、私たちが今いる環境はそうではないはずです。
自然が存在し、動物が存在し、人間が存在しています。
困っている人がいて、私がいて、そして読者のあなたがいます。
これらは全て、今この地球に同時に存在して、それぞれ関わったり関わらなかったりしながら、確かにそこにあります。
対立も排除もせずに、一生を通して複雑に絡み合い続けるのです。
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