「とりあえず」チャレンジ vs. 1本に絞るアタック /ゼネラリストとスペシャリスト、それぞれの選択肢
新しいビジネスや新しいチャレンジに踏み出すとき、人によってアプローチは大きく異なります。なかでも、大きく2つに分かれる考え方があります。
「とりあえず」でも何でもやってみて、徐々に自分に合うものを見つけていく
1つに絞って集中投下し、ひたすらそれを伸ばしていく
ここでいう「とりあえず」は、決して“雑”にやるというわけではなく、「やってみないとわからない」という前向きな姿勢の象徴とも言えます。一方で、1つに絞るスタイルは、「何よりもその分野を極めることが成功への近道だ」という考え方ともいえるでしょう。
多方面にチャレンジできる「器用さ」は才能か
私自身はどちらかというと、前者の「とりあえずやってみる」派です。思いついたことやチャンスがあれば、ひとまず手を出してみるというタイプ。しかし、ある方の意見を聞く機会があり、ハッとすることを言われました。
確かに、そういう見方をすれば、複数に手を出せる人は器用なのかもしれません。そして、その器用さが逆に「散漫になる」「結局何もカタチにならない」というリスクを伴うとも言われました。もちろん、世の中にはたった1つに賭けて成功したスペシャリストもたくさんいますから、どちらのスタイルが正解というわけでもないでしょう。
ゼネラリスト思考 vs. スペシャリスト思考
この2つの考え方は、どうしても相容れない部分があります。
ゼネラリスト気質:幅広い興味やスキルを持ち、多領域をまたいで活躍。
スペシャリスト思考:特定の分野を深堀りし、とにかく極める。
ゼネラリストとしては「この道のプロ」を目指すわけではなく、複数の可能性を探りながら自分の強みを見つけるのが心地よい。一方、スペシャリストは「やるなら極める」精神を大切にしています。どちらも一長一短があるので、“絶対にこっちが正解” というわけではありません。
「とりあえず」の落とし穴
とはいえ、私が指摘されたのは「とりあえず感が強すぎると、結局どれも育たない」という点でした。言い換えれば、花が咲く前に撤退しちゃうことが多くなるリスクがあるということです。
最初はやる気十分で新しいことを始める
でも、しばらくすると他のチャンスに目が向きがち
そのまま熱意が薄れ、深掘りする前にやめてしまう
これを続けてしまうと、何をしても“中途半端”という印象を自分自身にも周囲にも与えてしまいます。その結果、散漫なイメージや実績が積みにくいといったデメリットにつながる可能性があります。
ゼネラリストが気をつけるべきこと
私自身、ゼネラリスト寄りの人間だからこそ、「とりあえずやってみる」スタンスで色々なことを経験してきました。そのおかげで視野が広がり、多様なスキルや知識が増えた恩恵も感じています。しかし、その反面、周囲から見れば「なんか色々やってるけど、何をやりたいのかよくわからない」という印象を与えかねないとも思っています。
ここで私が大事だと感じたのは、「とりあえず」でもちゃんと“腰を据えて取り組む” 意識を持つということ。つまり、「ちょっとやってみてダメなら撤退」ではなく、ある程度は踏ん張ってみることが重要なのだと気づかされました。
期間を決めて集中する:「3か月は本気でやる」「半年は結果を出す努力をする」など、自分なりの区切りを決める。
どれだけ深くまで掘ったかを測る:表面をなぞるだけでなく、プロとして必要な知識レベルはどの辺りなのか、目安を立てる。
チャレンジする理由を明確にする:やり始めた時点で「なぜこれをやるのか」を明確化しておき、流されないようにする。
まとめ —— “正解” は自分次第
ゼネラリストであれスペシャリストであれ、どちらの道を選ぶかは自分自身が決めること。社会や周囲の期待や評価は気になるかもしれませんが、結局のところ、自分にとっての“最適解”は人それぞれです。
スペシャリスト志向の人は、1つの分野で成果を出し続けることに喜びを感じる
ゼネラリスト志向の人は、いろいろやってみるなかで適性や好きなことを見つけていく
どちらが正しいというわけでもなく、むしろ両者が共存しながら新たな価値を生み出すこともあります。ただし、ゼネラリストだからこそ、「とりあえず感」が強すぎると、薄っぺらい結果に終わるリスクがあるというのは私自身が肝に銘じておきたいポイントです。
大事なのは、「とりあえず」の先をどう描き、どんなタイミングでしっかり深掘りするかという“覚悟”だと思います。器用さを活かしつつも、気づけばあれもこれもと手を広げすぎないように、ある程度の“腰を据え”と“見極め”を意識しながら、これからもチャレンジを続けていきたいと思います。