【U-Prophet】細かい設定を変更したい(ユープロフェット)
前回の記事で、農場の経済性を評価するツール(U-Prophet(U-プロフェット))の簡単な使い方を紹介しました。
今回は、より細かい項目の調整方法について説明します。
必須入力項目
必須入力画面では収支に大きな影響を与える牛群規模、繁殖成績、子牛販売価格の3つを管理しています。特に繁殖成績(授精率と受胎率)は大きな影響を与えるので、農場の実態にあわせて適切に入力することでシミュレーション結果の精度が高くなります。
詳細入力
詳細入力画面で、より細かい条件設定を変更してゆきます。カテゴリー毎に細かいパラメータが設定できますので、農場の実態にあわせて入力していきます。
牛群構成
初期設定は一般的な農場の産次構成と思われる初期値を設定しています。農場の実態にあわせて適宜変更してください。
乳代売上(酪農のみ)
乳代売上タブは酪農を選択した場合にのみ表示されます。まず乳価を入力しますが、この時生産者手取り価格を入力してください。
次に牛群の泌乳曲線を入力します。初期設定では北海道の乳検加入農家の平均値が示されています。乳量の横に表示されているアイコンをクリックすると細かい設定が行えるようになっており、プリセットから選択するか、自由入力からパラメータを変更して農場にあわせた泌乳曲線を作成することが出来ます。
泌乳曲線の作成には、Scale、Ramp、Decayの3つのパラメータを調整する必要があります。それぞれのパラメータの特徴は次の通りです。
Scale:値をあげるとピーク乳量が増加します
Ramp:値をあげるとピーク乳量に達するまでの搾乳日数が短縮します
Decay:値をあげると泌乳持続性が低下します
繁殖管理
繁殖管理タブでは、繁殖マネジメントの細かい設定を変更できます。
授精期間は21日、妊娠期間は乳牛は280日、肉用繁殖では285日で設定しています。
繁殖費用
繁殖費タブでは、繁殖に関わるコストを設定することが出来ます。
精液や受精卵などのコストは助成金などを除いた農家手出し価格を入力するようにしてください。
また人工授精やETの割合は、子牛の性別割合を推定するために使用しており、すべての合計が100となるように設定してください。
更新費
更新費タブではウシの更新費用の設定が出来ます。経産廃用牛の販売価格とレンダリング費用を入力してください。導入牛の価格は必須入力画面ですでに設定されているので、このタブでの入力は不要です。
飼料費
飼料費タブでは、飼料費の設定が可能です。
酪農では乾物摂取量(DMI)を求めるため、体重と乳脂率の設定が必要です。また飼料コストは搾乳牛では乾物あたりのコスト、乾乳牛では1頭あたりのコストを入力してください。肉用繁殖では母牛1頭あたりのコストを入力します。この時、自給飼料にかかるコストの大部分は固定費と考えられるため、基本的には購入飼料費を入力すれば良いでしょう。
育成費
育成費タブでは、子牛の育成費と死亡率を入力します。
育成費は子牛が出荷されるまでにかかる費用を、子牛の死亡率は死産を含む子牛の死亡率を入力してください。
牛群検定のデータでは、死産の割合は5%、子牛の死亡率は2%程度なので、酪農では初期値は7%に設定してあります。肉用繁殖における死産のデータはありませんが、死産率を3%、死亡率を2%と考えて初期値を5%にしています。
まとめ
上記のようにU-Prophetでは、様々な条件設定が可能となるように開発しています。
ユーザーの皆様は、農場の実態にあわせて適切な値を設定することで予測の精度を高めることが可能です。
2022/04/01 追記
【U-Prophet】性判別精液の経済性を考える[酪農編](ユープロフェット)
U-Prophetを使って性判別精液の経済性について評価した記事を書きました。